大富豪ジェフリー エプスタイン。少女売春などで収監中の2019年に自殺。同氏の華麗なる人脈とその`暗部が世界をここまで揺るがすとは思ってもいませんでした。
エプスタイン氏 Wikipediaより
当初この問題は事件の衝撃もさることながら、アメリカの政治的意向が強く働いた形で取り扱われたように感じます。エプスタイン氏との関係者にクリントン氏とトランプ氏両方が含まれるからです。トランプ氏はクリントン氏を責め、ひいては民主党を叩く戦略に出ます。クリントン氏は当初、裁判所からの召喚状を拒否していましたが、方針転換し、それを受け入れ、クリントン氏とヒラリー夫人が共に出廷することになりました。日程は決まっていません。
クリントン元大統領 同大統領Xより
この問題で次に飛び火したのがラトニック商務長官であります。ラトニック氏は政権に入る前、カンター フイッツジェラルドという金融サービスの会社に30年近く在籍していましたが、その当時にエプスタイン氏とつながりができたとされ、民主党議員から激しい突き上げを食らっており、ここにきてメディアが大きく報じ始めています。ただ今日の報道ではエプスタイン氏のそのような人的背景は全く知らずにランチを食べたぐらいだとその関係を否定しています。
赤沢大臣との関税交渉も記憶に新しいラトニック商務長官 同長官Xより
クリントン氏とラトニック氏に共通しているのはエプスタイン氏と接点があったのが2000年代初期で20年以上昔の話という点です。これはトランプ氏も同様です。当然ながらエプスタイン問題で非難を受ける側としては「そんな昔の話をされても…」だし、クリントン氏も「彼が少女売春などしているとは全く知らなかった」と述べています。
エプスタイン問題は海を越えて英国での騒ぎがより大きくなっています。コトの発端はピーターマンデルソン元駐米大使がエプスタイン氏との接点があったことが判明したことです。これが国内世論で大炎上します。これを受けてスターマー首相の懐刀のマクスィーニー首席補佐官がマンデルソン氏を駐米大使に「推薦」した責任をとって辞任します。ところがただでさえ不評で支持率が低迷している労働党のスターマー政権を潰そうという意図もあるのでしょう。世論はスターマー氏の任命責任で辞任を突き付けているのであります。ことはかなりセンシティブで割と早い時期に辞任に追い込まれる可能性が出てきていますが、労働党に適当な後継者がいないという問題点があります。
ピーター・マンデルソン議員 Wikipediaより
英国では王室にもこの問題は波及しています。チャールズ国王の弟、
氏はエプスタイン氏絡みで性的虐待の疑惑があり、その上、国家機密情報をエプスタイン氏に漏洩しその見返りをもらっていたとされ、調査が進みます。チャールズ国王はアンドリュー氏の王子の称号をはく奪する事態になっています。
アンドリュー王子 Wikipediaより
エプスタイン氏は人たらしでありますが、実体は誰にでもその本性を公開していたわけではないと思います。ただ、これだけの華麗な社交界において単なる人たらしだけではこれだけの人は集まってこないはずで、そのからくりがどこにあるのか、調査を待ちたいところです。
今回の問題はエプスタイン氏に端を発したものの、英国のように世論の不満に火をつけ、首相退陣を迫るほどになる理由は2つあると思います。1つはどれだけ昔の時代の交流であってもそこに接したことがある人物は「不浄」であると人々が考えている節が見えるのです。2つ目はアメリカにしろ英国にしろ世論を二分するような政治的背景の中で鬼の首を取るがごとく、反勢力派が気勢を上げるネタにされたとも言えないでしょうか?世の中が極めてギスギスし、時として一触即発状態にあるとも言えます。
似たような問題、例えばマイケル ジャクソン氏の虐待疑惑も当時、確かに大きな話題にはなりましたが氏の音楽は今でもラジオから普通に流れています。ではジャクソン氏は不浄ではないのか、と言えば裁判で無罪を勝ち取っているので疑惑は晴れているということなのでしょう。日本では例えばチャゲアスのアスカ氏が麻薬で2014年に捕まったあと、彼らの数々の栄光の楽曲ファイルを閉じるような形になってしまったのは確定犯として人々が不浄と判断し、それは何時までも解消されないのだと説明できるのかもしれません。
だとすれば調査の進捗次第ではトランプ氏だってクリントン氏を責めているような状態ではないのかもしれません。この問題、まずは英国の展開、そしてクリントン氏の召喚、更にラトニック長官の去就など当面の話題は尽きないようです。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年2月11日の記事より転載させていただきました。