3.11と東京電力

2011年04月03日 17:09

3.11以前と以後では、眼に映る風景は同じであっても中身は全く変わってしまったと理解している。3.11以前は通用した考え方や、価値観が、以降では全く通用せず、全て白紙から考える必要があると自戒してきた。

そして先程、何気なく読んでいたアゴラのこの記事が眼に留った。感情が抑制され、論理的で、誠に以て秀逸な記事と思う。

東京電力が提出した供給計画に福島第一原発7号機、8号機の増設が盛り込まれていたという。

あまりに稚拙だが、感覚が鈍いのでも悪意があるわけでもない。体質であり、組織の歪だ。

体質というのは、新しい環境変化に対し行動を変えるということができないことをあらわしている。そして組織的な硬直性がそれをさらに強化している。

決して立派な人間ではない私は、意識して東京電力の事を悪く言ったり、書いたりしないようにしている。しかしながら、敵前逃亡と思われても仕方がない様な同社清水社長の不自然な入院や、21箇所と聞く同社の豪華な保養施設に、寒空の下に震える避難民を受け入れようとしない同社の姿勢には余り良い印象を持っていないのは事実である。

そしてこの時期に、供給計画に福島第一原発7号機、8号機の増設を盛り込むと言う暴挙には流石に空いた口が塞がらない。

飽く迄私見であるが、東京電力という会社は今も3.11以前の世界にいて、決して我々が望むように3.11以降の世界に来る事はないのではないか?

もしそうであれば、東京電力に期待するのは福島原発事故の後始末と既存発電所の最大限の稼働とそれに伴う電力供給位で、停電回避をどうするか?は政府、地方行政、企業そして国民一人一人が考えねばならないのではと思う。3.11以前の世界に留まる企業に多くを期待するのは、リスクが大き過ぎると思うからである。

未だに、福島第一原発7号機、8号機の増設を言うのは3.11以前の考え方。即ち、東京、神奈川と言った大消費地から遥かに離れた場所に原発を建設し、送電線で電力を持ってくるという従来の思考パターンである。

3.11以降の考え方は、恐らくこれとは真逆で、消費地に近い所で、消費者自身が発電する事だと思う。そして、政府や地方行政は優遇税の設定や、個人や企業が自家発電で利益を得れる柔軟な電力市場を創設する事で、この潮流を支援すべきと思う。

具体例を列挙する。飽く迄叩き台であり、具体化には詳細検討が必要である事は言うまでもない。

先ず第一は、戸建て住宅はデイフォルトで太陽光発電設置にする。インセンテイブとして設備、工事代金は100%税金を控除してはどうだろうか?

これと並行して少し厳しいかも知れないが、太陽光発電を設置しない家屋に就いては、電気料金を2倍にするのも効果的と思う。

電力需要が旺盛な昼間に戸建て住宅が全て自家発化するインパクトは相当大きいと思う。

第二は、各工場自分が使う電力の自家発はマストとし、遥かそれ以上の電力を供給するよう誘導する施策である。既に発電設備を所有する工場よりは価格にプレミアムを付けて購入する。

これから発電設備を導入する場合は、費用の税額控除は当然として、10年位の利益の出る価格での長期購入契約で企業の背中を押すべきと思う。

第三は、地方行政による発電である。今回の東北震災で問題が顕在化したが、病院、警察、消防署、行政機関そして学校は何があっても停電にしてはならない。その為には、地方行政がある程度の発電能力を所有すべきである

エネルギー庁のこの資料が参考になる。

既にある程度の実績があり、技術的にも確立している様である。地方自治体が所有し、運用している全てのごみ処理施設を発電所にしてはどうだろうか?勿論、東京電力に張り合い、取って代ろうと言うのではない。地方ごとに拠点となる発電所を持つ事で停電による医療や行政の麻痺を無くそうと言う趣旨である。

ゴミ発電システム-2

ゴミ発電経緯-1

脱硫、脱硝等の公害対策技術はゴミ焼却で培ったものがそのまま使える筈だ。また、設備も新たな建設はそれ程必要とせず既存のものと共用し、運転も今いる職員の増員で基本対応できると思う。

繰り返しになるが、3.11以降の電力行政の基本的な考えは、遠くに原発を建設して送電線網から持って来るのでは無く、最大限消費地で自前で発電する様に努力すべきと思う。

東京電力に、前エネルギー庁長官以下7名が天下りしている監督官庁の経済産業省は勿論反対するであろう。

それは、経済産業省も3.11以前の役所と言う事を意味する。これには、地方分権を加速する事で対応すべきと思う。

山口 巌

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