民主党、中村哲治議員のブログによれば、昨日東北関東大震災に対する対応をテーマに、党内制改革PT・財務部門・総務部門の合同会議が開催されたとの事である。
私が期待するのは責任ある政権与党として、短期的には、バラマキを止め、捻出した資金を東北復興の財源に転用する事。
中長期的には、これを機会に公務員改革を中核とする行政改革を断行し膨張した人件費に大鉈を振るう事であった。勿論その為には地方分権は一丁目一番地となる筈である。
しかるに、党の意見の大勢は下記との事である。
復興財源については既存経費の削減を、というのが当初の案であった。それに対しては、多くの議員から異論が出た。「100兆円の国債を発行して、それを日銀が直接に引き受けたらいい」という意見まで出た。
政治のリーダーシップとは例え国民が嫌がる政策であっても政治生命を賭して納得して貰えるまで国民説得を続ける事ではないか?これではポピュリズムそのものではないか?
組織と魚は頭から腐ると聞くが、党のトップである菅首相が所詮、保身と小賢しいパーフォーマンスのみのリーダーであるなら民主党の惨状も致し方ないのかも知れない。
今一つ、看過出来ないのは政権与党議員が決して口にしてはいけない無責任極まりない下記意見である。
「100兆円の国債を発行して、それを日銀が直接に引き受けたらいい」という意見まで出た。
経済や金融に疎い議員の多くは、日銀は打ち出の小槌を持っている!と誤解しているのではないか?
この弊害に就いては、池田信夫先生の記事や本日の与謝野大臣インタビュー内容が詳しく解説している。叡智とは正にこういうものだと思う。
この国難に際し、国会議員は日銀による国債引き受けの如き、筋の悪い議論に時間を浪費すべきではない。他にもっとやるべきことが幾らでもある筈である。
日銀の独立性は担保されるべきである。これを基軸にしないから議論の脈絡がなくなり幾ら会議をやっても実りある結論が出て来ない。
この際、議員と国民が理解せねばならないのは日銀の役割は、(1)発券銀行、(2)銀行の銀行、(3)政府の銀行であり、それ以上でも以下でもないと言う事である。
そして、中村議員は更に下記の通り問題提起をしている。
話を元に戻す。現在の問題は、「財政健全化」という呪文をみんなが唱えていることだ。以前にもブログで書いた通り、日本の対外純資産の額は270兆円もある。対外資産が550兆円あり、対外負債が280兆円あるので、差し引き270兆円あるということなのだが、この意味が国会議員の中であまり共有されているとは思えない。
仮にこの対外資産550兆円を処分して、その分の価値を日本に持って帰るとすれば、対外資産は外貨建てのために、外貨を売って円を買うことになる。当然、円高になる。つまり、日本の対外純資産が270兆円もあるということは、常に円高に向かう圧力が「円」という通貨にかかっているということになる。
対外資産が550兆円、そのうち純資産が270兆円あるということであれば、通常の国債発行で何の問題もない筈である。本質的な問題は、3月31日付 英フィナンシャル・タイムズ紙が指摘するように、寧ろ、日本の債務問題の本質に手が付けられない政治の脆弱性にあるのではないか。
もう日銀関連不毛の議論は止めて、550兆円の対外資産の内、売却可能な資産を選定し売却して、復興資金として国内に還流してはどうだろうか?
国内外の調整や官僚へのリーダーシップとかが必要になるかも知れないが、これこそが民主党が政権交代時国民に訴えた政治主導の筈である。
そしてこれが能力不足で出来ないと言うなら、民主党そのものが東北復興、牽いては日本復活のボトルネックそのものであり、権力の座から退場してもらうしかないと言う事ではないだろうか?
山口 巌
コメント
山口さんはもう少し勉強されてから投稿された方がよいと思います。550兆円の対外資産の殆どは民間企業や個人の資産で政府が手をつける事は出来ません。使えるのであれば埋蔵金探しにやっきになったりはしないでしょう。100兆円の外貨準備も使えませんよ。
hoigeihatai様
目下の急務が復興に必要な30兆円の調達であれば日本政府が保有するアメリカ国債70兆円弱で充分の筈です(事実関係下記)。私の関心は現実として何がやれるかと言う事です。机上の空論をもてあそぶのではなく、政権与党民主党の議員複数とどうすれば良いか議論しています。
hoigeihatai様は具体的にどの様なアクションをお考えですか?hoigeihatai様としての代替案をお聞かせ下さい。それがないとすれば所詮、よくあるネットの偽名を使った揚げ足取に過ぎません。貴方はどうすれば良いと考え、具体的にどの様に実行されてるのですか?
