プロ野球開催の意義と異議 - 増沢隆太

2011年03月18日 16:17

未曽有の災害がまだ収まらぬ中、プロ野球開幕をめぐり、オーナー側と選手側で意見が対立しているようです。まだ救出を待っている被災者がいるでしょうし、避難しても満足な救援物資もなく、たいへんなご苦労をされておられる方がいる事実を考えると、プロ野球や演芸等をやっている場合か、という意見に理解は出来ます。


しかし、今、被災地以外に住むわれわれが出来ることは何でしょう。単に自分の達成感を満たすため無闇にボランティアに行く、不要古着を勝手に送りつける、といった無秩序で自己満足な行動では無いはずです。相変わらず買い占めをしている恥知らずな馬鹿者たちに比べればまだましではありますが、それでも「自分が」という思考が優先されているように思います。

被害の少ない都内などで、今出来ることは、直接支援であれば募金以外には無く、少しでも救出、復旧活動に役立てるのは、ど素人の出番ではありません。

間接的な救出は経済の正常化です。無意味な電気が街中から消え、私はむしろこれが正常なのではないかと思うほどに感じています。朝のラッシュの山手線の暖房を切るのは、地震など無くても、もう少し早めに実行できないものかと思います。

われわれが普通通りの仕事をし、少しでも経済が回復するようにお金を使い、税金を収める活動は、立派な社会貢献なのです。商売をじゃんじゃんやるべきなのです。

ではプロ野球も開催すべきでしょうか。私は、開催によるダメージを最小に抑える方法で開催できるなら、開催すべきと思います。最も懸念されることは電力消費と観客の移動と安全です。

まずナイターのような煌々と明かりと暖房をフル回転させて行う行為はとても違和感を覚えます。例えば土日の日中に、ナイター設備を使わず開催は出来ないのでしょうか。

観客の安全を考えれば、ますます平日夕方のラッシュと合う時間に開催は危険です。

さらに許しがたいのは、開催を主張する野球関係者が、こうした経済の復活のため、という実利ではなく、「夢を与えるため」というような、バカバカしい自己満足思想をばらまいていることです。

選手側も、とてもじゃないが今、野球なんてする気にならないのは理解できます。

私は「でもやるんだよ。それが被災者はじめ、本当の意味で日本を救うことにつながると信じて」と申し上げたく思います。

病気の少年に勇気を与えるため、試合に勝つと約束する、なんて古くさいドラマがありますが、それじゃ、相手チームを応援している病気の子はどうなる!というのはダウンタウン松本さんの意見です。

スポーツ選手の皆さんは、夢を売る仕事だと思います。しかし夢だけで生きて行くことは出来ません。今のような大災害の時こそ、現実感をもって、「そんな気分じゃないからやらない」「夢を与えるために開催せよ」というような低レベルの言い合いは止め、どうしたらダメージを最小に抑えつつ、プロ野球が、「本当に」社会に貢献できるか、を考えていただきたいと思います。

(増沢隆太 東京工業大学大学院特任教授、人事コンサルタント)

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