中国の電気自動車業界ー小谷 まなぶ

小谷 まなぶ

 先日、友人の日本人工業デザイナーの方とお会いして話をする機会がありました。彼は、6年ほど前から中国に通い、中国で電気自動車のデザイン開発などを行っていました。


 中国に来た当初は、電気自動車を中国で製造販売するという計画を、中国政府の関係者に話をしても、なかなか受け入れてもらうことが出来ないで苦労したそうですが、最近は、時代の流れもガソリンから電気へ動力減が変わりつつあり、中国のあちらこちらの開発区から電気自動車の開発を、我が開発区で行って欲しいという引き合いがあると話していました。

 現在、中国にある電気自動車メーカーは、大小合わせて22社あるということです。中国政府の見通しでは、2020年頃には、ガソリン車と電気自動車の割合が、10台に1台が電気自動車となるということです。ランニングコストを考えても、ガソリン車が、1Km走るのにかかるコストは、15円に対して、電気自動車は、1Km当り1円という低コストで自動車を走らせることが出来、収入が割合少ない中国の地方都市、農村部での普及が相当見込めること言うことです。
 
 製造コストを考えても、ガソリン車に比べて、電気モーターの方が、構造が単純な分、コストを抑えることができ、また、電気モーターの開発は、ガソリン車ほど高度な開発技術を必要としないことから、中国の中小の企業でも参入しやすい業界であることがいえます。地方都市の産業の育成という観点でも、非常に期待されています。低速走行で市内間の移動に使うことを目的とし、一充電での航続走行距離が100km未満の小型自動車がこれから先、爆発的に中国で普及することが期待されていると言われています。
 
 その証拠に、中国では2人の電気モーターのスクーターの販売がここ10年で爆発的に伸びています。電気モーターのスクーターは、中国政府が奨励したこともあり、15年前から販売が始まり、今まで1億台以上売れたということです。現在、中国における電気モーターのスクーターの年間販売台数は、1500万台以上を記録しているということです。
 
 それと同じ現象が、中国の電気自動車業界でも起ころうとしています。今、中国で最も発展する可能性が高い産業は、まさに、低速で市内を移動する小型電気自動車と言うことがいえるのではないでしょうか。中国ビジネスのジャンルで巨大な富を得るチャンスがあるのが、電気自動車産業への参入することだと十分、予想ができます。

■小谷まなぶのオフィシャルブログ

コメント

  1. nnnhhhkkk より:

    http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/sapio-20100503-01/1.htm

    東京大学名誉教授・安井至氏は電気自動車は普及しないという見解ですが、これについてどう思いますか?
    素人的に自分が感じた限りではかなりの説得力があるように思えるのですが。

    ・すでにリチウムイオン電池の量産化は進んでいてコスト削減は完了している。
    ・電気自動車の構造も非常に単純。であるのにも関わらず値段が今でも異常に高い。
    ・構造が単純だからコスト削減できる個所も少ない。
    ・走行距離にも問題がある。
    ・燃料コストが安くても値段の高い電池の寿命の問題でライニングコストはガソリン車以上。
    ・充電に時間がかかり過ぎる。

    電気自動車が普及しない理由はだいたいこんな感じです。
    ぜひともこの意見の感想を現場で働いている小谷さんにお聞きしたくコメントさせていただきました。