中小企業におけるBCP(事業継続計画)早わかり

石川 貴善

東北・関東を中心に大規模な地震が発生しました。街中を見てきましたが、未だに休業するところが少なくありません。まずは身辺の安全を確保し上で、中小/零細企業のBCP(事業継続計画)をご案内致します。


事業継続計画に関しては、東京商工会議所の資料(http://ow.ly/4cYVO)などがありますが、今の段階で悠長に計画を策定するものでもありませんし、同内容はある程度企業規模の大きな企業向けを想定している印象を受けます。ここで中小/零細企業向けに、今後二次災害を防ぐために実効性あるものとして念頭に入れて頂けましたらと存じます。

1) 事業継続できる=経営者が健全であること
まず大事なのは「経営者そのものの身を守る」観点が欠かせません。大規模災害に関しては、「そういうときは会社も自分もなくなる」といった諦観を乗り越え、まずは頑張ること・安全な場所で情報収集に努めることが重要です。
特に現在では原発などの懸念がありますことから、「社長自らが生きる」ことを前提に
・非常持出し品など整理
・中核事業再開に必要となるデータのバックアップ
・バックアップメディアの可搬化
が欠かせません。

2)2つのネットワークの確保
次いで大事なのは2つのネットワークです。取引先/外注先/会社や経営者の人脈などネットワークを掌握・確保していくことのほか、物理的に連絡が取れるインターネット・電話などの通信回線確保や、連絡が取れやすい体制にあることが重要です。

ここから後は比較的一般的なものとなっていきますが、
3)従業員/家族と社有資産の安全確保に務めます。
4)おそらくこれが重要ですが、企業存続に関する重要な事業の確保に注力します。ここで言う重要な事業とは「売上や利益が大きい」「事業が止まることで、取引先が困るもの」です。
5)重要業務に付随する業務を把握し、受注/在庫管理/出荷/支払など流れをおさえます。
6)必要な経営資源(ヒト・モノ・金・情報)などを洗い出します。特に重要なのは「代わりになるものがない」「サプライヤーは1社しかない」ものなど、把握していくことが欠かせないでしょう。

また資金などの問題も、日本政策金融公庫など政府系金融機関や自治体による災害対策の緊急融資が遠からぬうちに始まることが予想されますので、慌てないで対応していくことが肝要です。

修正:すでに日本政策金融公庫では特別相談窓口が設置されています。http://www.jfc.go.jp/common/pdf/news230312a.pdf