出口里佐です。
今日は、先日訪れた自由が丘のイタリアン、シアーモ ノイ(Siamo noi)の最新コースをご紹介します。このコースは、1月中旬までいただけるそうです。
かつてこの場所にあった「モンド」が昨年7月に閉店し、少しの休止期間を経て、今年2月に同じ場所で新たに生まれ変わったのがシアーモ ノイ(Siamo noi)です。
自由が丘駅からは徒歩10分ほど。自宅からも同じくらいの距離なので、モンドの頃から、出不精な夫を連れ出しては数か月に一度通っている、我が家のお気に入りのレストランです。
シアーモ ノイの入り口の目印。
かなり控えめなので、初めての方には昼は分かりにくいかもしれません。
要点まとめ HTML
- アミューズは、生ハムと実山椒のグリッシーニなど、3種類。
- ヘダイのカルパッチョ
- 甘鯛と蕪のヴァポーレ
- 寒鰆、ほうれん草、菊芋チップス
- 自家製コテキーノとレンズ豆
- 手打ちタリアッテレ、天然キノコ
- ピッツォケリ
- お口直し
- かすみ鴨とビーツのソース
- 自家製ゴルゴンゾーラのスフォルマート
- フレッシュハーブティーとカンノーリ
アミューズは、イチジクと自家製青カビチーズのタルト、生ハムと実山椒のグリッシーニを含む三種。さりげないのに、これから始まる時間への期待を、そっと整えてくれるような一皿です。
三種類のアミューズ
印象に残ったのは、相模湾長井漁港で神経締めされた、ヘダイのカルパッチョ。
素晴らしい技術によって、最高の状態のお魚の上には、糠漬けの液体をジュレ状にした半固形ソースがかかり、光を受けてきらきらと美しく輝いています。添えられたエストラゴンはお庭から摘んだものだそう。あまり見かけないハーブなので、自由が丘でも育つなら、私も植えてみようかしら、と思いました。
相模湾長井漁港、長谷川さんの神経締め、ヘダイのカルパッチョとブロード
小さなカップに添えられたのは、その日の料理に使った野菜をサイフォンで抽出した温かいブロード。静かに、じんわりと、野菜の美味しさが体に染みていきます。
甘鯛と蕪のヴァポーレは、やさしい火入れで素材の甘みが引き立ちます。
甘鯛と蕪のヴァポーレ
寒鰆は皮目を焼き上げ、ほうれん草と乳酸発酵させた麹のソースが旨味、菊芋チップスの香ばしさがふわりと広がります。
寒鰆と菊芋のチップス
自家製コテキーノは、イタリア北部のお正月料理。少しエキゾチックで、どこか中華を思わせるスパイスの香り。下に敷かれたレンズ豆はコインに似た形から「お金持ちになるように」という願いが込められているそうで、日本のおせちと重なり、思わず頬がゆるみます。
八角などエキゾチックなスパイスが感じられる自家製コテキーノとレンズ豆
手打ちのタリアッテレは、カウンターの前で準備して、出来たてを茹でて提供されます。季節の天然キノコとの相性もよく、つるりと心地よく、いつの間にかお腹に収まっていました。
手打ちタリアテッレと天然キノコ
続くピッツォケリも、北イタリアらしい素朴さが嬉しい一皿です。
北イタリア・ロンバルディア州発祥のパスタ、ピッツォケリは幅広の短い麺。
縮みキャベツと白カビチーズが熱々に絡みます。
お口直しは、目の前で液体窒素を使った演出。
白い気体がもくもくと立ち上り、食卓が一瞬、魔法の時間に変わります。すっきりとした梅のグラニテ。
液体窒素でモクモクと梅のグラニテ。
本当はもっとモクモクですが、タイミングを逃しました…
メインのかすみ鴨には、何時間もオーブンで火入れされたビーツのソース。
ほくほくと甘くなったビーツを少し味見すると、どこかほっとする味わいです。赤いビーツ、緑の芹が彩るお皿はとても華やかで、自然と気分も明るくなります。
かすみ鴨とビーツのボリートに自家製の黒ニンニク、セリ、自家製の鹿の醤油ソースを添えて。
デザートは、自家製ゴルゴンゾーラのスフォルマート。
器から美しく立ち上がった姿に、思わず見惚れてしまいました。スフレをここまできれいに仕上げるのは本当に難しいもの。料理学校で初めてスフレを作ったとき、途中でオーブンを開けられて失敗した苦い思い出がよみがえります。
オードリー・ヘプバーンの映画『麗しのサブリナ』で、コルドン・ブルー・パリの授業中にスフレがしぼんでしまう場面も、ふと思い出しました。
ゴルゴンゾーラのスフォルマート(スフレ)。
美しく立ち上がっていて、しばし愛でていました。
熱々のスフレに添えられていたのは、冷たいヘーゼルナッツのアイスと、キャラメリゼされた洋梨のコンポート。コンポートは貴醸酒を使用しているそう。
貴醸酒使用の洋梨のコンポートとヘーゼルナッツアイス
コースの最後には、お庭で摘んだレモングラスなど、数種のハーブを使ったハーブティーとカンノーリ。
フレッシュハーブティーとカンノーリ
静かで、やさしい余韻が長く続く締めくくりでした。
ご馳走様でした。
新年に、また伺います。
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