大阪では出直し知事市長選挙が行われます。この選挙についてもいろいろ批判があるようですが、衆議院選挙の陰に隠れてしまっているようです。そのあたりの声は地元の方から聞いてみたいものですが個人的には吉村氏は戦略を外しているような気がします。多分、与党維新という立場を通じて訴えたかったのでしょうが、知事選と市長選であってそれぞれの議員選ではないこと、さらに盛り上がらないことに主要政党は誰も候補者を立てないので争いにならない選挙なのであります。これぞ公費の無駄遣いでしょう。
吉村氏は若干地に足がついていない気がします。橋下氏はどうとらえているのでしょうか?
吉村洋文 大阪府知事と横山英幸 大阪市長 大阪維新の会HPより
さて今日の本題は副首都構想です。これは吉村氏が与党入りするにあたり掲げていた条件の一つであります。さて、この議論、深まっているのでしょうか?
直近の副首都構想の発想は2005年に議連が結成され、国家危機管理国際都市構想なるものが議論され始めたのがきっかけだと思います。その前には首都機能移転の議論が90年代に積極的に行われ、日本国内に3つの候補地、すなわち栃木福島地区、岐阜愛知地区、三重畿央地区に絞り込まれた経緯もあります。
この背景は東京に巨大地震がいつ来るかわからない中でバックアップ機能を持たない現状を早急に打破するということでした。その意味での首都移転議論の真の出発点は関東大震災の時だったと言われています。その後、小泉純一郎氏が首相当時に「東京と大阪の間は避けたほうが良いだろう」と発言したのは首都移転に異論はないが場所は慎重にさらに検討すべし、という意味だったのでしょう。
今回、話が出ているのは大阪副首都構想であり、あくまでも東京がメインだが、大阪にもその機能を持たせることでいざという時にすぐに対応できるようにするということであります。
この移転構想、普通は官庁をどこに動かすか、という話に目が行きますが、案外大事なのが皇居なのであります。東京が壊滅的被害となればそれは皇居も同じことであり、皇族方はどこかに移らねばなりません。どこが適当か、私が勝手に言えば京都御所しかないと思います。
京都御所は宮内庁が管理する数少ない皇室の財産地であります。御所は一時、十分に手をかけなかったため、大荒れの状態でしたが近年、ようやく改善されてきた状況にあります。動きやすいという点も含め、私は御所一択であります。その昔の首都移転構想の際には私は「栃木福島」は妙案だと思っていました。案外地震は少なく、天皇の那須の御用邸があり、どうにか避難できる体制が作れるからであります。(あくまでも首都機能は東京であり、機能回復まで疎開するという発想です。)
大阪に副首都機能を持たせる発想は京都との距離からも悪くはないと思います。場所は伊丹空港跡地論が橋下徹氏が強く推した構想です。つまり伊丹空港は騒音問題があるから廃止してそこに副首都を作るのだという発想ですが、結局、騒音問題よりも便利さを重視した住民の声が上回ることになります。ただ、副首都と言ってもどこまでどれだけの機能を持たせるのか、ということを含めたグランドデザインをしないと中途半端になるでしょう。また移転地が絞られると周辺地価の暴騰が見込まれます。よってその影響を極力受けないエリアを慎重に選定するとともに陸路、空路のアクセスの良さを考える上では別に大阪府に限らなくても京都でも兵庫でもよいと思います。
個人的には名古屋というのも悪くない選択だと思っています。それはリニアがまずは名古屋までの開通であり、大阪までの延伸はまだ相当時間がかかり、それまでに巨大地震が来てしまう可能性があるのです。ただ東京が壊滅的状況になれば新幹線やリニア、空港という「副首都に向かう足」もダメージを受ける可能性はあります。その点は小泉純一郎氏の意見には一理あるわけで、陸路のアクセスが取りやすく、距離が比較的近い「栃木、福島」構想のアドバンテージは今でもあるのだと思います。
官庁勤めの人にこの話をすると「都落ち」のイメージが強いらしく、眉をひそめる方が多かったという記憶があります。ただ、世界を見ると経済中心地と首都機能は別に設けている国も結構あります。カナダはオタワ、アメリカはワシントン、ブラジルはブラジリアといった具合で普段は行かない政治中心の街を形成しています。またカナダは一つの省庁も機能をあちらこちらに分散させており、言い方を変えれば雇用などをうまく考えているとも言えます。
高市氏が気をつけなくてはいけないのは副首都構想とその候補地はポンポン決められるものではないという点であり、維新と連立与党になったから大阪を選びました、というのでは無理があると思います。セキュリティ面やコストなどを含め、もう少し慎重に考えるべきでしょう。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年1月23日の記事より転載させていただきました。