「何を捨てるか」が問われる時代 - 『2100年、人口3分の1の日本』

2011年05月15日 19:37

2100年、人口3分の1の日本 (メディアファクトリー新書)2100年、人口3分の1の日本 (メディアファクトリー新書)
著者:鬼頭 宏
販売元:メディアファクトリー
(2011-04-28)
販売元:Amazon.co.jp
★★★☆☆


電力不足で節約してつつましく暮らそうという話が多いが、好むと好まざるとにかかわらず、日本経済はこれからつつましくなるだろう。その最大の制約は、人口の減少である。本書はこのトレンドを2100年まで延長して何が起こるかを予想している。

タイトルのように、2100年に日本の人口は現在の1/3、約4000万人になり、世界の1.8%の小国になる。そのとき経済規模がどれぐらいになるかは労働生産性によるが、今のGDPを維持するだけでも年率1.2%で労働生産性が上昇しなければならない。最近の実績は0.7%なので、これはかなり高い目標だ。だから今のままでは、日本経済は縮小するだろう。

一人あたりGDPを維持するためなら生産性上昇率は年率0.5%ぐらいでいいので、各個人は平均的にはそれほど貧しくなるわけではないが、問題は高齢者の比率が高まることだ。従属人口(高齢者+子供)の労働人口に対する比率は、2005年の51%から2055年には100%になり、現役世代の負担は現在の2倍になる。年金制度もそれまでには確実に破綻し、公的年金という制度が維持できるかどうかもわからない。

都市と地方の関係も大きく変わる。日本のすみずみまで「あまねく公平」にインフラを整備して福祉・医療などのサービスを行なうことは不可能になり、「集落の自然死」が起こる。人々は地方中核都市に移住し、都市機能は「コンパクトシティ」に集約せざるをえない。このような「マイナスサム・ゲーム」の中で重要なのは、何を捨てるかという決断である。

このような変化はすでに始まっている。今回の震災は、そういう縮小の時代の始まりを告げる出来事だったが、民主党政権は震災復興でも場当たり的なバラマキを続けようとしている。本書はそういう政策には踏み込んでいないが、2100年という長期を考えれば、こうした政策が持続できないことは明らかだろう。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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