10年前の今頃は冷え切った日韓関係を前に国内外では様々な意見が飛び交いました。もちろん、悪化した日韓関係は10年前に始まったわけではなく、長い歴史の中で顔や形を変えてきたというのがよりわかりやすい言い方かもしれません。日本は韓国の成長を助けた、あるいは貸しを作ったという意識を持つ一定年齢から上の方もいらっしゃいます。親から習った朝鮮の話、あるいはその後の日韓の歴史を知る人からすれば近年の同国の躍進は面白くないのかもしれません。面白くないから絶対に彼らの技術や能力は認めず、「あんなのは全然よ!」と斬り捨てるわけです。
しかし日本の悪いところは過去の栄光にすがるところにあり、また古い情報に基づく思い込みが強いこともこれまた災いすることがあります。大所高所から見れば韓国の一部の産業は良く躍進したと思います。半導体も自動車も造船も鉄鋼も頑張ったと思います。が、中国が更にその上を行ったことで韓国が急激に目立たなくなったことが逆に調子づいた韓国の揺り戻しとなったと思います。また韓国の産業構造的には財閥と称する企業群の一強状態で中小企業が育っていない問題もあります。
この10年を経済だけで見れば躍進した韓国経済は過去話となり、一方の日本側も古い韓国情報を多少刷新できたことで双方の緊張感は落ち着いたとも言えます。
また安倍元首相の日韓関係の未来志向発言は強烈でしたし、個人的には岸田氏もしっかりその道筋をつけた功労者の一人だと思います。日本の政治家のトップらが韓国との関係改善を強く望んだことは政治力そのものだったと思います。その間、韓国は揺れに揺れました。朴槿恵氏、そして特別検察が死刑を求刑した尹錫悦氏など相変わらずトップになるとその後に地獄が待ち受ける国家であり、国民感情的であり、「国民情緒法」なる言葉で揶揄されるところも未だに変わったとは思えません。
李在明大統領は先般、中国から国賓級で招待を受け、習近平氏から甘い話をいくつか差し向けられました。もちろん李氏としては固辞する理由はなく、頂けるものは頂くことにしたはずです。習氏は日韓関係の切り離し作戦を展開したつもりですが、李氏にとっては中国と日本/アメリカの天秤状態だったと思います。個人的には踏み絵とはならず、李氏はよく耐えたと思います。決して嬉しい招待ではなかったでしょう。
高市氏との奈良で行われた首脳会談。良かったと思っています。韓国中央日報の見出しは「韓日協力はいつになく重要…今回の会談には格別の意味」となっています。日本の新聞も好感度で報じており、日韓関係の改善については安倍、岸田路線をうまく継承しているように感じます。
1月13日、韓国の李在明大統領と共に奈良県を訪問した高市総理 首相官邸HPより
今後ですが、CPTTPへの韓国加盟が進むか、日韓FTAのいずれかに進むような気がします。日本も韓国も中国、北朝鮮、ロシアという国に囲まれ同盟国のアメリカは太平洋の向こうとなればある程度の自立が求められる中で協調路線は実務的に選択せざるを得ない戦略だと思います。人的交流も更に進むでしょう。
私は様々な形で韓国の方との接点があるのですが、私が知る人たちは日本に対して非常に高い知識を持ち、日本語を上手に操る方々があまりにも多いのにびっくりします。先日もある韓国の大学の先生から頂いたEmailの日本語の使い方が日本人のそれよりも敬語などの使い方を含めしっかりしているのにびっくりしたほどです。(AIを使っているのかもしれませんがある程度の知識がないとスムーズな感じにはならないでしょう。)
個人的には日本も韓国研究はもう少し進めたほうが良いと思います。新大久保に集まる若者は消費やグルメから韓国への認識を強めていますし、安い航空運賃も手伝って若者の小旅行と言えば韓国が代名詞であり、2025年の若者の人気観光都市はソウルが1位です。50代から上の方にはまだ相当の抵抗を持つ方は多いのだと思いますが、一定のリスペクトをもってピュアな見方をすればずいぶん違った色に見えることを実感すると思います。
歴史問題は無くなったわけではありません。いみじくも習近平氏が共にあの時を忘れてはならないと李氏に働きかけをしましたが、今回の高市氏との会談では歴史問題は出なかったとされます。あの李氏が歴史問題に触れず未来志向に立つというのですから、どこまで本気か気になりますが、少なくとも李氏も日本と共闘しなくてはいけない、よって過去のしがらみで足を止めてはいけないと考えているのでしょう。
個人的には両国の関係の更なる良化を願いたいところであります。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年1月14日の記事より転載させていただきました。