必要なのは「再生」じゃなくて「ヘンシン!」です

2010年09月09日 10:23

「小沢v.菅」で盛り上がっておられるようですが(ネット経由で日本メディアを拝見するかぎり)、日本人はいつからこんなに選挙が好きになったのでしょうかね。

多分「なんとかしなきゃ」から「なんとかしてくれ」に変わった時あたりからじゃないでしょうか。


まともな政策の対立軸もなければ、議論もない選挙を繰り返しても、得をするのは選挙のプロたちと、この騒ぎの裏でコッソリなんかやっている人たちだけだと思うのですが。

政策の対立軸がないので、きれいごとばかり言ってはいても、民主党の皆さんの関心事は、

「どっちにのれば次の選挙に勝てるか」

という一事に尽きています。要するに自分が議員でありつづける為にはどっちのウマに乗っかる方がいいかということです。国民をバカにした、不毛なはなしです。

使命感のない政治家にとって、選挙に勝つということが彼らの最大の関心事であることは論を待ちません。真っ当な仕事をされている人たちは、入社試験や面接を経て採用された後、どれだけ仕事ができるかで評価されますが、政治家とよばれる人たちは、入社試験に受かったことだけが評価の対象とカンチガイされているので、始末におえません。もっとも、最近の日本では世に言う「一流」とか「有望」とされる企業に採用されたことのみをもって、「勝ち組」だ、「負け組」だ、とカシマシイようですので、現在の日本の衰亡の原因は「国民総政治家化」にあるのかもしれません。

(もっともこの「入口階級制度」が日本型格差社会の実像なんですが。)

菅氏としては、

「小沢じゃ次の選挙は戦えない」

というメッセージが最大の武器です。ですから菅支持グループ、というより反小沢グループは、

マスコミ各社の世論調査で「首相にふさわしい人」を聞くと、おおむね菅首相が70%前後、小沢氏は十数%と大きく水をあけている。

などと世論操作に血道を上げています。ごていねいに海の向こうからも、

7日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は日本の民主党代表選に関し、頻繁な首相交代は世界経済の回復や日米関係の維持に「非生産的だ」と苦言を呈し、長期安定政権の必要性を訴える論説記事を掲載した。

などと援護射撃が飛んできておりますが、そんなことは、百も承知、二百も合点。別に今に始まったことではなし、はっきりいって余計なお世話。しかしこんな一新聞社の社説をプライムタイム報道番組できっちり流しているところをみていると、

イギリス首相はCIAの操り人形だった、という今年の夏のポランスキー映画「ゴーストライター」(*1)が彷彿としてきてしまいます。

周りがここまでやってくれているのに、

民主党代表選(14日投開票)で再選を目指す菅直人首相は6日夜、日本テレビの番組収録で、小沢一郎前幹事長について「決断力があり、特に選挙の指導は非常に的確だ。得意の分野で活躍してもらえたらありがたい」と述べ、代表選後に要職に起用する考えを示した。

肝心の主役がちゃんと台本を読んでいないというオソマツ。

萎えるきもちにムチをあて、あえて国内の同胞の行く末のために思いを巡らせば、どうせ経済政策で失敗するのだから、このタイミングで官僚とは一応対決姿勢の小沢氏が出てくるよりは、消費税増税発言あたりから官僚の傀儡度が増している菅氏が総理をやってくれたほうが、悪しき官僚制度と共倒れになってくれるので、焼け野原からの再スタートに弾みがつくのではないか、などと考えています。

しかしあえて根本的な話をさせていただければ、菅氏の「一に雇用、二に雇用」に代表されるように、どちらの候補も次の選挙に勝つ目的で国民の「なんとかしてくれ」という人たちにリップサービスをしているかぎり、日本に明るい未来はこないでしょう。日本が再起するためには「なんとかしなきゃ」という人たちを応援する政策が必要なのです。

「英国病」といわれたイギリスを立ち直らせたサッチャー元首相を評して、政治評論家アンドリュー・マーは次のように言っています。
「自信喪失に陥っていた国民に往復ビンタをかまし続けた。
(She took a country that had lost faith in itself,
and she gave it a long and repeated slapping,
and left it strong, richer and more self-confident than when she came in.)」

今から打たれ強くなっていた方がよろしいかと。

この党首選挙の裏で、昨日以下のようなニュースが流れてきました。

三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、日本政策投資銀行と三菱商事の4社が、企業再生ファンドを9月末に設立する方向で最終調整していることが、3日明らかになった。企業再生を専門に手掛ける新会社を大手銀行や商社が共同で設立するのは初めて。
 再生ファンドは、3行の取引先を中心に、経営不振に陥った大企業の経営再建や事業の再編を進める。設立当初の投資規模は約300億円。その後、他の金融機関などの出資も募った上で、最大1000億円まで拡大させる計画だ。

こういう横並びファンドの場合、だれが投資先のリスクを査定して、だれの責任でリスクを負っているのか、さっぱり分からない場合が多いのですが、どうなるのでしょう。海外で成功も失敗もしたことがない日本の「エリート」たちが、今後の世界市場における有望技術の「目利き」をやることに、一抹以上の不安を覚えるのですが。ファンドを立ち上げたとたんに、よりどころも自信もないファンドマネジャーたちが、「この会社は○○先生の選挙区に工場があるから...」などという後ろ向き運営をしてしまい、あっというまに政治家の食い物に...などということがないよう、気をつけてほしいものです。そしてはっきりと次のことを認識してほしい。今の日本に必要なのは、高度経済成長やバブル時代の使命を負えた企業を「ゾンビ再生」することではなく、これからのグローバル社会で活躍する使命を帯びた新ヒーロー会社に「ヘンシン!」させるということなのです。

*1

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