攻撃的な人ほど実は弱い

黒坂岳央です。

社会やSNSにおいて、常に喧嘩腰、攻撃的な人をよく見る。一見すると彼らは強者のように振る舞い、周囲を威圧するが、実は精神的には非常に脆くて「弱い」と感じる事が少なくない。

一見、矛盾する「攻撃的な人ほど実は弱い」について持論を述べたい。

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攻撃性の正体

攻撃的な行動の根底にあるのは、「自分が淘汰されることへの恐怖」である。「淘汰」といっても直接的な生命の危機だけでない。これには社会的立場、自尊心の喪失なども含まれる。彼らは、他者が自分を脅かす存在であるという強固な思い込み(あるいは妄想)を抱えている。

彼らが最も燃え上がるのはコンプレックスが刺激された瞬間である。彼らにとって、自分の弱点を突かれることは単なる指摘ではなく、自分の生存権を脅かす「致命的な攻撃」と歪んで解釈する。

職場で、自分よりスキルの高い部下や新人が現れた際、過剰に厳しく当たったり、重箱の隅をつつくような批判を繰り返したりする上司がこれに該当する。 彼らにとって、若手の有能さは「自分の居場所を奪う脅威」でしかない。「お前は未熟だ」と執拗に攻撃することで、仮想的な優位性を保とうとするのである。

会議や議論の場で、論理的なミスを指摘された際、能力に不安がある人は「言い方が気に入らない」「お前は何様だ」と論点をすり替えて激昂するケースも典型である。彼らにとっての議論は「意見出し」ではなく、「どちらが上かを確認する儀式」になっているのだ。

そのため、彼らの思考は「やられる前にやる」である。自分の生命や立場が脅かされる不安から、先制攻撃を仕掛ける。SNSで初対面でいきなり攻撃をしてくるのはこういう理由なのだ。

攻撃者はすぐ服従する

彼らの行動は一貫して「ヒエラルキー」に基づいている。

彼らは本質的に弱いため、自分が確実に勝てる相手を安全圏からの攻撃しかしない。匿名SNSでやたらと攻撃的な者でも、リアルで会うとやたらと弱腰な事が多いのは、物理的な反撃や実名や顔出しで跳ね返るリスクを恐れているからだ。

また、彼らは明確に自分より上だと認識した相手にはすぐに白旗を上げる。筆者は昔から大人しくて弱そうに見られる事が多く、リアルでも彼らのターゲットになることが多かった。だが毅然かつ冷静にロジカルに対応すると、相手の憎悪に近いエネルギーがいきなり消え、驚くほど速やかに服従モードへと移行する事が多かった。この豹変ぶりには驚かされたものである。

彼らの世界には「対等で平和的な対話」という概念が存在しない。相手を常に全力で先制攻撃し、もし勝てないと分かったらすぐ白旗を上げるのだ。

攻撃性は長期で損をする

攻撃的な振る舞いは、短期的には相手を屈服させ、利益を得ることもあるだろう。そこで「強く行けば言うことを聞かせられる」と学習してしまい、モラハラ、パワハラを続けがちである。しかし、短期的にうまくいっても、長期的には必ず人生の「詰み」を迎える。

1つ目の理由は恐怖で人を動かしても、そこには信頼が蓄積されない。協力者は去り、周囲には誰も残らなくなる。

2つ目に若さ、肩書き、権力といった「鎧」が失われた瞬間、彼らを支えるものは何も残らない。組織に守られなくなった攻撃者は、最も無力で孤独な老後を迎えることになる。

攻撃的な態度で得た優位性は必ず崩れるのだ。

本当の強者は自分を大きく見せるための威嚇を必要としない。むしろ余裕な態度で平和的でいる。攻撃的な人は淘汰の不安に怯えている事実をメタ認知することで、まずはその不安の多くは妄想であると認識すると改善の一手になるだろう。

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なめてくるバカを黙らせる技術」(著:黒坂岳央)

働き方・キャリア・AI時代の生き方を語る著者・解説者
著書4冊/英語系YouTuber登録者5万人。TBS『THE TIME』など各種メディアで、働き方・キャリア戦略・英語学習・AI時代の社会変化を分かりやすく解説。