全国の原発を即時停止せよ

2011年05月24日 23:06

アゴラは原発容認派の意見が多いので、バランスを取るために反原発派の立場から書いてみます(私のツイッターにいつも寄せられる意見を参考にしました)。


浜岡原発を首相の「要請」で停止した影響で、定期検査を終えた原発の再稼働を拒否する自治体が増えています。福井県の西川知事は「安全が最優先だ」として、県内の原発の再稼働を拒否しました。「関西から原発をなくす」と勢い込んでいる大阪府の橋下知事は喜ぶでしょう。この他にも佐賀県の玄海原発でも県議会が再稼働に反対し、愛媛県の伊方原発でも地元は再開に反対しています。

斑目原子力安全委員長は「全電源喪失という事態を想定していない国の安全基準は明らかに間違っている」と国会で答弁し、安全基準の改訂を決定しました。これは全国の原発が「間違っている」ことを意味します。間違った安全基準で運転している全国の原発は即刻止めるべきです。命はお金に代えられません。

「東海地震の確率87%」などという首相の要請には、何の法的根拠もない。すべての原発は、いつ地震が起こっても大丈夫なように設計されているので、確率なんて意味がありません。政府は、他の地域は低確率なら死んでもいいというのでしょうか。福島事故で明らかになった津波の影響についてはすでに対策が取られたので、浜岡を止めるなら、同じ基準で全国のすべての原発を止めるべきです。命はお金に代えられません。

いま全国の54基の原発のうち34基が止まっていますが、検査中の原発が再稼働しないままスケジュール通り定期検査に入ると、夏のピーク時には42基が止まります。「そんなことをしたら電気が足りなくなる」という人がいますが、命はお金に代えられません。最大出力だけを考えれば、全国の火力・水力を足せば、東電の目標とする5500万kWを出すことは可能です。

それによって燃料費は全国で年2兆円ぐらい増え、電気代は2割ぐらい上がります。古い火力発電所を無理にフル稼働すると事故が起こりやすく、ピーク時に1基が止まると首都圏全体が大停電しますが、命はお金に代えられません。停電で病院などで死者が出るかもしれませんが、放射線を浴びて死ぬよりましです。

最終的には、すべての原発を廃止すべきです。その穴は「自然エネルギー」で埋めるのが理想ですが、できなければ火力でもかまわない。それによって燃費は上がり、供給は不安定になり、大気汚染は悪化し、電気代は数倍になるでしょうが、命はお金に代えられません。電力不足で工場が海外に移転して雇用が失われても、30年ぐらい前の暮らしに戻るだけです。エアコンとか冷蔵庫なんかなくても、人間は生きていけるのです。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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