アゴラは原発容認派の意見が多いので、バランスを取るために反原発派の立場から書いてみます(私のツイッターにいつも寄せられる意見を参考にしました)。
浜岡原発を首相の「要請」で停止した影響で、定期検査を終えた原発の再稼働を拒否する自治体が増えています。福井県の西川知事は「安全が最優先だ」として、県内の原発の再稼働を拒否しました。「関西から原発をなくす」と勢い込んでいる大阪府の橋下知事は喜ぶでしょう。この他にも佐賀県の玄海原発でも県議会が再稼働に反対し、愛媛県の伊方原発でも地元は再開に反対しています。
斑目原子力安全委員長は「全電源喪失という事態を想定していない国の安全基準は明らかに間違っている」と国会で答弁し、安全基準の改訂を決定しました。これは全国の原発が「間違っている」ことを意味します。間違った安全基準で運転している全国の原発は即刻止めるべきです。命はお金に代えられません。
「東海地震の確率87%」などという首相の要請には、何の法的根拠もない。すべての原発は、いつ地震が起こっても大丈夫なように設計されているので、確率なんて意味がありません。政府は、他の地域は低確率なら死んでもいいというのでしょうか。福島事故で明らかになった津波の影響についてはすでに対策が取られたので、浜岡を止めるなら、同じ基準で全国のすべての原発を止めるべきです。命はお金に代えられません。
いま全国の54基の原発のうち34基が止まっていますが、検査中の原発が再稼働しないままスケジュール通り定期検査に入ると、夏のピーク時には42基が止まります。「そんなことをしたら電気が足りなくなる」という人がいますが、命はお金に代えられません。最大出力だけを考えれば、全国の火力・水力を足せば、東電の目標とする5500万kWを出すことは可能です。
それによって燃料費は全国で年2兆円ぐらい増え、電気代は2割ぐらい上がります。古い火力発電所を無理にフル稼働すると事故が起こりやすく、ピーク時に1基が止まると首都圏全体が大停電しますが、命はお金に代えられません。停電で病院などで死者が出るかもしれませんが、放射線を浴びて死ぬよりましです。
最終的には、すべての原発を廃止すべきです。その穴は「自然エネルギー」で埋めるのが理想ですが、できなければ火力でもかまわない。それによって燃費は上がり、供給は不安定になり、大気汚染は悪化し、電気代は数倍になるでしょうが、命はお金に代えられません。電力不足で工場が海外に移転して雇用が失われても、30年ぐらい前の暮らしに戻るだけです。エアコンとか冷蔵庫なんかなくても、人間は生きていけるのです。
コメント
分かりづらいギャグですか?
池田さんが全国の原発を即停止せよなんて言うからびっくりしましたよ!私は原発非推進派ですが、ご自身が全国民の悪役的存在になってしまうリスクを承知の上で原発推進論を唱えておられるのには本当に頭が上がりません。今の日本では徹底した議論が必要です。充分な議論無しでどのような結果になろうとも、価値はありません。充分な議論をすることでお互いが対等の立場で、徹底的に議論し、潰しあうことで、その結果全く新しい何かが誕生する可能性を秘めています。今後とも推進派としての御活動、(敵ながらにして陰ながら)応援しております。
私の見るところ, 反原発派はいま陶酔状態にあります.
原発廃止の副作用は無視, どのような反動が来るかは考えないという酩酊状態です.
議論して奇異に感じたのは, 皮肉が全く通じないことでした.
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日本は兵隊が優秀なので, 原発が止まっても, 電気代が高くなるだけで停電はしないのではないかと思っています. 結果, 事態が深刻になっても表面化せず, ある時期に日本国自体が突然死するような予感がします.
少なくとも自分の家族だけは守りたいと思います.
些末なコトなんですが...
