既卒者のためにも雇用流動化を-松本孝行

2010年08月16日 21:55

 新卒一括採用の投稿を募集して1週間以上経ちます。大変遅れましたが、既卒支援で独立した私としてはやはり投稿すべきと判断しました。日韓関係の投稿募集が始まったのにもかかわらず申し訳ありません。これだけは!と思ったので今回だけ、お許しください。
 新卒一括採用について、私は新卒採用自体を否定はしませんが、基本的な採用は随時採用にすべきだと思っております。ですがそれを企業側に説得する材料を私は持っていませんし、リクルートなどの企業も今は新卒採用と比べて随時採用を売り込めるだけの材料は持っていないでしょう。


 茂木氏や他の新卒一括採用を否定する論はほとんどが感情論です。「新卒で就職できない人たちが出てくるのはかわいそうだ」とか「新卒でしか就職できないのはおかしい」などの議論が中心です。しかしそれでは企業は動きません。企業が新卒採用を行っているのは新卒採用が現状最も良い採用方法だと思っているから行っているわけで、随時採用に新卒採用を大きく超えるメリットを感じなければ、企業側は新卒一括採用をやめないでしょう。

 新卒一括採用から随時採用に変わるためには、私は二つのポイントがあると思っています。それは企業側と国・行政側にそれぞれ存在します。

【企業】
 企業サイドとしてまず行わなければならないのは、現場への人材採用の権限委譲です。アルバイト・パートなどの採用を考えてもらうとわかりやすいのですが、ほとんどのアルバイト・パートは現場で採用しています。飲食店・小売店であれば店長が採用しますし、大きなショッピングデパートでは、もっと末端の現場主任が採用をすることもあります。
 しかし、一般的な新卒採用ではほとんどが人事部(もしくは採用チーム)が人材採用を行います。そこからそれぞれの部や課に配属していくと言う方法が主体であり、現場からどうしても離れたところに採用権限があります。日本の場合は不思議なことに、カンパニー制や事業部制を採っている企業であっても、中央に採用権限が存在したりするのです。随時採用にするためには、現場に近い場所に採用権限があることが必須です。そうでなければ、本当に人材が必要な時というのが把握できないからです。1000人を超える従業員を持つ企業で人事部だけがそれぞれの部・課の人材ニーズを把握することは不可能です。
 ですが、これを行うと人事部の仕事を現場が奪うことになるので、人事部の反対は強くなると予想されます。

【国・行政サイド】
 国が行うべきことは雇用の流動化のための規制緩和です。派遣社員などの規制緩和が行われ、多様な働き方が出来るようになりましたが、それと正社員との間には大きな差があります。これは派遣社員が悪いのではなく、正社員の給与を削ったり、解雇したりすることが出来ないことが悪いのです。左翼的な人たちは解雇=悪いことと言う考え方がありますが、もし規制緩和で解雇などが容易に出来るようになれば、市場ではアウトプレースメントや人材派遣業・人材紹介業などが活発になるでしょう。これはほぼ100%間違いありません。人材関連業者たちはもそういった解雇や減給などで退職した人たち向けのサービスを作り出します。
 この規制緩和による雇用の流動化がなければ、新卒一括採用が続くでしょう。現在、国家公務員は新卒者の採用を減らすことで人件費圧縮を行っていますが、これは結局既存公務員の解雇や減給が難しいために、新卒者の採用減で対応しているわけで、結局新卒者が損をしています。新卒者が就職できるように、若者が就職できるように、企業が随時採用できるようにするためには、既存の社員を解雇・不利益変更できるようにしなければ、結局は今と同じように新卒者が損を被るようになってしまいます。

 私は就職活動をしている大学生向けには絶対に既卒にはなるなとアドバイスしています。これは世界的にもおかしなアドバイスかもしれませんが、本当に既卒向けの就職と言うのはほとんどありません。今、大学生が就職のために留年することは、合理的な判断であり、私はおかしいことではあると思いつつも、社会システムを考えるとその選択を否定することは出来ないジレンマで、大変悔しい思いを持っています。

 本当に既卒になった人たちを哀れむのであれば、早急に国は雇用流動化へと舵を進めるべきでしょう。

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松本 孝行
セカンドチャンス 代表

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