高市早苗首相が京都府内の街頭演説で「食料安全保障は、食糧自給率100%を目指す」と表明したことで、食料政策の現実性と経済安全保障の方向性をめぐる論争が再燃している。京都での街頭演説をきっかけに賛否が広がり、目標の妥当性、政策の具体性、社会への影響が問われている。
- 首相は食料安全保障の強化を掲げ、自給率100%を目標に据えたが、達成までの工程や具体策は示されていない。
- 食料自給率はカロリーベースで約4割にとどまり、定義や算出方法を踏まえない高市首相の「100%達成」は現実離れしているとの批判が出た。
- 円安容認や国内優先の発想は「重商主義的」で、国際分業を軽視しているとの指摘が相次いでいる。
- 自給率100%を実現するには、一次・二次産業の就業比率を大きく引き上げる必要があり、教育や進路選択の自由が狭まる懸念がある。
- 移民抑制や自給自足志向とあいまって、「令和の鎖国」に向かうのではないかとの警戒が広がった。
- 積極財政と国家主導投資が進めば、インフレや金利上昇を招き、地銀や生保の経営リスクを高めるとの見方もある。
- 一方で、技術的に職業自給率の向上は不可能ではないとする見方もあり、その場合はJA改革や大規模化など農政の抜本改革が不可欠となるが、高市首相はそうした制度改革に踏み込まず、「目標だけ先行している」との懸念が強い。
- 一方の野党側は、「裏金問題」といった政局を優先し、本質的議論を深めていないとの批判も出ている。
総括すれば、論点は「自給率100%の是非」よりも、目標に見合う具体策と制度改革を示せるかに移っている。工程表なきスローガンにとどまれば、選挙後の政策運営への不信を高めるだけだ、というのが今回の議論の帰結である。
応援演説をする高市首相 同首相Xより