サラリーマンは囚人とは異なる「特権階級」

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時間の自由がないサラリーマン生活はよく囚人に例えられ、新入社員は「懲役40年」などと揶揄されます。

確かに規則正しい労働時間によって自分の時間の自由が拘束されてしまい、命令には服従しなければいけない点はよく似ています。

ただ囚人は脱獄しなければ自由になれませんが、サラリーマンはいつでも自分の意思によってやめて自由になることができます。

と言ってもサラリーマンが自由を求めて安易に組織を離れるのは危険です。いつかそのような決断をするとしても、それまでに入念な準備を行い万全を期した上で慎重に行動するべきです。

なぜならサラリーマンは囚人とは異なり、様々な面で優遇されている社会の「特権階級」でもあるからです。

まず、日本の会社の正社員は労働基準法によって守られており、簡単に解雇される事はありません。成果が上がらなかったとしても、給料日になれば決められた収入が得られ、会社が存続する限り極めて有利な環境にいられます。

安定した大企業であれば会社に座っているだけでもそれなりの収入を長期間得続けることも可能です。

仕事の結果にあまり左右されない安定した収入は、成果が収入に直結する自営業者にはない安心感です。

また割り切ったサラリーマンになれば週末の金曜日になれば仕事をスパッと忘れることができます。自営業のようにエンドレスに仕事を気にする必要はありません。

そして、もう一つのサラリーマンの特権が「お金を借りる力」です。

会社の看板(信用力)によって自分にも信用力が付与され、金融機関から低利でお金を借りることができるのです。

自営業者でも実績が伴えば金融機関からの信用を得られますが、サラリーマンに比べれば時間がかかり有利とは言えません。

ただし、この信用力は本人の能力に基づく評価ではありません。あくまで所属している組織から付与されているものに過ぎません。

このように見ていくと、自由のためにサラリーマンを辞めるより、サラリーマンの特権を享受しながら自営業と同じような自由を確保する現実的な方法を模索するのがベストなのかもしれません。

少なくともサラリーマンを続けるのであれば、その特権を使わなければもったいないと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年2月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。