強制執行に行った先で相手から刺され、保証会社の社員が死亡、裁判所の執行官もケガをしました。よくある殺人事件の類かもしれませんが、家賃不払い⇒強制執行⇒破れかぶれ、俺の人生どうでもよいという激情型の人は案外どこにでもいます。横浜市市長の暴言問題も話題になっていますが、ヒトの行動がストレスフルな中で過剰反応してしまうケースが減らないのは何故なのでしょうか?アメリカでは「多幸性のお薬」で鎮静させたりしますが日本は規制があり、それもかないません。政府や民間企業、社会はそろそろこのあたりの原因追及と配慮を考えなくてはいけない時代になってきたようです。
では今週のつぶやきをお送りします。
何時まで続く金銀銅相場
何故金が買われたか、それはアメリカへの不信が背景です。何故銀が買われたかといえば金に比べて安いという比較論。ではなぜ銅が買われたか、といえば非鉄金属も希少性があって銅鉱山なんてそう簡単に新設できないからでした。その銅は「ドクターコッパ―」といって世界経済の体温計なのですが、ワイヤーハーネスなどで大量に使う自動車産業も北米の住宅やオフィスビルで使う建築資材の需要も今はそれほどではありません。
確かに銅は実需、銀も概ね実需、それに対して金は政治的であり、つかみどころのない物語がバックボーンにあります。一方、金の採掘限界は15-20年でやってくるとされるので、ないものねだりとなれば1オンス1万㌦になっても驚きはしないし、世界中の中央銀行が喜んで買う人類共通の価値観がある点は最大の強みとも言えます。
ただ実需という面からすれば銀はこの1年で3倍にもなっているのです。それこそレアアース並みの値上がりともいえます。そのレアアースも中国頼みの現状から西側諸国が手に入れられるところはないか血眼になって探しています。例えばリチウムはアルゼンチンでも出るのですが、私が投資しているアルゼンチンでリチウムを採掘している会社の株価はあっという間に3倍近くに跳ね上がりました。正に政治なのです。ということは金銀銅レアアースすべての相場に共通するのは政治が作り出すナラティブかもしれません。そして不和では買われ、落ち着いた時「こんな価格は無理」と言って実需が手を引く急落が待ち構えるのでしょう。「悪魔の金属」という言葉をご存じですか?銀相場のことですよ。
中道改革連合で困ること
誰が困るかといえば一部の国民であります。なぜかといえば政治の色が「どう違うのか」わからないのであります。中道改革連合(「中道」と訳します)は見るからに働く層と一般中流をターゲットにしています。いわゆるボリュームゾーン。個人的には現役世代が支持しやすいバランスのとれた政党は国民民主党かなと思います。労働組合の連合は立憲と国民の両建てで関係がありますが、この両建ては立憲が公務員や教員、国民民主が民間企業という一応の振り分けがあります。国民民主としては「中道」が「どんなポリシーを打ち出すのかね?」と気になるでしょうし、彼らの選挙での戦い方にも影響するでしょう。
公明党・斉藤鉄夫代表立憲民主党・野田佳彦代表 立憲民主党HPより
もう一つの困るグループは自民党穏健派です。自民党は右派寄りから中道までばらつきがある中、かつての中心軸は中道右派だったのですが、ポピュリズム政治が主流となりより中道路線に変わったのが自民党の政策の流れです。ところが高市政権がそれをぐっと右に寄せようとしているのですが、経済政策は「中道妥協路線」で外務だけが保守的な姿勢であります。ところがメディアはわかりやすさを引き出すために自民は右で「中道」は真ん中という位置づけで比較させようとしています。これは国民に誤解を招かねない表現だと思います。
私は右とか左という言葉を容易に使うべきではないと思うのです。日本の経済政策はほぼ中道か場合によっては中道左ぐらいでとにかく現役世代への配慮が強く出ているのが近年の政策です。新党「中道」がそれ以上求めるならそれは「中道」ではなく「ばら撒き党」、「クレクレ党」であって国の財政や長期的な展望を思慮すべき部分を疲弊させ、将来のことを考えず、今さえよければよい政策になってしまうのです。そして「中道」の出現で困ることは議員も各政党もそして国民もこの急造新党をほとんど理解できないまま、選挙をさせるわけで私は愚行と申し上げます。
中国とどう付き合うか?
カナダのカーニー首相が習近平氏と会談し、経済合意をしました。サプライズに近いのが中国EVの輸入に関して年49千台まで関税を従来の100%から6.1%まで下げること、また台数の段階的緩和も内包しています。中国はカナダ産カノーラオイル(食用油)の関税を85%から約15%にします。ここまで打ち出したのはカナダがアメリカとの関税交渉がうまく行かない中で国内経済の活性化と輸出先の多様化を目指すものでした。カーニー首相らしい展開で、トルドー前首相の時に対中国とは没交渉にまで悪化したカナダと中国関係がようやく改善に向かうのは双方にプラスでしょう。
以前からこのブログでお伝えしているようにアメリカも中国との経済取引については緩和方向にあり、4月のトランプ訪中で一定のインパクトがある合意がなされ、更に秋に見込まれる習近平氏の訪米でもう一段の合意がなされる可能性があります。私が見込む各種合意の中の目玉は中国製自動車ではないかとみています。カナダ同様アメリカも中国EVの輸出を一定程度許容するほか、中国メーカーのアメリカでの生産を承認する可能性を見ています。その兆候は今年のラスベガスのCESで中国車オンパレードだったことが伏線にあります。なぜ中国メーカーが大量出展したのか、政治的なにおいを感じます。
仮にそうなれば日本の自動車メーカーにとって厳しいインパクトがあるとみています。北米は実用主義でクルマは安定的で安全に動くことが第一という発想で安くて評価が一定以上ならこだわらずに買うアメリカ人やカナダ人は多いのです。80年代初頭におんぼろ韓国車がカナダで売れまくったのは価格が圧倒的に安かったからであり、市場は二分化されると言ってよいでしょう。中国との付き合い方は政治と経済を切り離してうまい駆け引きと世渡りは大事だと思います。
後記
この一週間でいわゆる賀詞交換に近いコミュニティの集りに3度出席しました。来週は4回あります。普段、話が出来ないコミュニティの方々と一年の初めに話をすることで今年一年のプラン作りにもなるし、自分への刺激にもなります。私の年齢がそうさせるのかもしれませんが、自分の会社のことは二の次でコミュニティや日系社会がどうベネフィットを得ていくのかという大きなピクチャーを描く中で自社の運営をするようにしています。皆さんから「今年は何をするの?」と聞かれるので「ビジネスの質を上げる」と申し上げています。この10年、攻めまくったので粗をきちんと補正していくことで会社も自分の強くなれると考えています。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年1月17日の記事より転載させていただきました。