厚労省は被災者に睡眠薬を緊急支援せよ ‐ 吉本光宏

2011年03月17日 14:15

現在における被災者の一部の方は急性ストレス障害だと思われる。

急性ストレス障害(acute stress disorder)とはDSM-Ⅳ(精神障害の診断と統計の手引き)に登録されている病名である。その定義は、被災の体験をきっかけとした不眠、不安感、食欲不振、抑うつ気分、被災に関する刺激の回避、フラッシュバックなどが最低2日間、最大で約1ヶ月間続く状態を指す。被災後1ヶ月以降に起こる外傷後ストレス障害(PTSD)とは区別される。


治療は症状に対してお薬を使う。眠れない人に対しては睡眠薬を使う。寝付けない人には短時間作用型という睡眠薬を使用する。夜中に起きる人(中途覚醒)、朝方早く目が覚める人(早朝覚醒)にはそれ相応のお薬を使用する。短時間作用型の睡眠薬は名前のとおり効く時間が短い。そのため他の科の医師も処方することが多い。実際の臨床でも不眠を訴える患者さんに説明すれば比較的服薬してもらいやすい。入眠する時の不安感も一時的ではあるが取り去ってくれる。

現地では十分な治療体制が整っているわけではないが、不眠を認める方は、一晩でも十分に眠れれば、服薬しない方に比べて体力の回復は違ってくる。一時的に不眠、不安感が解消されるだけでも明日を生き抜く支えになってゆくはずだ。急場の対策として、精神科領域におけるお薬の使用は最も重要な位置にある。もちろんカウンセリングも必要ではあるが、現時点では十分な時間をかけて行うのは困難であり、むしろ救命作業が終わった後から重要になってくる。

厚生労働省は現在、高血圧や高脂血症などの慢性期の病気を抱えている方を対象に、薬局の窓口で薬の使用履歴をまとめた「お薬手帳」や、服用していた薬の包装紙をなどを示せば処方箋なしで購入できるようにしたそうだ。短時間作用型の睡眠薬においては、通院や入院をされている方を優先としながらも、不眠を認める通院歴や受診歴の無い方まで対象を拡大すべきだ。

今の被災者にとって、1錠の睡眠薬が水や食料と同じくらい必要不可欠である。

(吉本光宏 精神科医)

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