書店に行けば金持ちになるための指南書が毎月のように発刊されていることに気がつくでしょう。私はご承知の通り、会社の資金と個人の資金を北米で運用していますが、現状、まずまずの成績を上げていると思います。波はあるのですが、攻め方に工夫を凝らしています。
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例えばカナダにおける個人証券口座の場合、3つの種類の違う口座を作れます。①通常口座 ②老齢年金口座 ③非課税普通預金口座 です。②は日本ではiDeCoにあたり、毎年一定限度額までの資金を老齢年金口座に移せばその移した全額は当年の税額控除になるという仕組みです。カナダでは71歳まで積み上げ可能で、いつでも引き出しは可能です。カナダ、アメリカでは個別株式銘柄も自由に買えるなど使い勝手が極めて良く設計されています。日本では今一つ伸びないiDeCoですが、北米版老齢年金は元祖個人貯蓄と言ってよいでしょう。引き出す際には課税所得になるので考え方としては税の繰り延べであります。③は日本版の新NISAをもう少し緩くしたもので、非課税口座は預金でも証券でもよく、これも毎年、新規買い増し枠が円換算で80万円ぐらいずつ増えます。
まずはそれぞれの口座の性格を知り尽くしたうえで投資する戦略を立てる必要があります。例えば通常口座なら毎年の確定申告の際、損失と利益を相殺することが可能で損が大きければ税務上、翌年以降に繰り越せます。しかし、②と③はそれがありません。私の場合、まず③の非課税口座はキャピタルゲイン課税がないので攻める銘柄でラインアップさせ、②の老齢年金口座は口座の性格上、高配当銘柄を並べます。そして①の普通口座はリスクをとる銘柄です。化ければ5倍、10倍になるような銘柄で、だめなら損切りして当年の利益銘柄と税務相殺をします。
口座1つにしてもその口座の性格上、正しい攻め方をするのが賢い戦略となります。
ところで私は一般書籍はもの凄く読みますが、マネーの書籍はほとんど読んだことがありません。どれが儲かるかは自分で考える、市場と対話しながら自分で見つける、試行錯誤する、これしかないのです。
「お前は確か中学2年生から株をやっていたな、ならば50年もやっていればもう失敗なんてないだろう」と思われるでしょう。いやいや失敗はします。結構デカい失敗もします。ですが、私の頭にはアメリカのエンジェル投資家の思想があるのです。10社に投資して7社ダメでも2社がそこそこで1社が大成功なら元は取れるのだ、という思想です。株式投資でも数多い銘柄を手掛けるわけですから100発100中なんて想像することすら卑しいのです。一応6割勝つのが目標、そして大事なのはトータルで負けないことです。(現状は市況が良いので9割以上の勝率です。)
そんな中で最近私がシフトしているのが高配当銘柄。実は計算をしてみたのです。1000万円を1年投資してキャピタルゲインはいくら取れますか、と。平均で見ると案外取れないものです。均すと2-3割程度かと思います。そりゃ5倍10倍銘柄もありますが、いつもそれに当たる訳じゃないし、1年で5倍になる銘柄は宝くじ並に少ないのであります。
ならば高配当銘柄で勝負したらどうか、と考えたわけです。カナダと日本は配当率はさほど変わらないと思いますが、カナダには一部銘柄に異様に配当率が高い銘柄があり、また毎月配当銘柄が多い点が違うところでしょう。
今年私が掲げた平均配当目標%は投下資本に対して年7%です。去年が5%程度でしたが、高配当上場投資信託に資金をシフトしているので達成は可能かと思います。これは投信の構成銘柄の個々の業績が投信の上場価格に影響しにくい特徴があるのです。確かに7%の確実に近いリターンよりキャピタルゲインの方がリスクがあっても上回ります。そこで会社の資金運用でも個人の資金運用でも仕切り線を入れているのです。つまりこの資金は無配でもよいから攻める銘柄を買う、この資金は配当を狙う、という枠組みです。この枠組みのバランスをうまくすると損を極力回避できる黄金比率が出てくるのです。この比率は個々違いますし、日本とカナダ、アメリカでも違います。よってそれは皆さんが自分の経験則から引き出してもらえばよいと思います。
日本の銘柄でも5%越えの配当を出す銘柄はごろごろあります。現在、最高がプライム上場の東洋で7.73%程度です。また日経によると「上場企業の配当20兆円超 純利益4割相当、家計も恩恵 株主還元、米国並みに」と報じているように日本には成熟企業が多く、配当は決して悪くないのです。よって銀行の定期預金を買うなら1年から3年というスパンで高配当銘柄に資金を投じるのは悪くないと思います。もう一つ、定期的に同じ銘柄を買い入れることで持ち株数を増やし、株価変動リスクを抑え、配当もたくさん頂くという戦略は個人的には株アレルギーの人が手を出しやすい手法だと思います。
株で儲けることはアメリカやカナダでは国として推奨しているのです。国民の財産形成という点で若い時からマネーの世界を知り、自分の性格に合ったマネーとの付き合い方を見つけるわけです。株の指南書は往々にして一方通行の書き方も多いのではないかと思います。
以前、お笑い芸人のパックンの投資の本を本屋で立ち読みしていた時、私の考え方と合わなかったのを覚えています。でも彼だって成功しているのでしょう。真逆の私だってそれなりの成績を残せるということは要はその人に合ったやり方を知ることが最も大事だとも言えそうです。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年1月11日の記事より転載させていただきました。