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結論から言う。本を出すのに資格なんていらない。
いや、正確に言えば「出したい」と思った時点で、あなたはもう著者の入り口に立っている。大げさじゃなく、本当にそうだ。
「AIで加速する!出版の教科書」(加納敏彦著)きずな出版
昔の出版は違った。出版社に企画を持ち込んでも門前払い。編集者とつながるには人脈。文章力に自信がなければ、そもそも挑戦すらできない。私も20代の頃、企画書を何度も突き返された。「うちでは難しいですね」。あの一言の冷たさ、今でも覚えている。
でも、今は違う。
Kindle出版がある。電子書籍がある。印刷費ゼロ、在庫リスクゼロ。売れなくても損しない。必要なのは原稿と、想いだけ。
「いやいや、そうは言っても」と思うだろう。わかる。「自分なんかが本を出していいのか」「ネタがない」「文章が苦手」「忙しくて時間がない」。ブレーキ、かかるよね。私だって最初はそうだった。
ただ、そのブレーキを外してくれる存在が出てきた。AIだ。
2023年に広まったChatGPT。あれから何が変わったか。文章を「自分で考えて、自分で書く」時代が終わった。「問いを投げて、一緒につくる」時代になった。
たとえば「どんなテーマで本を書けばいいか」。昔なら何週間も悩んだ。競合書籍を調べて、自分の強みを分析して、ターゲット読者を想定して……。気が遠くなる作業だった。
今は違う。ChatGPTに「自分はどんなテーマの本を書けそうか」と聞くだけでいい。5秒でアイデアが出てくる。類書分析もやってくれる。目次案も、タイトル案も、PR文も。
便利すぎて怖いくらいだ。というか、正直に言うと最初は抵抗があった。「これって楽しすぎないか?」と。苦労して書くことに価値があると思っていた自分がいた。
でも、違った。
AIは道具だ。使いこなせば、自分の可能性が広がる。使わなければ、それだけの話。「こんなことを書いていいのかな」と迷うようなストーリーこそ、読者の心に刺さることがある。私はそれを何度も見てきた。
あとは「やってみよう」と決めるだけ。その一歩が、すべてを変える。
※ ここでは、本編のエピソードをラノベ調のコラムの形で編集し直しています。
尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)
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22冊目の本を出版しました。
「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)