大阪府の橋下知事は「関西から原発をなくす」などとは言ってません。反原発派の方々が知事の発言を拡大解釈して流布しているのです。アドバルーンを揚げるのが得意な方なので、メディアの報道だけ見ていると、そういう風に見えるのは仕方ないのですが、大阪府のWebで見られる定例記者会見の延々と続く記者との質疑を見れば、間違っているコトがわかります。まぁ、忙しい池田先生が、大阪府知事の定例記者会見なんて見る時間は無いとは思いますけれど。
痛快なウィットをありがとうございます。
ところで、勝谷誠彦氏と田中康夫氏が推されている、オーランチオキトリウムもいかがでしょうか? 燃料だけでなく、原料にもなる点で、風力・太陽光・水力発電よりもアドバンテージがあるはずです。
定食屋でアルバイトをしているシンガポールからの留学生でさえ興味をもっていますよ。この技術は、研究室を離れて、実用化実験の段階まできていて、海外からの引き合いもあるとか。
もし、有望であるなら、チャレンジの声くらいは挙げなくてはと思い、書き込みました。このオーランチキチキ(三宅久之氏命名)の技術はいかがなものでしょうか。異才だけでなく、多彩な論者が必要です。
また、有望だと声を上げておられるのを無視しておきながら、その成果が海外に売却されたら悔しがり、研究者を、拝金主義だ、売国奴だなんだと責める類の愚が生じることだけは避けたいものです。
「命は金に代えられない」という命題だけ取るなら、人工妊娠中絶の規制をカトリック国並みに大幅に厳しくして(実際の南米の法制などは調べていないけれど)、金銭的事由での中絶は全て禁止するべきでしょうね。
> 30年ぐらい前の暮らしに戻るだけです。エアコンとか冷蔵庫なんかなくても、人間は生きていけるのです。
江戸時代に学ぶ」とかいいますが、昔の家は良く言えば夏向き、悪くいえばすかすか、現在の高気密住宅はエアコンありが前提ではないでしょうか。
(私のオリジナルではなく、林望さんのコラムが文献です)
リンボウ先生の「思想する住宅」
http://www.toyokeizai.net/life/column/list/SC/4416b04b19f1e59c44fedd42767ce8b7/page/3/
猛暑とコストプッシュインフレで、自殺・衰弱死が激増しとならないか危惧しています。(今まででも自殺は毎年3万人、半年で地震・津波を超えてしまいます。)
原発の是非は、放射能との戦争が終わってから議論すべきでしょう。福島原発の問題は現在進行形なのです。しかも悪い方向へ向かってです。何とか収束に向かってほしいと祈っていますが、いずれ「人海戦術」が避けられないと言われています。その際、おそらく東電関係者だけでは足りませんから、全国から原発作業員が動員されることになると思いますが、今はその時に備えて全国の原発を止めて作業員の被曝を止めて温存する時期だと思います。なにしろ被曝限度以下の原発作業員は貴重な存在なのですから。
ところで、スマトラではM9の地震の後、約3ヶ月でM8.7の地震が起きました。他にも巨大地震の後、数ヶ月で連動して大地震が起こった例があるそうです。煽るつもりはありませんが、もし、直近にM8クラスの地震が福島沖で発生したら、今の福島原発は倒壊し、東日本はアウトです。
たぶん多くの反原発派は「池田信夫もたまには良いこと言うじゃないか」と思うでしょうね。池田氏の文章が「反語」「皮肉」「批評」だと認識できる人がどれだけいるでしょうか。
反原発派の言っていることは全く現実性を欠いていますが、福島の事故が進行中である以上、推進派は防戦一方にならざるを得ないでしょう。
私自身は、安全対策の強化を前提とした消極的容認派ですが、「原発は怖い。信用できない。」といった時代の空気が広く醸成されつつあるように思えます。トルストイの言を借りれば「社会を動かすのは人間意志の熱力学的な総和」とのことです。日本は原発削減に向けてすでに動き出しているのかもしれません。
冗談抜きで、一度計画的に止めてみるのが良いと思います。
真夏に柏崎や若狭で大地震が起こると、近くの原発は非常停止します。
例え放射能漏れが無くても、突然の大停電は避けられないでしょう。
それならいっそのこと、防災訓練のつもりで全原発を止め、
どういう影響が出るか、どこまで消費を抑えられるか確認するのです。
(原発を止めずに同出力の火力を止めても構いません)
発生確率ゼロだった地震&想定外だった津波の再来を恐れるより、
確率の低い事故に備えて数千億円の無駄な投資を行うより、
現実味の無い原発全廃を唱えるより、よほど実利があります。
関東は大停電を経験済みですが、その手法はあまりにも稚拙でした。
今夏の節電も、大口需要家頼りで経済への悪影響が甚大です。
(実際には節電不要のようですが、企業は過剰に備えます)
真面目に検討すれば、さほど混乱せず(首都圏なら)500万kwくらいは
落とせるはずです。
