オーバーツーリズムの原因は外国人より日本人観光客

t_kimura/iStock

コロナ禍で一時激減した外国人観光客が再び増えているようです。それに伴い、再びオーバーツーリズム問題がフォーカスされています。

確かにマナーの悪い外国人が地元の観光地の人たちとトラブルを起こすケースもあります。例えば外国人宿泊客が深夜にパーティーをして騒いだりして近隣に迷惑をかけるといった事例です。しかしこれは外国人に限らないことです。

私が東京で運営してもらっている民泊施設でも日本人と思われるグループが騒いでリビングルームのソファを破壊したケースが報告されています。

5年前のこちらのブログにも書きましたが、日本人旅行者は、土日祝日やゴールデンウィーク、お盆やお正月といった特定の期間に旅行者が集中する傾向があります。また宿泊日数が短く繁閑差が大きいのです。

例えば土日の1泊だけで宿泊予約されてしまうと、外国人の長期滞在の予約が入れられなくなってしまいます。外国人に人気のある高級旅館では、最低宿泊日数を2泊あるいは3泊にして日本人を排除しているところも出てきています。

また、日本人は旅行にお金をあまり使いません。観光庁によればインバウンド観光客1人当たりの消費額は約21万円なのに対して日本人の宿泊旅行は約5万円に過ぎないそうです。

つまり日本人観光客は「儲からないお客さん」と言うことになります。

観光地の混雑を解消したいなら、4分の1しかお金を使わない日本人を4人減らして、外国人観光客を1人増やした方が同じ売り上げで混雑は緩和できる計算になります。そう考えればオーバーツーリズムの解決策は外国人よりむしろ集中してやってきてお金を使わない日本人旅行者を減らすことにあるように見えます。

さらに、外国人の中でも地域によって旅行の平均日数や消費金額が異なります。例えばオーストラリアのような消費金額の多い国の観光客を増やすことができれば、同じ観光客数でもより潤うことになります。

インバウンド観光客の国別構成を分散させれば、特定の国に依存することもなくなり、政治的なリスクにも対応できます。最近の日中関係の悪化によって中国人観光客が減っているのが大きな問題になっていますが、中国人観光客の比率を小さくすればこの手のリスクを抑えられます。

そもそも外国人観光客を批判する前に日本人がもっと分散して休みを取るようになれば、それだけでも観光地の混雑は緩和されると思います。

観光は日本に残された数少ない成長の可能性のある産業です。国籍に関係なく旅行者に快適な環境を提供しながら気持ちよくお金を使ってもらうための戦略をもっとしたたかに考えて実行した方が良いと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年1月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。