パリ国立オペラ座バレエ、昇進試験コンクール。パレ・ガルニエで、3日、4日にわたって開催。
一昨年に昇進試験がなくなり、去年は下のクラスのみ実施。その間に、うやむやにプルミエダンスール&ぷルミエールダンスーズに上がってしまったダンサーたちにうんざりし(コンクールしてたら通過しなかっただろう人たち多々…)、ようやく以前のコンクールが戻ってきて、みんな大喜び。今までと違い、課題作品が選択制になるなど少し自由度が増した。
平土間席に設置された審査員席
見学者は、バルコンやロージュ
バルコンには、現役&往年のダンサーたちがたーくさん
感想。コンクール開催順に、下のクラスから。
カドリーユ男子:3名昇進
一位はもちろんシャール・ワグマン。満場一致だったことでしょう。自由作品、プティの”オペラ座の怪人”、見事。年末の”ノートルダム・ド・パリ”でフロロ踊ってくれればいいのに。去年秋に初めて見て、才能にうっとりした。ほんと、パリに来てくれてありがたい。二位は、うーん。三位のルー・マルコ=ドルアーは納得。コンテのダンサー、”ボディ&ソウル”も”ドッグズ&ドッグズ”も雰囲気あってよかった。応援してた子はランキング外。見る目ないね、私。コンクールでなかなかいいな、と思った子たちも、四位とランキング外。
課題の一つに、”オネギン”のレンツキー。あんな長くて演技力が肝の作品、カドリーユにはきつい。別の作品にすれば良かったのにね。
全体的にいい感じで、将来楽しみ。
カドリーユ女子:2名昇進
一位は、こちらもおそらく満場一致で、イエーウン(って読むのかな?Yeeun)・リー。ガムザッティなかなか、自由の”パキータ”とてもお上手。
二位、ソフィア・ロソリーニ。ようやく上がれて良かったね。”シーニュ”はオーラなしでピンと来なかったけど、”フーケアーズ?”は長い手足をいかしてテンポもよかった。
三位に入ったリュシー・ドヴィーニュも、私は好きだったな。私なら彼女を二位に入れた。
コリフェ女子:2名昇進
一位アポリーヌ・アンクティル、二位セオホー・ユン。んー、まあそうなるかな…。個人的には、7人の出場者で、おぉ!!という人、いなかった。
コリフェ男子:2名昇進
一位エンゾ・ソガー、納得。というか、まだコリフェだったのね。課題の”スイット・アン・ブラン”マズルカ、良かった〜。推してた子はランキング外。”シルヴィア”、なかなかだったと思うんだけどな。
シュジェ女子:2名昇進(男子は今年はゼロ。去年適当にあげた人たちの分、枠を返してほしい…。シュジェ男子、プルミエになる価値ある子何人かいるのに。)
一位は間違いなくクララ・ムーセーニュ!と思ってたのに、なぜか二位通過で、一位はビアンカ・スキュダモール。まあ、なかなか上がれなくてようやく!で良かったよ。愛くるしくてチャーミングなダンスーズ。
でも、同じ課題作品踊った”スイット・アン・ブラン”は、技術的にも腕の美しさでも、クララの方が断然素晴らしかった。クララの自由作品は”パキータ”。見事なグランド・ジュテから始まり、キラッキラの完璧な踊り。抜群の技術と天性の気品に加え、細かなニュアンスにどんどん磨きがかかってるクララ。エトワールになる日が待ち遠しい。
ビアンカの自由は”アザー・ダンシーズ”最初のヴァリアシオン。ちょっとおもたげではあるけれど、似合うの選んだね。以前、全然似合わない作品選んで、プルミエールになり損なったことがある。作品選び、大切。
クララ、最近腕がますますうつくしくなった
指先の繊細なフォルムもとっても素敵
横のバレエライターさんとおしゃべりし、オペラ座バレエがどうしてこんなにレベル下がってしまったのか、オペラ座、オペラ座学校、ミルピエ、ダンサー、行政、それぞれの分野での問題点を聞き、なるほどなぁ、と頷くことしきり。
彼女と話していたお爺さまのコメントがあまりに的を得ていて、後で、あの方どなた?”と尋ねると、”ジルベール・マイヤーよ!”と。往年中の往年のダンサーかつ卓越したダンス教師としてオペラ座バレエとオペラ座学校を支えた人物。”あんな見事なコメント、なかなかないですよねー”というと、”そうなのよ、彼は本当に素晴らしい人物。なのに、今のダンサーたち誰も彼にアドヴァイス求めに来ないらしいのよ…”と。なんとまぁもったいないこと。セルジュ・リファーととても近い関係だったそうで、リファー踊ったダンサーたちへの鋭すぎるコメント(というかダメ出し(笑))に心から納得した。
男子だけでなく女子も、こういうダンサーにこそ、アドヴァイスもらうべきだと思う。
昇進したダンサーたち、おめでとう!パリ国立オペラ座がよりよいダンスカンパニーになるよう、頑張ってね。
Photos des danseurs : (c) Maria-Helena Buckley OnP
編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々6」2025年11月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々6」をご覧ください。