大きな病院には大抵自家発電があるし、停電対策の方が原発事故対策よりは容易なように思います。
「命は金に変えられない」と言っている反対派は「自分(や家族知人)の命は金に変えられない」と言っていると読みとらなくてはなりません。推進派が電力不足による熱中症死の増加を持ちだすのが反対派に対する牽制のためにだけであって、見知らぬ高齢者の生死とか自分の利害に関わる経済問題に比べればどうでもいい、と思っているように。
多くの人にとって見えない放射性物質を避けるよりも電力不足のさなか子供や祖父母の体調に気を配る方が余程取り組みやすい課題なのです。
>30年くらい前の暮らしにもどる
>エアコンとか冷蔵庫がなくても
これが原発削減/廃止に伴い実現すると明確に論証できたなら、推進(容認)派は増加すると思うけれども。
全国の原発を止めたところで、
福島から漏れている放射能は防げませんからねえ。
なんか鳩山さんの「命を救いたい」っぽくなっちゃいますね。
コメントに既に指摘があるように「家族や知人の命が大事」なのであって、見知らぬ他人や外国人の命、あるいはCO2や煤塵による健康障害、広く言えば税金のように、目に見えずに薄く負担するものは気にしないのが原発反対派の特徴ですね。そういう意味では放射線は自然に存在するし、時間と共に薄まる上に、漏れた量も人体に害があるレベルじゃないんですけど、見慣れない単位だからおびえるのかなぁ。
反語的に書かれた原発反対の立論、楽しませていただきました。実際には、即刻停止の前提で議論が進むために様々な不都合な真実が出てくるのだと思います。そこで、もし原発反対派の皆さんが真剣に原発の完全撤廃を唱えるのであれば、向こう10年から15年程度の時間を掛けて、段階的に代替エネルギーや化石燃料による発電などへ移管していくといった、実現可能性のフィルターを通した案を提示されるべきと思います。
私は、奇しくも福島原発が今回の事故を通して残してくれた遺産、つまり、想定外の状況に対処すべく何をどのように改善したらよいのか、をフルに活用して、コストと安全性のバランスの考慮は必要ですが、全国で稼働中の原発の評価と追加安全対策を粛々と進めていくことが、ヒステリックに即刻運転停止を叫ぶよりも現実路線のように感じております。
私は今回のエントリが子供のいたずらへの仕返しを見ているようであまり好きにはなれなかった。
それはさておき、原発反対派の議論を見ていると、シーシェパードのような環境保護団体を思い出す。彼らは数字を並べ、理屈のように語るが実はそうではない。ただ彼らのスローガンに迎合する者によって展開される主義の主張に過ぎない。聖書に「1+1=3」と書かれていたなら、それで「真実」としての理由は十分なのである。
一見科学的な議論も、内容が宗教的な議論になっている時、理屈で理解させることはできない。必要なのは新たな信仰だ。
原発推進をしようとするなら、震災で傷ついた人の心の拠り所となる、それに見合うだけの神話が必要となる。
>エアコンとか冷蔵庫なんかなくても、人間は生きていけるのです。
「サイレント・テロ」、いいですねぇ。
みんなで節約しまくって消費活動を抑制して、くだらない企業は潰れたらいい。
今、ヘタに消費活動を拡大したりなんかすれば、大量生産・大量消費を支える
ためのあらゆる守旧勢力を再建せざるを得なくなってしまう。いくら東電や原発
を罵ってみたところで、お前らだって「電力の安定供給」に頼って生活している
ではないかとやられたらグウの音もでなくなってしまう。
そこで。エネルギー需要はこちらで調節する、「電力の安定供給」には頼らない、と。
大量生産・大量消費にはNO、必要なものは必要な時だけ購入する、と。
原発が嫌だから原発反対デモ、ではなくて嫌だというその本人がその私有地を売却して、
原発の無い場所へ引っ越してそこで暮らせばいい、と。
そういう人は売却できるだけの私有地があるぶん、弱者救済の対象にさえならないはずだ。
3月14日輪番停電!お風呂やテレビは我慢できても、冷蔵庫はどうするの?折角の買った冷凍食品どうなるの?・・・云々
あんた、買い溜めしとったんかいw 人間とは摩訶不思議なものですねぇ。
図らずも原発依存度0%を全国で沖縄電力に次ぎ達成した
中部電力管内のものです。
もっとも東北電力、北陸電力も今現在原発依存度は0%で、中国電力、東京電力も原発依存度10%に満たないですが。
原発の廃炉費用その他保障費用は原発依存度に比例して
電力料金に上乗せ。原発サーチャージ導入大賛成ですね。
原子力のコストは原発中毒度に比例して負担すべきでしょう。
(まあ、浜岡が完全解体されるまで中部は不安を抱えますが)
池田さんが思うほど原発に依存してないのですよ。すでに日本は。脱原発を果たした電力会社の主軸はガスコンバインドサイクルに移ります。
電気料金2割増し?残念ながら脱原発の中部管内でそれはありません。社長も明言してますね。福島の後始末負担費用が跳ね上がらない限り電気料金の値上げはないと。