イランの行方、崩壊は近いのか?:国際社会の地図を書き換える勢いのトランプ大統領

イランで12月下旬から突如として起こった国民のデモは拡大の一途となり、極めて危険な状態になりつつあります。デモ隊に対して治安部隊が強硬な取り締まりを続けており、イラン人権団体のHRANAは半日前には死者数が466人と報じていましたがこの数がどんどん増えており、今ではどの数字が正しいのかわからない状態です。また全土でインターネット通信が遮断されており、情報の暗闇の中、やることがない人々がデモに加勢する状態となっており、危機的状況にあります。

アメリカはイラン政府がデモ隊に手を出せば、アメリカは報復すると発表し、イスラエルも厳戒態勢を敷いているとされ、アメリカと同調した動きを即座に取る準備ができているようです。

トランプ大統領とハメネイ師

一方、最高指導者ハメニイ師はイラン国民のデモはアメリカを利するとし、国民への説得を行いましたが、国民には絶対タブーであるハメニイ師の名指し批判のケースも出ています。治安維持隊がこの勢いを止められない場合、あるいはデモ隊による政府施設への突入が行なわれれば体制崩壊が一気に起こりうる状況にあり、個人的には1月中にも大きな変化が起きるのではないかとみています。

ハメニイ師は既に脱出計画とその準備は出来ている模様で脱出先はイランの北部で国境を接しているロシア南部が一時的な逃避先とみられています。

何がここまでの急変となったのでしょうか?引き金は通貨リアルの急落による国政の不安定化、及び更なる物価高への不満があります。ただ、このデモは12月28日に本格化し、1月3日未明のアメリカによるベネズエラ大統領夫妻拘束が火に油を注いだ形となっています。アメリカによるイランへの経済制裁は1979年のイラン革命以来ずっと続いていますが、近年、その制裁はより厳しく、また世界各国がそれを強化しています。個人的には昨年までのイスラエルによる中東における力関係の再構築、及びイランとの一時的な直接衝突が国民に与えた精神的インパクトも大きかったとみています。

ではイランのホメニイ体制が崩壊した場合、どうなるのでしょうか?

予想は極めて難しいと思います。最大理由はホメイニ体制がイラン国内で弾圧を続けてきたため新体制を率いる人材も組織形成も何もないのです。シリアのように反体制派が暫定政権をすぐに作れたようにはならないでしょう。「北アフリカの春」の時の混乱と同じで、長期政権が崩れた後の国内体制の再構築はたやすくありません。また国民がイスラム教シーア派の真摯なる教徒だけに西側体制を素直に受け入れられるかどうか、またかつてアンチアメリカの巣窟でもあったイラン国民が手のひらを返したように国民意識が変わるのかはわかりません。

ところでベネズエラとイランといえば石油。そしてベネズエラのタールのような重質油の油の希釈材(ナフサ)はイランから入れていましたが、それがうまく輸入できなくなったことがベネズエラ経済行き詰まりの一つの理由です。中国はベネズエラの重質油とイラン産の軽質油を混ぜる手法も取っていたようです。中国はベネズエラ産とイラン産の原油は違法にマレーシア沖で積み替えして実質マレーシア産として中国に入れています。これが止まるないし、制約されるとなると中国には大打撃となるはずです。

つまり国際社会を俯瞰するならばイランの問題は中国に大きく影響を与えると言ってよいでしょう。私は少し前のこのブログでトランプ氏が4月に習近平氏と会った際、台湾を巡りディールをするのではないか、そしてそれは中国がイランから手を引くことを条件とするのではないかと述べました。しかし、今のままで行けばイランが勝手に崩壊してしまうのでトランプ氏としては対中国のディールはより強固な立場になるはずです。それこそ、中国はロシアから手を引け、ぐらいの強硬な姿勢を示すかもしれません。

一昨年アサド体制のシリアが崩壊、今年ベネズエラのマドゥロ体制が崩壊、今、キューバやイランのホメイニ体制がその危機にあります。共通するのは権威主義で反西側勢力です。独裁体制の崩壊は伝播しやすいのですが、個人的には中国の体制が維持できるのかそろそろそんな話題が出てきてもおかしくないと思っています。中国で問題が起きれば北朝鮮はその10倍ぐらいのマグネチュードで影響を受けるので金体制継続への疑問も当然出てきます。

この大変革、トランプ氏の存在が大きいことは事実です。ある意味、国際社会の地図を書き換える勢いにあるのがトランプ政権と言えるのでしょう。2026年、午年は本当に飛び跳ねそうです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年1月12日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。