今眼前のリスク

2011年04月20日 07:52

人間は不安のフィルターを通してしかリスクを認識する事が出来ない実に困った生き物である事に就いては、一昨日の記事で説明した。

これが判った以上、喫緊の課題は眼前のリスクを今一度冷静に見つめ直し、これ以上無駄に命が失われる事のない様に万全を尽くす事であると思うに至った。


  
少し古い資料であるが2万人弱の行方不明者が報告されている。記事にもある通り家族ごと行方不明になって届けが出ていないケースもあるとみられる事から、実態はこれより遥かに膨れ上がる筈である。

警察に届け出のあった行方不明者は6県で1万6244人。家族ごと行方不明になって届けが出ていないケースもあるとみられる。

遺体の殆どは瓦礫の中に埋もれていると推測する。

問題は、家族に取っては掛替えのない遺体であるが、冷徹に言えば死後40日が経過した人間の死体である。今後気温の上昇と共に一気に腐乱が進み感染症の温床となるのではないか?

そして津波で家が流されたショックや、或いは家族を亡くした悲しみ、ストレスの多い避難所での生活で免疫力が低下している避難民がその犠牲者になるのではないか?深く危惧する。

瓦礫撤去作業の遅延は避難民と近隣住民が直面するリスクそのものである事は疑いもない事実である。

その原因は官邸の機能不全であり、これは日本国民全てが現在直面するリスクである。

既に記事に書いた通り保身と小賢しいパーフォーマンスを身上とする菅首相は呆れる程雑多な本部会議体を設立した。こんな絵に描いた餅が食えるはずのない事は子供でも判る話である。

政府組織図-1
http://east.tegelog.jp/index.php?itemid=9040

言うまでもない話であるが、官邸がなすべきは先ずは緩急の見極め。喫緊案件、殊に震災後72時間以内での人命救助であるとか、上記指摘した瓦礫の撤去作業等はリーダーシップを発揮し率先垂範、事に当るべきである。

逆に、それ以外に就いては、極論すれば官僚丸投げでも構わない。官僚からしてみれば、何も判っていないど素人からあれこれ指示されるより、仕事が早く出来るメリットがある。

今一つの仕事は全体最適への調整である。官僚は実務に長けているが、そのベクトルの向かう先は権限と省益の拡大である。従って省毎に異なる思惑と利益を調整し国家利益の最大化に努める事である。

菅首相がやるべきは、正にこの判断であり、枝野官房長官の仕事は各大臣間の調整である。

これまでの所全く出来ていない。自分の職責に就いての自覚も希薄なのであろう。

そして、単に動く事と、働く事の違いを肝に銘じなければならない。菅首相がやっているのは、決して機能する事のない本部や会議体を乱造し、その中で無意味に動き回っているだけの話である。

働くと言うのは、何の為、誰の為、どちらの方向に向かい、何をするのかが明瞭に意識された上での行動である。

最後に指摘したいリスクは、官邸のこの本来有り得ない惨状を眼前にしての民主党員の危機感の欠如無責任である。

日本の首相に最も相応しくない人間を選択した事を深く恥じ、反省すべきである。その上で、国家の為、国民の為に何を成すべきか?何が出来るか深く考えるべきである。

長く続いた利益誘導の自民党政権に、国民が倦み、追い風に乗り、何の努力、苦労もなく、棚ぼたで当選したのであろう。議員としての自覚が全く感じられない。

国民の眼前にあるのは、菅首相を中心とする脆弱極まりない官邸と危機感と責任感不在の民主党議員と言う、破れ鍋に綴蓋の無残な光景である。

政治の空白が好ましくないのは事実であるが、瓦礫の撤去を急ぎ、東北を復興せねばならないこの時期に官邸がブラックホールとなっている状況を放置する事は、幾ら何でもリスクが大き過ぎる。

野党は内閣不信任案を次の国会に提出し、民主党内の心ある議員はこれに賛同し、官邸のスクラップ&ビルドを速やかに実行すべきと思う。

山口 巌

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