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タイでも嫌われる中国人
日本では今、中国人などの不法滞在者や違法行為を犯す外国人を取り締まろうとする政府の動きが出ていますが、タイでも同様のことが始まっています。
タイでは、何世紀も前に移住してきた中国人の子孫達が今のタイ経済を牽引しているともいえるのですが、彼らはシンガポールなどに多い中国の国籍を保持したまま外国に住む華僑とは違い、タイ国籍を選択した華人の子孫であり、今では完全にタイ社会に同化し、自分たちがタイ人であることに誇りを持っています。
それもあって、ここ数年で大量に移住してきた中国人とは相容れないところがあり、タイ語でもタイジーン(中国系タイ人)とコンジーン(中国人)で区別するし、元は同じ中国人であっても決して仲良くはありません。 これが不法就労や違法行為を行う中国人を追放しようとするタイ政府の動きを助けているところもあり、タイではこのところその効果が出てきています。
追放される中国人
タイに入国した中国人達は、法の抜け穴をついてレストランなどの飲食ビジネスや、安いコストを利用したコンピュータ機器の輸出事業などを違法に行っている。
そこでタイ政府は地区職員や保健当局を動員して、配管や衛生状態を徹底的に検査して問題点を指摘し、それを解消しなければ営業停止にするという厳しい措置を取っている。その結果、多くの企業が廃業に追い込まれた。
また、別の大きな問題は、学生ビザを就労の隠れ蓑として利用する中国人である。彼らは学生として登録し、授業料を支払って学生証を取得するが、授業には出席せず、最長8年間タイに滞在して働くことができるという法律の抜け穴を悪用している。
しかし、政府の厳格な検査が始まると、タイで働くために来た中国人の中には、学校に一度も通ったことがない学生が多数判明し、彼らは資格を剥奪されて数千人が母国に送還された。
その結果、タイに留学する中国人学生数は、ピーク時の2万7,000人から2025年には2万4,000人まで減少したとされている。また、そのほとんどが大学レベルでの留学生であった。
タイのビジネス紙、プラチャーチャート・トゥーラギットより
さらに、コールセンター詐欺のアジトにも次々と警察の強制捜査が入り、ここ数カ月で目に見えて数が減っているということであり、着々と犯罪を犯す中国人の逮捕が進んでいます。
また、以前にコラムを寄稿しましたが、中国人による違法な不動産取得や民泊などの違法賃貸においても調査が始まり、地下銀行を使って違法な送金をして購入していたり、本来外国人が買えない物件を委任状を使ってタイ人名義で購入したりする違法行為の摘発も始まっています。
厳格になるビザ発給
さらにビザの審査は厳格化され、審査プロセスはより詳細かつ長期化している。また、産業分野でも中国人へのビザ発給は厳しくなり、場合によっては1か月に及ぶ遅延も発生している。
プラチャーチャート・トゥーラギット
タイの場合、日本と違ってベトナム人就労者はあまりいないようですが、国境を接するミャンマーやカンボジア、ラオスから陸路で越境して入ってくる就労者は昔から多くいます。
しかし、彼らは工事現場や工場などで単純労働者として働くことが多く、犯罪を犯すことはそれほど多くありません。一方、不法就労だけでなく違法なビジネスや詐欺などの犯罪を犯すのは、中国人であることが多く、タイの新聞などでは中国人検挙の記事がしょっちゅう出ています。
こんな状況下、タイ政府も中国人不法就労者の取締りや国外追放に本格的に乗り出しているわけですが、それに比べれば、日本では中国人の組織的犯罪はまだ聞かないし、タイにいる中国人より日本にいる中国人の方が素性がいいのかもしれません。
しかし、タイでもそうですが、中国人は数が増えて集団を作るようになると、わがもの顔で傍若無人になるという習性があるので、近いうちに日本でも今のタイのような深刻な社会問題に発展するかもしれません。