望まれる政府雇用対策 - 山口 巌

2010年12月15日 16:23

「夜明け前が一番暗い」と言うのは有名な言葉である。早いものでもう今年も終わろうとしているが来年雇用状況少しは改善し薄日でもさすのだろうか?残念だが率直に言って国内景気の失速、今年の各企業による海外投資拡大と予想される海外工場の稼動開始等から国内労働市場は更に縮小すると思われる。こう言う時こそ政治主導での雇用対策が強く求められる訳であるが、現政権、左程現状認識が出来ている訳でもなく問題と正面から真摯に向き合い解決策を探る様な様子も皆無である。


どうも菅氏そして周りの閣僚こう言う必要な経験を過去に積まずテレビカメラの前でCue出しに従い、求められたパーフォーマンスを繰り返した結果、顔と名前売り結果選挙を勝ち抜き此処迄来た人達なのだろう。

だから、実に無機的で不毛の内閣である。政権交代時国民に期待された政治主導を中核にあるべき日本の未来に向かっての好ましい躍動が微塵も感じられない。こう言った政治の 脳死状態に際し本来マスメデイアが的確な指摘を行い政府の軌道修正を図るべきであるがマスメデイアも又機能不全に陥っている。それでは、救いはagoraの様な所にしか無いのでは無いか?此の思いを籠めて直ちに政府が実行すべき政策を下記提言する。

1.更なる法人税減税を!
今回の法人税5%減税は菅政権に関しての珍しい朗報である。企業に取って5%の減税メリットは基より企業に対して現政権が少しは経済対策とか企業を国内に繋ぎ止めるには何かしなくてはいけない事考えているとのシグナル効果は在る筈だ。

無論、5%では充分とは言えず競合するシンガポール、香港そして韓国等ライバル国に劣後せぬレベル迄減税幅を広げる必要がある。

今回、更に提案したいのは起業後5年間法人税を免除するという施策である。この種優遇策あれば既に一定の経済基盤を確立しながらも企業内で飼い殺し状態に甘んじている多くの中高年正社員が生き甲斐、遣り甲斐求め起業に動き結果若年層の雇用が増える。

無論、会社を作っては潰し、しっかり儲けの部分は事業継承で引き継ぐような不心得者は出て来るだろうが此れは制度設計をしっかりやって取り締まれば良い。

2.地方への権限委譲を!
政府は基本的な制度設計とその維持管理に専念し、殆どの権限を地方に委譲すべき。国内企業、外国企業を問わず、誘致の競合は都市間でオープンに行うべきである。今後は都市のダイナミズムこそが国力の源泉に成ると考える。併せ、中央・地方の二重行政問題も解消すれば財政支出削減に直結の筈だ。

3.明確な円高対策の提示を!
現政権、為替政策実は全く何も無いのでは?と疑っている。円高進行時にテレビが映し出すものは「政府は必要に応じ断固たる処置をとる」と言うお決まりのフレーズと野田財務大臣の泳いだ眼である。此れでは輸出企業経営者が生産設備を海外に移転するのは止むを得ない。無論、その分雇用は消滅する。従って、政府は急激な円高から輸出企業を救済する具体的な準備がある事を明確に示し企業経営者を安心させる必要がある。

4.解雇規制の撤廃を!
中高年が企業の最大リスク要因に成ってしまった原因は、正社員が終身雇用に守られており馘首が無い事からどうしても自己研鑽が疎かに成ると言う以前からの理由と此処に来て労働生産性向上の最大武器であるITの進化が著しく此れを十二分に活用する若手とついて行けない中高年の差が大きく拡大した事がある。結果、中高年正社員は企業に取ってはお荷物であるにも拘らず解雇規制で企業内に抱え込まざるを得ず膿の様にどんより溜まっている。

此の膿の魂に懲りた企業が解雇規制の無い海外移転を進めるのは当然であり雇用を守るには解雇規制の撤廃を断行するしかない。

5.FTA締結を急げ!
日本が今世紀再び輝きを取り戻す為には、日米同盟に安全保障の軸足を置き海洋国家、通商国家として繁栄して行くのが一番現実的であろう。一方、現政府はと言うと笑えぬ話として未だに江戸時代の士(官僚)、農、工(製造業)、商(商社、金融、物流)の日本版カースト制度を維持したいのでは?と思ってしまう。官僚は有能、無能の議論は別として所詮、税に寄生する存在だし補助金漬けの農業は国家財政のある意味、寄生虫である。

財政規律遵守達成の為には納税する製造業と交易に従事するものを優遇し成功させ納税額を増やすべきだ。FTA締結は彼らが活躍する際のボトルネックを解消し活躍のスペースを「面」で拡大する。

6.環境規制の弾力的運用を!
京都プロトコールは歴史に名を残す日本の偉業であり、日本人として誇らしいのは事実である。しかしながら、日本が環境規制の分野で突出するのは結果、国内企業に過大な負担を強いる事に成り高コスト体質と国際競争力喪失への一本道である。従って、環境規制は徐々にグリップを強めるべきだが運用は飽く迄弾力的にやるべきである。米中及び中国に雁行する新興産業国の足並みを見極め、頭一つ上辺りが狙うのが現実的だろう。

(山口巖 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役)

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