総括、今回の衆議院選は何だったのか?:自民党はもう十分に中道政策を施していた

アパホテルの元谷外志雄氏がお亡くなりになりました。夫人の芙美子氏と二人三脚で一代でよくこれだけのビジネスを立ち上げたと思います。芙美子氏を広告塔兼社長にするも外志雄氏が戦略家で実質的な支配者でありました。アパと言えば室内に置かれた保守的な書籍が一時話題となりました。当地のアパでもその話題が出たことがあり、私もどこかのアパでそれを手にしたことがあります。個人思想とビジネスは多少分けなくてはならず、ホテルルームを自己主張の場としたのは頂けなかった点です。似た話はDHCの吉田嘉明創業者と「虎ノ門ニュース」の関係みたいなものでDHCをオリックスに売却した際に足手纏いになった件はよく知れた話です。ビジネスはドライでウェットなアクセントがちょっとあるぐらいのほう良いのでしょう。

では今週のつぶやきをお送りいたします。

しっくりこない株式市場

しっくりこないのはアメリカの株式市場。トランプ氏から苛められているカナダの株式市場は健全そのものでパフォーマンスは悪くありません。この差は何か考えていたのですが、もしかするとアメリカへの投資の手が引いているのではないか、という気がしないでもありません。その理由は「読めない相場には手を出すな」であります。私はアメリカには二つの魔物が住んでいると思っています。1つはトランプ大魔王。もう1つがAI大魔神であります。

トランプ氏は壊し屋であり、今まで構築したものを叩き潰すゴジラのようなものですがこのやり方は一種の「はやり」であって人々に強度の刺激を与えるけれどいずれ、飽きられるとみています。気になるのは「出る、でる、もう出る」と言われながら出てこない関税に関する最高裁判断です。個人的には「敗訴を前提にその影響が大きいので政権が時間稼ぎをするべく画策している」のではないか、という気がしないでもありません。

もう1つはAI大国のアメリカがAIの普及であらゆる産業に影響が及ぶことにおののき、投資家が手を引いた点です。数日前のAIミニショックはグーグルのジェミニ3の改良版の発表が起因していますが、その内容にインパクトがあったわけではないのです。ただ、株式を売る理由を探していた投資家が想像力たくましく「AIはこんなに悪い影響がある!」と逃げ去ったのが原因です。例えば「アメリカのオフィスはAIの普及で従業員が減り、オフィス需要が減少するからオフィスREITを売ろう」と1日にして1割も下げるわけです。全く論理的ではないけれど、時として投資家の逃げ足はウサギより早いのです。日本も海の向こうの話とは思わない方が良いと思います。

総括、今回の衆議院選は何だったのか?

歴史的な結果となった衆議院選でしたが、その背景は何だったのか、私の総括をしたいと思います。まず、最大のポイントは自民党内政権交代を国民がこぞって支持をした点であります。石破政権に極めてネガティブな声が高まり、フラストレーションがたまっていた中で高市氏が初の女性首相、保守的、芯の強さ、タフネスと分かりやすさに関西弁が混じる親しみやすさは石破氏と真逆の印象を与えました。高市氏ご本人が言っていたように公明から維新に与党の組み換えもあったことを含め、これは前政権を引き継ぐというより新たな政権を作ることを国民に問う、であったとみています。

では中道の惨敗です。私の見方は非常に明白で、自民党はもう十分に中道政策を施しているのだという点です。つまり共同代表だった斉藤氏が「中道!」と咲けば叫ぶほど私からすると「大変な勘違いしていないだろうか?」と思っていたのです。分かりにくかったのは高市氏は保守派と位置付けられていますが、それは外交政策や対外政策であり、内政、特に国民生活に直接的な影響がある経済政策は中道そのものであってその点は近年の自民党の流れからは逸脱していません。

ある意味、斉藤氏は高市氏とウマが合わなかった、そしてそれはもともと自民党と与党を組んだ時からのモヤモヤがここにきて噴出したともいえます。個人的には今回の選挙結果の過半は斉藤氏が蒔いた種である敵失であり、更に野田氏ととんでもない新党立ち上げを一か八かでぶつけてしまったともいえます。野田氏は自身が首相の時、安部氏との国会論戦で解散発言をしたことが歴史に残る党首討論とされ、民主党はそれで大敗します。野田氏は今回が2度目のお手付きともいえ、本来であれば政界からの去就すら考えられるところだったと思います。

衆院選に大勝した高市首相

中途半端になったスターバックス

私にとってスタバとはアメリカで猛烈な勢いで伸び続けていたその初期からのお付き合いであり、カフェを8年間経営していた時の仮想ライバルでした。ビジネスモデルケースとして良い勉強をさせて頂いています。ただこのブログではかなり初期の頃から「スタバはマクドナルド化する」と警鐘していました。案の定、急速な多店舗展開、そして「心地よい一瞬の非日常」から持ち帰り主体に変わったことは魅力をほぼ失ったとも言えます。これを加速させたのはドライブスルー方式です。スタバのエスプレッソマシーンはオートマシーンなので誰でも同じ味になるためスタバで「バリスタ」やっているなんて恥ずかしくて言えないNon Skillな業務。挙句の果てに組合を作られて個性はすっかり消えたのです。

私の会社から歩いて3分以内にスタバが3軒あったのですが、全部なくなりました。ふと考えてみればスタバは近くからほぼ消えました。なくなり始めたきっかけの一つは高級住宅や高級コンドミニアムが建ったエリアでの減少です。理由は彼らは自宅で最新型のエスプレッソマシーンを持っているのでもっと自分の好みに合わせたコーヒーが自分で作れるのです。それが10数年前からの隠れたトレンド。とすれば「誰がスタバに?」なのですが、中流の方のプチ贅沢に変貌だったと思います。ところがコロナを機にお金の使い方や物事の価値観も変わり、物価が上昇したことでスタバを支えた中流が崩れたとみています。

私はスタバがマクドナルド化するという意味は2つの意味を持たせていました。1つは多店舗化、もう1つは購買層の質の低下であります。スタバはおしゃれな人が集まる、これが80年代から90年代初頭のトレンドで強烈なイメージだったのです。それが今では中流の贅沢になるもその中流が没落すれば誰が買うのか、というのが今スタバが抱えている問題とも言えます。日本のスタバはそうなっていないし、日本のマクドナルドは健全です。ですが、アメリカで私はマクドには行きたくないです。カナダですらごくたまに行くと失望で終わります。そもそもコーヒーはアップタウンの人には向かない飲み物です。古い話だけど映画「サタデーナイトフィーバー」はマンハッタンとブルックリンの身分対比という社会問題を内包しているのですが、その映画の会話にも出てきます。「私はコーヒーは飲まないわ」と。

後記
私の各種事業の契約更改の時期を迎えています。マリーナやストーレッジのお客様に値上げを含む更新のお願いのレターを出し、その後、続々とくる様々な意見、お願い、相談…に一件ずつ対応します。AI時代になんという、と思われるでしょう。差し込み印刷したフォームレターはすぐ出せるのです。だけどビジネスの真価はその後のやり取りにすべての意味があるのです。年次更新ですからこの時のわずかなやり取り、あるいは10分間の面談やよもや話で相手の心をつかみます。おかげさまでパンパン決まっていき、今年も全部埋まりました。口八丁手八丁、私は猪八戒の三枚目役、完全別人格を演じます。これでいいんですよ。ビジネスですからドライだけどちょっとウェットに、です。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年2月14日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。