電波法の改正に反対する

2011年01月26日 16:03

700/900MHz帯については、国際周波数に合わせる方向で電波割り当てが決まったものの、それをどういう方法で割り当てるかについては、生煮えの議論が続いている。私の入手した電波法改正案のドラフト(?)によれば、

特定基地局(携帯電話基地局)を新規に開設しようとする者が、既存無線局の周波数変更に要する費用を負担することによって早期にサービスを開始することができるよう、当該費用の負担に関する事項を開設指針の規定事項及び開設計画の記載事項に追加する。

と書かれており、当初いわれていた「オークションで移行費用をまかなう」という話は消え、その費用は総務省が決めることになっている。


これは免許人の既得権を無条件に認めていた今までの制度に比べれば一歩前進で、いわば電波の移行についての取引を認めるものだ。しかしその取引を役所の決めた価格で行うのでは、社会主義国の配給と同じである。

この法案は今の通常国会に出される予定で、来年おこなわれる900MHz帯の用途変更では、大方の予想では周波数はソフトバンクに割り当てられ、MCAに対して(総務省の決めた)移行費用を支払うことになるものと見られる。そして700MHz帯はNTTドコモとKDDI(およびイーモバイル?)に割り当てられて既存の業界秩序が守られ、競争原理は働かない。

鬼木甫氏も指摘するように、OECD諸国30カ国のうち25カ国が何らかの形でオークションを実施している。欧米はもとより、アジアでも韓国、台湾、香港、シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピン、インド、インドネシアなどが実施し、やってないのは中国や北朝鮮やベトナムなどの社会主義国ぐらいだ。日本は「電波社会主義陣営」に入るつもりなのか。

総務省の言い訳は「時間がない」ということだが、来年おこなわれる割り当ては900MHz帯の30MHzだけであり、100MHz近い700MHz帯の割り当ては2015年までに行えばよい。来年の通常国会でも十分間に合う。拙速に中途半端な改正を行うのではなく、十分な論議を尽くして電波政策の抜本改革を行うべきだ。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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