仕事が出来ないサラリーマンほど会社を嫌う理由

黒坂岳央です。

「サラリーマンほど会社を嫌う」

これは誰もが薄っすら感じていることだろう。だが全員ではない。仕事にフルコミットする会社大好き人間もいるし、同じワーカーでも独立した人で会社が嫌いな人はあまり見ない。

厳しい意見ではあるが、筆者は「仕事が出来ないサラリーマンほど最も会社を嫌っている」と思っている。その逆に会社で活躍するスター社員は会社に対してフラットな気持ちで仕事をしている肌感覚がある。

このテーマを言語化したい。

pain au chocolat/iStock

 

人は依存度が高まるほど相手を憎む

人間は、相手への依存度が高まるほど、その相手を憎むように出来ている。これは感情の歪みではなく、生存戦略として極めて自然な反応である。

最も分かりやすい例が親子関係だ。自立できない子供ほど、親に対して強い反発や嫌悪を抱きやすい。親に養われ、守られているにもかかわらず、である。理由は単純で、親が「生殺与奪を握る存在」になるからだ。逃げ場がない関係は、感謝よりもむしろ恐怖と怒りを生みやすい。

夫婦関係も同様である。専業主婦の妻が夫を憎むケースもあれば、家事・生活を妻に依存している夫が、妻に強い不満を募らせるケースもある。ここで決定的なのは性別ではない。依存する側が相手側を憎むという構造である。

国家間関係でも同じだ。安全保障や経済面で生殺与奪を握られている相手国ほど、強い脅威として認識され、敵視されやすい。

このように依存関係は、必ず緊張と憎悪を内包する。

会社と社員の関係も例外ではない

仕事が出来ず、市場価値も低い社員ほど、その会社に強く依存することになる。転職できない、交渉できない、選択肢がない。結果として会社は「守ってくれる存在」ではなく、「自分の命を握る存在」に変わる。

一方、仕事が出来る社員ほど会社に対する感情は驚くほどフラットだ。会社を愛しているわけでも、嫌っているわけでもない。「今は自分のキャリアのためにここを使っている」という距離感である。なぜなら、辞めようと思えば辞められる。依存ではなく相互依存の関係にある。

筆者自身がそうだった。派遣社員の時代は不況真っ只中で勤務先を変える勇気もなく、そのくせ会社の悪口は結構いっていた。だが、転職を繰り返しながらキャリアアップをしていた時期は「自分の能力に見合わない給料をくれてありがたい」と感謝の気持ちが圧倒的に強かった。

転職直後から次の先を考えて働いていたし、実際、脱サラしてしまった。今でも過去の勤務先には強い感謝の気持ちを持っている。

重要なのは、「仕事が出来ない人は性格が悪い」といった話ではない。成果を出せない状況に置かれ、選択肢を失うと人は自分自身への嫌悪を認められず、その矛先を相手に向けてしまうのだ。

憎しみの正体は無力感である

会社への憎しみの正体は、怒りでも不満でもない。無力感である。

努力しても評価されない。環境を変えたくても変えられない。辞める自由も、交渉する力もない。この状態に置かれた人間は感謝ではなく相手を憎む。与えられるものは「当然」として受け取り、相手が期待通り動かないと腹を立てる。

だから会社は待遇改善をしても、こうした社員が抱える感情の問題は解決出来ない。縛れば縛るほど、依存は深まり、憎しみは強くなる。皮肉なことに、社員を囲い込もうとする企業ほど、社員から嫌われる。

「感謝が出来ない人はちょっと…」と敬遠されがちな理由はシンプル。その人物の能力の低さ、依存度の高さが別の形で現れているからだ。もちろん、能力の高低がすべてではないし、個人差はあるが概ね傾向として当たっていると思っている。

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なめてくるバカを黙らせる技術」(著:黒坂岳央)

働き方・キャリア・AI時代の生き方を語る著者・解説者
著書4冊/英語系YouTuber登録者5万人。TBS『THE TIME』など各種メディアで、働き方・キャリア戦略・英語学習・AI時代の社会変化を分かりやすく解説。