『光の道』は無線で

2010年11月25日 18:25

11月24日、民主党情報通信議員連盟が『光の道』についてヒアリングを実施し、KDDI小野寺社長とNTT鵜浦副社長が意見を表明した。ソフトバンク孫社長はすでに10日に登壇しているが、その際の熱気と真反対の静かな会合であった。しかし、その内容については耳を傾けるべきものが多かった。

KDDIはインフラ整備よりも利活用促進が重要と強調し、「ニワトリが先か、卵が先か」についてソフトバンクと逆の立場に立った。総務省が2010年3月に公表した『ICT基盤に関する国際比較調査』を引用し、基盤整備では世界一だが利活用は第16位というわが国の状況を示し、利活用こそが急務と強調した。「ソフトバンク提案をどう評価するか」という質問が議員から出たが、小野寺社長は「光アクセス公社を提案した1998年頃の、光が全くなかった時代と違い、設備競争が進展している今、改めて独占的な光アクセス会社を作る必要はない」という回答であった。

NTTの意見表明は無線と固定を共に用いることで光の道は実現し、とりわけ無線が重要というものであった。「すでに無線ブロードバンドのヘビーユーザとなっている都会の若者もおり、都会でも地方でも、光と並行して、無線ブロードバンドの整備を進めるべき」と鵜浦副社長は発言した。


利活用促進への言及は少なく、発表の大半をインフラ整備論に費やした。「光中心、アクセス専門会社新設、全世帯に強制」を『ガラパゴス案』と名付け、「無線and/or固定、切磋琢磨の設備競争、ユーザの選択の自由」を『グローバルスタンダード案』として対比した。光を3000万世帯にという計画をかつて推進していた企業が、現実の市場環境の中で宗旨替えをしたようだ。

何名かの議員が「2015年に本当に『光の道』は実現するのか」と、ソフトバンク案に言及しながら質問した。「NTTは先陣を切るつもりだが、光・無線・CATVなど多様な技術で設備競争を進めれば『光の道』は実現する。より利活用が進む社会を2015年までに作ることが重要」という回答であった。

KDDIからは、半径3キロメートルに約100世帯が点在する集落では、光ファイバなら設備コストが4600万円で維持費が年間600万円だが、WiMAXを用いれば設備費は3600万円で収まり維持費も年間200万円で済む、という試算が示された。

このように今回のヒアリングでは『光の道』に果たす無線の役割に焦点が当たった。しかし、今の無線資源は『光の道』実現に十分なのだろうか。地上波テレビ放送のデジタル化完了後に転用される周波数枠はごくわずかだ。とても爆発する(とくに都会の若者が利用することで爆発する)無線需要を満たせるようには思えない。鵜浦副社長は「周波数の効率的利用環境の整備の早期実現を求める」と主張したが、これこそ急務の課題であろう。

無線免許を与えた事業者が、電波を最大限有効利用して、収益を最大化しようと動くようにする必要がある。死蔵されている電波があれば利用権をリース・転売できるような取引市場を作る必要もある。電波オークションも重要な検討項目である。9月に閣議決定された『新成長戦略に向けた3段構えの経済対策』にはオークションへの言及があった。総務省の「ワイヤレスブロードバンド実現のための周波数検討ワーキンググループ」が検討を進めているはずだが、「比較審査方式を基本とし」「欧州のような入札額の高騰を招く恐れがあり」「資金力のある事業者が落札する可能性が高く」など否定的な見解だけが列挙された資料が未だに検討されているのはなぜだろうか。

せっかく議員連盟で無線の果たすべき役割について話を聞いたのだから、政治主導で電波制度の見直しに動くべきではないのだろうか。

山田肇 - 東洋大学経済学部

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