起業家に必要な4つのPの使い方 - 小川浩( @ogawakazuhiro )

2010年10月22日 10:58

僕は経営者には(特に小さな会社、ベンチャーでは)4つのPの使い方に長けている必要があると考えるようになっています。
それは、
・Prediction(予測・予言)
・Pressure(圧力・プレッシャー)
・Patience(忍耐・我慢強さ)
・Passion(情熱・感情)

の4つです。

僕は敢えて、使い方、と書きました。
資質としての4つのPであると同時に、それはチームプレーを効率的に発揮させ、組織を有効に動かしていくうえでの戦略行動として必要と考えているからです。


説明します。

まず、Prediction(予測・予言)ですが、企業にあって、リーダーの最大の仕事は会社の方向性を考えること、同時にそれを示すことです。
僕が思うに、リーダーは常に、自分が何を考えていて、どの方向に進もうとしているかを明確にしておく必要があります。小さな局面でも、個々のプロジェクトで、マイルストーンを細かく設定しておくことは大事ですし、中長期の経営計画でも何をどうするのかを考えておくだけでなく、チームに共有しておく必要があります。
また、社員に対しての指針ということもありますが、自分たちの顧客やメディアなどのメンター、ステークホルダーに対しても、自分たちの動きをあらかじめ知らせておく必要があります。混雑した道路におけるクルマのようなもので、自分がどこにいて、どこに向かって走ろうとしているのかを常に周囲に知らしめることで、よりスムーズな動きができるようになるのです。

次にPressure(圧力・プレッシャー)ですが、日本人にこの単語を示すと、たいてい「ああ、経営者はプレッシャーに強くないとね」というように、受容的な資質として受け止めがちです。たしかにその通り、プレッシャーに負けているようでは経営者は勤まりませんが、僕が言いたいは、それ以上に、周囲に対してプレッシャーをかけていくことが必要、能動的にこのプレッシャーを使いこなすべきということです。
圧力をかける、というと、またこれが政治家みたいで変な印象をつけかねないのですが(苦笑)、例えばボクシングなどでは、相手に対して常に攻勢をとることで圧力をかける、プレッシャーをかけていく、という言い方は非常に一般的です。たいていのひとはプレッシャーに弱い。だから強く圧力をかけていくことで、相手に対して心理的な動揺を与えて自分の優位を確立していくということです。

経営者は優れたマーケターあるいは広報マンである必要があります。市場に対して自分たちの商品を売り込むだけでなく、競合相手に対しても、早め早めに新しいコンセプトや、相手を牽制するプランを打ち出してプレッシャーをかけ続けることが必要です。ソフトバンクの孫さんはこの達人だと僕は思います。

また、社員に対しても、適正なプレッシャーをかけることが必要です。そうでないと、人間ですからだらけるし、経営者をなめるからです。リーダーはなめられるよりは恐れられるほうがよいのです。ただプレッシャーとは何もキツい言葉や厳しいノルマを与えるという意味ではありません。この分野の達人はスティーブ・ジョブズでしょう。彼は「それはできません」という開発者に対しては「君ができないというなら他の人を捜すしかないな」
と言い切る冷酷さを示すと同時に、「君ならできる」あるいは「君しかできない」という強い期待を躊躇なく忌憚なく口にすることができるリーダーです。

そして、そうしたプレッシャーをかけることで返ってくるさまざまな反発や反感、競合相手からの反撃に耐えていくための Patience(忍耐・我慢強さ)が必要になります。
経営者は、状況の好転を信じて気長に待つ鈍感さが必要です。何でも耐えるのではなく、時期をゆっくり待つという戦略的待機を自らに課す能力が必要になります。そして、チームのメンバーにも同じ気持ちを継続して持ち続けさせる必要があるのです。経営者、特に起業家が理解しなければならないことは、起業家はちょっと特殊なマインドにあり、チームのほかのメンバーが自分と同じようにプレッシャーに強く、長く続く困難な状況を楽天的に待つという行為ができると思いがちですが、たいていの人はそれができません。だから、このPatienceというPを使いこなせという意味は、自分が耐えるだけでなく、普通の人は耐えられないような状況を、いかに耐えてもらうかという工夫が必要だというようにとってください。

最後に、Passion(情熱・感情)です。
経営者、起業家なら事業に対する情熱を持っていて当たり前ですが、この情熱を第三者(社員だけでなく、市場を含むステークホルダー)に伝染させる必要があります。情熱こそ共有されるべきものなのです。

冒頭で書いたように、これらの4つのPは、経営者なら誰でも持っている資質です。
しかし、同時に、意外に普通の人は持ち得ない才能なのかもしれません。それを理解し、この4つのPを周囲と共有していく。そういう使い方を覚えることが重要なのだと、ソーシャルメディア時代にあって特に強く思うようになってきています。

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