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アメリカ財務省が16日に発表した統計によると、昨年12月に、日本のアメリカ国債保有高が7688億ドル(69兆2000億円)に達し、中国を抜いてトップになった。
2009年12月末現在、日本のアメリカ国債保有高が11月末より115億ドル(1兆400億円)増えたのに対して、中国は保有高が342億ドル(3兆900億円)減り、7554億ドル(68兆円)になった。なお、中国は2ヶ月連続で保有高を減らしている。
アメリカ財務省によると、2009年12月末現在で、他国などのアメリカ国債保有高は全体で530億ドル(4兆7700億円)減少し、減少額は史上最大になった。
「中国国際放送局 日本語部」より2010年2月18日
yamaguchiiwaoさん
わざわざ今の円高のときに売っても含み損が表面化するだけなのはご理解されてますか。
円安誘導すれば逆に含み益がでます。円安が進みすぎるならそれから売ればいいのです。
アメリカだって一方的な通貨高は望んでいません。
つまり日銀引受なり政府紙幣を実行するほうが財政出動と組み合わせるのに有効だということです。
震災国債は、やはり市場で消化させてもいいのではないかと思います。
買占めが発生しても、物価が上昇しない今の日本であれば、民間の資金需要は伸び悩むため、銀行も貸出先が確保できず、国債での運用に向かうのではないかと思うのですが、如何でしょう?
powerpoint1様
私とは真逆の考えなので、かかる末尾のコメント欄で為替差損に特化した揚げ足取り的なコメントを投稿するのではなく、ご自分の考えを体系的に取り纏めアゴラに投稿されては如何ですか?
先ず、アメリカ国債売却による為替差損ですが、そもそもドル建て債券を購入した時点でこれは避けられない話です。これを改めて問題視するなら最初から購入すべきでないと言うのが私の基本的な考えです。
次に、政府による円売りドル買い時点で国内輸出業者は本来得る事の出来なかった利益の享受に浴しています。仮に債券売却時に差損が出ないなら日本に限らず各国政府は無秩序に為替介入に踏み切り、結果為替市場は機能不全となる筈です。システムは異なりますが中国政府によるペイグ死守は同様の話で、米中間に横たわる人権問題と双璧の重大問題です。
円安誘導後アメリカ国債売却すべしとの提案ですがこれは本末転倒でしょう。今回テーマに取り上げた日銀の国債引き受けを開始すれば間違いなく円安となります。しかし、副作用で日本が焼野原となります。私の投稿記事の趣旨はなんとしてもこれは避けるべきと言う物です。
為替差損が嫌ならアメリカ国債売却してドルで保有し東北での公共投資に必要な資材の輸入代金に充当すれば良いと思います。国の資産がアメリカ国債豚積みから東北の橋、道路、学校、病院に変わる訳です。
東北が復興すれば円高となり、アメリカ国債の評価損が出ますがこれは問題にすべきではありません。
山口 巌
山口様
日本の外貨準備高の約100兆円は円売りドル買い介入で積みあがったものです。この介入資金は政府短期証券の発行で調達した借金なのです。従ってこの100兆円相当の外貨資産は純資産ではありません。これを売っても介入資金として調達した借金の返済に充てる性格のもので他の目的に流用できる訳がないのです。外貨準備は政府の純資産で購入したものと山口様は誤解されているのでは?
> 組織と魚は頭から腐ると聞くが
魚は内臓から腐りはじめます。 数年前までは、 月に20-40日も魚釣りにいっておりました。
> 副作用で日本が焼野原となります
米国のFRBがQE2を始めた時、同様な見解をいっぱい読みましたけれど、 米国経済はまだ焼野原になっておりません。 回復のスピードがちょっぴりですけど加速されました。 インフレ率は、 0.4 -0.5%/月にあがってきましたが、 この半分は原油価格の上昇によります。
.hogeihantai様
アカウント(勘定科目)の付け替えをやれば良いだけの話では?役人は色々理屈付け難しい事を言うでしょうが結果官僚組織が肥大するだけの話です。
minoura様
了解です。魚釣り連れて行って下さい。鯛とかハマチとか関西に居た時は食べて美味しい魚を淡路から或いは家島から船出して釣りに行きました。釣りは良いですね!
minourat様
決済通貨の地位を維持しているドルと飽く迄ローカルカレンシーに過ぎない円では事情が違うと思います。
山口 巌
>山口様
「アカウントの付け替えをやる」とは具体的にどうするのか説明頂けませんか?
政府短期証券の償還期限はおおむね60日となってますが、為替介入目的に発行されたものはロールオーバーされてます。いわば自転車操業ですが、外貨資産で担保されているから、難なく市場で消化されている訳です、担保がなくなってしまえば、普通の国債と変わらず、100兆円もの新たな証券が簡単に売れるか疑問です。そうなれば山口様が大反対の日銀直接引き受けしか手は無いように思えるのですが如何でしょうか?
hogeihantai様
成程そういう仕組みでしたか!それでは一旦自説は撤回させて戴きます。実は複数の国会議員とこの件議論したのですが皆さん円高になるから出来ないの一点張りでした。どうも国会議員も余り理解出来てないのではと言う気がします。それ故今回のご指摘に深謝申し上げます。唯、一挙に100億円売る必要なく例えば1億円づつ売却しても市場で消化出来ませんか?くどくて申し訳ないのですが私が考えるやってはいけない事の順に言うと、①.日銀による国債引き受け。②.国債残高を規律なく膨張さす事。③.アメリカ国債の残高を膨らませ結果為替差損を無制限に膨らます事。なので、一度海外資産の圧縮を真面目に考えるべきと提案した次第です。今でも例え為替損が一時的に発生しても資産を圧縮すべきと思ってます。hogeihantai様はアメリカ国債保有を膨らます事に拠る為替差損の膨張をどうしたら良いとお考えですか?そして具体的にどの様な提案や活動をされていますか?
山口 巌