解散観測報道で「高市トレード」が発動:円急落・株先物急騰・金利警戒

9日の外国為替市場では円が急落し、一時1ドル=158円台と約1年ぶりの水準を付けた。同日深夜に報じられた「高市早苗首相が衆議院解散を検討」とのニュースを受け、市場では積極財政によるインフレ加速と財政悪化を織り込む動きが広がった。為替・債券・株式の主要市場で、それぞれ異なる反応が表面化し、いわゆる「高市トレード」が意識され始めている。

  • 円相場は報道直後から円売りが加速し、一時158円台まで急落。財政拡張観測による国債増発懸念を背景に、円安方向へ圧力がかかった。
  • 市場では「衆院解散=積極財政のアピール」と受け止められ、財政拡張によるインフレ圧力と債務の持続可能性に対する警戒感が強まった。
  • 同時に、景気下支え期待から株式市場では日経平均先物が急騰。解散総選挙で与党が勝利し、積極財政と政策加速が続くとのシナリオが意識された。
  • 債券市場では長期金利の上昇観測が広がり、すでにここ2年間で倍増してきた金利がさらに上振れする可能性が指摘された。現在の長期金利は約2%だが、年内3%台への引き上がりを予測する声もある。
  • 市場参加者の一部では「円安・債券安・株高」というパターンが今後強まるとの見方が強まり、インフレ期待と円安期待が同時に織り込まれ始めている。
  • 解散が現実化すれば、高市首相は「積極財政」「減税」「給付」といった分配色を前面に出すと見られ、野党は対抗軸を示しにくい。
  • 財務省もインフレ税による税収増の恩恵があるため、過去に比べて財政規律の旗を振りにくい。
  • 与党が単独過半数を回復した場合、「財政主導のインフレ、円安、金利上昇」が加速するシナリオが市場で意識されている。
  • 名目成長率が3%前後にある一方、長期金利がこれを上回った場合、政府債務は発散しやすくなり、国債価格の急落による「国債バブル」の崩壊リスクも取りざたされている。
  • 一方で一般国民の側では、インフレ期の増税・減税・給付の効果やインフレのメカニズムについて十分な理解が浸透しておらず、政策評価とのギャップが残る懸念がある。

今回の円急落は、為替単体の反応ではなく、政治と財政政策が絡む複合的な動きとして表れた。衆院解散の有無と選挙結果次第で、積極財政の拡大、金利の上昇、インフレと円安の加速といった市場動向がさらに強まる可能性がある。市場はすでに「高市トレード」を織り込み始めており、今後の政治日程が金融市場にとって最大の注目材料となっている。

高市首相 日本取引所グループ大納会で 首相官邸HPより