日銀の国債引き受けは不毛の議論

2011年04月01日 16:20

民主党、中村哲治議員のブログによれば、昨日東北関東大震災に対する対応をテーマに、党内制改革PT・財務部門・総務部門の合同会議が開催されたとの事である。

私が期待するのは責任ある政権与党として、短期的には、バラマキを止め、捻出した資金を東北復興の財源に転用する事。

中長期的には、これを機会に公務員改革を中核とする行政改革を断行し膨張した人件費に大鉈を振るう事であった。勿論その為には地方分権は一丁目一番地となる筈である。

しかるに、党の意見の大勢は下記との事である。

復興財源については既存経費の削減を、というのが当初の案であった。それに対しては、多くの議員から異論が出た。「100兆円の国債を発行して、それを日銀が直接に引き受けたらいい」という意見まで出た。

政治のリーダーシップとは例え国民が嫌がる政策であっても政治生命を賭して納得して貰えるまで国民説得を続ける事ではないか?これではポピュリズムそのものではないか?

組織と魚は頭から腐ると聞くが、党のトップである菅首相が所詮、保身と小賢しいパーフォーマンスのみのリーダーであるなら民主党の惨状も致し方ないのかも知れない。

今一つ、看過出来ないのは政権与党議員が決して口にしてはいけない無責任極まりない下記意見である。

「100兆円の国債を発行して、それを日銀が直接に引き受けたらいい」という意見まで出た。

経済や金融に疎い議員の多くは、日銀は打ち出の小槌を持っている!と誤解しているのではないか?

この弊害に就いては、池田信夫先生の記事や本日の与謝野大臣インタビュー内容が詳しく解説している。叡智とは正にこういうものだと思う。

この国難に際し、国会議員は日銀による国債引き受けの如き、筋の悪い議論に時間を浪費すべきではない。他にもっとやるべきことが幾らでもある筈である。

日銀の独立性
は担保されるべきである。これを基軸にしないから議論の脈絡がなくなり幾ら会議をやっても実りある結論が出て来ない。

この際、議員と国民が理解せねばならないのは日銀の役割は、(1)発券銀行、(2)銀行の銀行、(3)政府の銀行であり、それ以上でも以下でもないと言う事である。

そして、中村議員は更に下記の通り問題提起をしている。

話を元に戻す。現在の問題は、「財政健全化」という呪文をみんなが唱えていることだ。以前にもブログで書いた通り、日本の対外純資産の額は270兆円もある。対外資産が550兆円あり、対外負債が280兆円あるので、差し引き270兆円あるということなのだが、この意味が国会議員の中であまり共有されているとは思えない。

仮にこの対外資産550兆円を処分して、その分の価値を日本に持って帰るとすれば、対外資産は外貨建てのために、外貨を売って円を買うことになる。当然、円高になる。つまり、日本の対外純資産が270兆円もあるということは、常に円高に向かう圧力が「円」という通貨にかかっているということになる。

対外資産が550兆円、そのうち純資産が270兆円あるということであれば、通常の国債発行で何の問題もない筈である。本質的な問題は、3月31日付 英フィナンシャル・タイムズ紙が指摘するように、寧ろ、日本の債務問題の本質に手が付けられない政治の脆弱性にあるのではないか。

もう日銀関連不毛の議論は止めて、550兆円の対外資産の内、売却可能な資産を選定し売却して、復興資金として国内に還流してはどうだろうか?

国内外の調整や官僚へのリーダーシップとかが必要になるかも知れないが、これこそが民主党が政権交代時国民に訴えた政治主導の筈である。

そしてこれが能力不足で出来ないと言うなら、民主党そのものが東北復興、牽いては日本復活のボトルネックそのものであり、権力の座から退場してもらうしかないと言う事ではないだろうか?

山口 巌

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