一川防衛相は辞任すべきか?

2011年12月04日 12:19

朝日新聞が伝える所では、自民党は公明党等他野党と連携し問責決議案を提出するのだそうだ。

自民党の石原伸晃幹事長は3日、一川保夫防衛相の問責決議案を今国会会期末の9日に参院に提出することを明言した。前沖縄防衛局長や一川氏自身の不適切な発言を理由に、公明党と共同提案する。ほかの野党の賛同で可決する公算が大きく、野田佳彦首相の判断が焦点となりそうだ。


それでは、一川防衛相は辞任すべきなのだろうか?

私は全く必要ないと考えている。

問責決議の理由として、部下の、前沖縄防衛局長と本人の不適切な発言を挙げているが部下の不始末に就いては防衛相のマニュアルに従い適切な処理を行う事が一川防衛相の仕事であり、それ以上でも以下でもないはずである。

本人の不適切な発言に就いては、確かに些か勉強不足を感じるが辞任しなければならぬ程重篤なものとはとても思えない。政治家としての資質が問われると言った本質的な問題ではなく、単なる勉強不足から来た的外れな発言をしてしまったと理解している。

そもそもの話であるが、以前、記事に書いたが、マスコミが注力する事件が本当に日本に取って重要なもので、対応を誤れば重篤な状況に陥ってしまうものなのかは疑問である。

彼らの価値観、判断基準、は牛丼の吉野家同様、早い・安い・旨いだと思っている。

今回の一件に就いて言うならば、前沖縄防衛局長の不適切な発言に就いては弁護の余地がなく、その上司たる一川防衛相を追及する下地が出来ている。即ち、早いの要件を満たしている。

安い、に就いても似た様なもので、取材やその裏取りに手間暇かけているとは全く思えない。テレビに限って言えば、先ず、沖縄県庁で仲井真弘多知事に謝っている場面を撮影し、放映すれば所謂、空気、流れは出来る。仲井知事にしてみても中央政府に強く出ている所を県民にアピール出来るので協力を得やすい。

次は、お約束の絵になる応援団長の登場である。前原民主党政調会長の「勉強不足が過ぎる」 前原政調会長、一川防衛相を批判がこれである。テレビが何を期待しているかを理解し、その内容をコメントしている。菅氏同様、政治家としての資質は別としてテレビカメラの前での一発芸、瞬発芸に長けた御仁と思う。

こういう好ましくない状況を目の当たりにして思う事は、テレビ(他メデイアも所詮同じ穴の貉だが)はつくづく視聴率乞食であるという残念な現実である。

一方、前原氏の如きは、上記の如くテレビに協力し、結果頻繁にテレビに登場する事により、まるで大物政治家の如きイメージを一般国民に植え付ける事に成功する。

例えば、今回の一川防衛相の一件が、マスコミが描いたシナリオであっても適当なタイミングでテレビカメラの前に登場しシナリオを披露する事で馬鹿な国民はまるで天の声を発する偉大な政治家と錯覚するに違いない。

楽して投票を得る実に美味しい仕組みではないか。テレビが視聴率乞食であるとするならば、この種政治家は投票乞食と言っても良い。視聴率乞食投票乞食はタッグを組み日本をミスリードしていると言うのが、私の基本的な考えである。

マスコミは本来オリンパス事件の如き、日本の株式市場と会社統治のあり方を揺るがしかねない事件をきちんと追うべきなのである。しかしながら、取材し、取材結果の裏取りをする様な地道な仕事を忌避し、当局のリーク情報の垂れ流しに終始している。

自民党の如き野党第一党は、本来かかる下品な愚行を戒めるのが本来義務、仕事、と思うのだがシナリオにちゃっかりタダ乗りを決め込み、上記の如く問責決議をするのだそうだ。余りのレベルの低さに開いた口が閉まらない。

自民党の本質は利益誘導であり、本来求められた政策の立案、提言等は全て官僚に丸投げし、タダ乗りを続けて今日に至る。最早、日本の政界から退場戴くべきではないだろうか?

