イスラム革命を覚悟すべき

2011年01月29日 11:15

チュニジアの失業青年が、生活の為路上で野菜を売りをした所、警察の取り締まりを受け、抗議の焼身自殺に及んだ。

此の青年に同情した、抗議の行動が国中に広まり、結果独裁者はサウジアラビアに亡命した。

此処迄で終わっておれば、日本人に取って、日本から随分遠い所にある国、アラビアンナイトの国の話で終わっていた筈である。

所が、同じ様な中東の長期独裁国家である、エジプト、イエメンにも火が回ったのである。

権力の、長きに渡る独占は腐敗を生む。そして、腐敗の中核にあるのは何時もネポティズム。

こういう長期独裁の国々では、富の分け前にありつけ無い、貧しい民衆の不満が枯草の草原の如く広がっており、マッチ一本の火でも、あっと言う間に国中に広がってしまう。

TwitterやFaceBookが、暴動を引き起こしたかの如き誤解がある様だが、Socialは飽く迄、風に過ぎない。火を遠くに飛ばしたり、一気に拡散したのは多分事実だろう。しかし、火そのものでは無い。風は火事を広めるが、暑い夏の日のそよ風でもある。風は風なのだ。

連鎖は、何処まで続くのであろうか。既に暴動が起きている、エジプト、イエメンの如き、国家安全保障をアメリカの軍事力に頼り、富を、長期独裁の権力者と、その周辺の既得権益者が独裁して来た国は、革命の洗礼を受ける事に成るのでは無いか。

一方、サウジアラビア、UAE他湾岸諸国は、余り過激な展開には至らない様に思う。石油の富が余りに莫大であり、アメリカ、権力者で分けても充分余りが残り、国民はそれなりに富の恩恵に預り、豊かな暮らしをしているからである。不満はあるだろうが、過激な行動はしないと思うのである。

日本の中高年サラリーマン、詰まり、役職や仕事には恵まれて居ないが、それなりの高給を貰っていて、不満はあるが会社を辞める積りは無い、と言うのに状況似てるかも知れない。

飽く迄、仮定の話であるが、エジプトのムバラク大統領、イエメンのサレハ大統領が海外逃亡と成れば、一体、代って何が権力の空白を埋める事に成るのであろうか。権力の空白は法と秩序の不在を意味し、急ぎ埋められなくては成らない筈である。

私の知る限りでは、イスラム諸国の法と秩序で最優先されるのは、イスラム法である。次いで、各部族のローカルルール。最後に中央政府の法。

中央政府が倒れた場合、流石に中世に逆戻りして、群雄割拠の、部族単位のローカルルールに戻る訳にも行かないであろうから、イスラム法を基盤とするイスラム国家に回帰せざるを得ないのでは無いか。

お手本は、1979年のイスラム革命以降、西側諸国の予想を裏切り、30年以上政権を維持するイランである。

此の影響を最も受けるのは、イスラエルである。親米独裁国はイランやシリアと言った反イスラエルの国々との間に入り、ある種緩衝材的な役割を果たしてくれた訳だが、こう言った国々がイラン化する訳である。

安全保障上悪夢である。中東諸国の反イスラエル化は加速するに違いない。

右足をイラク、左足をアフガニスタンにがっちり掴まれて、身動き取れないアメリカも、厳しい状況を迎える事に成る。イスラエルとの関係を見直すべきとの、国論を二分するが如き議論と成るかも知れない。

サウジアラビア、他湾岸諸国もイスラム革命に大きなプレッシャーを受ける事に成る。

忘れて成らないのは、アラブ諸国では、法と秩序、生活習慣の大部分をイスラム教と言う共通の宗教に頼っており、且つコミュニケーションもアラビア語で共通である事である。

此処に、TwitterやFaceBookに拠り、国境を越えて、情報が一気に拡散する理由、背景がある。

個人的には、イスラム革命は湾岸を超えて、ロシア領の中央アジア、そして中国の新疆ウイグル自治区に広まるのでは無いかと考えて居る。

矢張り、異教徒、異民族として差別され、富の分け前にありつけて居ないと言う不満は、根源的にある筈だ。そして、此のフラストレーションの解消は現実的にはイスラム革命しか無い筈である。それに、イスラム諸国からの手厚い支援も期待出来る。

従って、中国の最大脅威は、新疆ウイグル自治区イスラム住民のイスラム国家との連携や、分離独立を目指す、実際のイスラム革命の実践であろう。同じく、不満を持つ、チベット民族や他少数民族との連携は悪夢に違いない。

扨て、本題の中東問題に話を戻すと、石油は未だに日本の生命線であり、中近東は最大の供給先である。従って、中近東に動乱あれば、日本の安全保障は大きく脅かされる事に成る。

従って、状況を分析し、国益重視の立場から外交戦略を練る必要がある。

菅政権と外務省の、当事者意識と当事者能力が正に問われている訳である。

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