SaaS株暴落は「AIに仕事が奪われる」時代の入り口か

SaaS関連株が3日の欧米市場、4日の東京市場で一斉に急落した。きっかけはAnthropicの新AIエージェント「Claude Cowork」報道で、「人がソフトを操作する」前提が揺らぎ、SaaSのビジネスモデルそのものへの不安が広がった。SaaS(サース)とは「Software as a Service」の略で、ソフトを買い切るのではなく、インターネット経由で月額や年額を払って使う業務ソフトのことだ。会計、顧客管理、名刺管理、勤怠管理、データ分析などが典型例で、企業は「従業員1人あたり月○円」という課金制で利用することが多い。

  • 発端は「Claude Cowork」の報道だった。AIがPC内のファイルを自動で整理・作成・編集する機能が示され、「人が業務ソフトを触らなくなる」との連想が広がった。

【参照リンク】アンソロピック新AIツールで激震、ソフト株急落-市場全般に売り波及 Bloomberg

  • 市場は「UIの価値低下」を織り込んだ。AIが作業を代行すれば利用人数が減り、席課金モデルが維持できないとの懸念が強まった。
  • 欧州では専門情報・法務系のソフト株が急落が急落した。RELXやWolters Kluwer、LSEGなどが大幅安となり、「専門知」の陳腐化が意識されてしまった。
  • 米国でもSaaS・データ系も売られた。Salesforce、Adobe、Datadogが急落し、Gartnerなど調査系は20%超の下落となった。
  • 東京市場はSaaS銘柄が狙い撃ちされた。Sansan、ラクス、freee、マネーフォワードが10%前後下落した一方、TOPIXはプラス引けだった。

  • 投資家は「AIで宿所する業界」を警戒した。足元の業績が良くても、将来AIで価値が減ると見なされれば売られる局面に入った。
  • ノーコード・軽量業務SaaSへの悲観が強まった。簡易な業務改善ツールはAIで内製化されやすく、中途半端なSaaSは駆逐されるとの見方が広がった。
  • 一方でデータベースや統合基盤など、AIの土台となる領域は価値が残るとの評価が出ている。
  • 企業向けソフトはコードだけではない。保守、セキュリティ、コンプライアンス、統合、サポートが必要で、SaaSが全面的に不要になるわけではない。
  • テック全般の売りではないが、SaaSにはしばらく逆風が続くとの認識が広がった。
  • もちろんすべてのSaaSが影響を受けるわけではないが、職業面の不安も高まった。SEなど一部の仕事はAIに代替される可能性が意識された。

今回の急落は単なる相場変動ではなく、「人がソフトを使う」時代から「AIが代わりに動く」時代への転換を示す警告だったのかもしれない。もちろんSaaSがすべて消えるわけではないが、AI時代に生き残れる企業と淘汰される企業の線引きは、これからさらに鮮明になる。