上海で飲食店を開業する方法

小谷 まなぶ

 現在、上海へサービス業の分野で進出する日本企業が増えている。上海市内には、約1200店舗の日本料理屋が存在するとも言われ、上海は、日本料理の激戦区となっている。中国人の間でも、日本料理を食べる人が年々増えており、私が、上海に来た14年前は、日本料理店で中国人が食事している姿をあまり見なかったが、ここ数年、日本料理屋で、食事する中国人も増えてきており、ある日本料理店では、お客の比率が、日本人客はほとんど居なく、現地の人でにぎわっているお店もある。もうすでに、上海では、日本料理は、現地の人に受入れられている食文化であることがいえる。


 日本食の消費が伸びるにつれて、日本から日本の食材を輸出しようという動きも強まっている。また、日本から飲食店を、中国に出店させようとする動きも活発化しており、大手チェーン店から、中小の飲食店までも、中国進出を狙っている。
 しかし、中国で飲食店を開業するには、いろいろハードルがある。それは、店舗探し、会社登記、店舗内装、各種許可の取得、また、人材の確保、労務の管理、など、すべてが、外国であるがゆえに、すべてが日本とは段取りが違うのである。日本には、中国に進出してみたいという潜在的なニーズが高まっているが、実際に、進出を果たした企業は、ごくわずかである。ごくわずかといっても、数百社あるわけで、これから進出してみたいと計画している企業などを考えれば、これから、まだまだ、相当数の飲食店経営をする企業が日本から進出すると考えられる。
 それでは、どうやったら、日本人が、中国で飲食店の経営ができるかを説明していきたいと思う。地域差があるが、私の説明する事例は、上海で外国人が、飲食店を経営するまでの流れを書いていきたいと思う。
 外国人が、中国で飲食店を経営するには、まずは、法人を登記する必要がある。外国人が法人代表で、投資者になることができる。上海市の場合は、資本金の目安が、14万米ドルである。出資するのは、個人もしくは、法人どちらでもかまわない。出資する資本金が、日本の取引銀行にあることを証明できれば、資本金のハードルは、まずは、クリアーできる。また、法人出資の場合は、法人の公証というものが必要である。法人の公証とは、日本に会社があることを証明する書類であり、在日、中国大使館で、会社謄本の公証をしていただく必要がある。公証ができれば、出資者としての認定ができたことになる。個人出資の場合は、パスポートに中国在住のビザ申請を行っていれば、パスポートの公証をおこなったことになる。
 法人を登記するには、まずは、実際に店舗を開く場所を借りる必要がある。上海市内で登記する場合には、飲食店可能な物件を、不動産業者などから紹介してもらい、その物件が、飲食店として法人登記できるか確認する。確認後問題なければ、契約書を結んで、不動産を借りる。
 飲食店を登記する際には、店舗物件を借りなければ、法人登記ができないと決まっている。飲食店の物件の場所で、内装工事をする際に、飲食店の登記に必要な手続きを行う。法人登記に関しては、工商管理局が管轄する。店舗の消防、衛生管理、環境管理に関しては、それぞれ管轄の役所、消防設備に関しては、『消防局』に認可をもらう必要がある。また、衛生管理、厨房施設などの管理は、『衛生局』から認可をとる必要がある。空気の環境、汚水などの処理などは、『環境局』の認可を取得する必要がある。
 飲食店を開業するには、法人登記で、営業許可を得るには、工商管理局だけで手続きするだけは、許可を出してもらえない。消防、衛生、環境局の認可も同時に取得する必要性がある。
 これらの認可を同時に取得して始めて、飲食店の開業が認可される。外資企業として上海で飲食店の開業を目指している企業のうちで、これらの役所との対応がうまくできずに、開業が遅れたり、ひどい場合には、開業が認可されないで、進出をあきらめた企業もあるというくらい厳しい面がある。
 しかし、これも、手順が分からず、対応した結果、失敗する企業もすくなくない。サービス業の分野、飲食店、また、美容、エステなどの分野でも、同じような手順で認可が必要になり、開業するには、かなり力仕事になる。
 また、無事に開業してからも、定期的に、監督官庁が見回りに来て、問題があれば、研修会に呼び出されたり、また、規定外の事を行っていれば、罰金されることもある。中国での店舗出店は、行政とどのようにうまく付き合えるかで、事業が、円滑に行えるか決まるといっても過言ではない。
 


■小谷まなぶの中国ビジネス奮闘記(ブログ)