最後は、旨いである。一川防衛相をスケープゴートに仕立てる事で得をするのは一体だれか?がポイントである。

この件は、一種の陽動作戦ではないのか?首相の指示、命令を無視し周波数帯域のオークションを先延ばしする川端氏を庇う事を意図していると思う。野田首相は川端総務相を更迭すべき、から国民の眼を逸らす事に成功すればテレビ局としては充分に御釣りが来る。

仮に、川端総務相更迭となれば過去に訴求しての総務省の悪事や如何にテレビ局が濡れ手に粟の利益を得ていたかが白日の下に晒され、国民の強い怒りを買う事になるはずである。

さて、本論に戻り、一川防衛相が辞任すべき理由とされる勉強不足であるが、それを理由に閣僚退陣を迫るとしたら大部分が辞めざるを得ないのではないか?

一般に主要閣僚とは、外務大臣、財務大臣それから経産大臣あたりを指すものと了解している。理屈を捏ね廻すよりも、一人一人見て行くのが話が早いだろう。

先ず、玄葉外相であるが、この人が自分の頭でものを考えメッセージを発するのを見る機会に恵まれない。就任以来話題と言えば、ふざけるな!玄葉外相 日帰り訪中に飛行機チャーター代1200万円位と理解するが、実態はどうなんだろう。

次に、財務大臣の安住氏であるが以前記事に書いた通り、基本的な所を何一つ理解していない。

最後は、経産大臣の枝野氏である。この御仁に就いても以前記事で説明した。勉強不足云々以前に政治家としての資質に問題があると思っている。

中国は日本に対し4兆円もの貿易黒字を供与する最高のお得意様である。又、中国からの輸入品は100円ショップで売られている安くてそれなりに質の良い商品であったり、ユニクロの衣料品であったり、その低価格で質の良い商品に日本国民は恩恵を受けている。本当にお世話になっている大事な恩人なのである。
枝野経産大臣は昨年10月尖閣問題を受け、中国は「悪しき隣人」と罵倒、扱下ろした。こういう貿易実態を理解しておれば決して出る事のないコメントである。枝野氏の経済音痴ぶりを見事に曝け出している。又、こういう人間を今尚、経産大臣と言う主要閣僚に留める民主党に政権与党の資格はないと思う。

アメリカのオバマ大統領やクリントン国務長官であっても決して、中国は「悪しき隣人」等と一方的に罵倒する事はない。中国の為替政策人権問題を指摘するに留めているはずである。そして、最後は「中国が問題を改善し国際社会の良き一員となる事を期待する」で、締めくくっている。

私は何も一川防衛相が優秀な政治家であると弁護する積りはない。寧ろ、多くの人が指摘する様に防衛相としては足らぬ所が多いと思っている。しかしながら、他閣僚に比較して著しく劣っているとは思えないと言うだけである。

国防のトップともなれば、軍事に就いての基礎知識は当然として、本来同盟国アメリカの幹部と英語で意思疎通が出来、強固な人間関係が構築出来る。中国語もある程度出来、中国要人ともコミュニケーションが取れる。

軍事とコインの裏表の関係にある、ソフトパワー、外交にも通暁している。経済、通商にも明るいといった所も希望したい。

こういう人材がいるにも拘わらず、敢えて一川氏を防衛相に任命したというのであれば確かに野田首相の任命責任は問われるべきと思う。しかしながら、上に述べた他主要閣僚のパーフォーマンス見る限り民主党には人材がいないと思う。

最後に民主党議員に言っておきたいのは、野田首相がラストチャンスであり前の二名の如く党の都合で入れ替える事は出来ないと言う事である。

鳩山氏はそもそも宇宙人であり、変な首相であった。そして普天間問題で大失策を犯した。鳩山氏の後継者菅氏も同様本来首相に等なるべき政治家ではなかった。失政に就いては敢えて書かない。

先輩二人に比較すれば、野田首相はここまで大きな失敗も無く安全運転を続けている。しかしながら、下品で勝手なマスコミのシナリオに敗北し一川氏を守りきれない様では党内の信頼をなくし、解散に追い込まれる事になると予想する。

これは、取りも直さず首相が拠って立つべき民主党が液状化してしまっている事を意味し、選挙をしようが、しまいが政権与党に留まる事は不可能である。

民主党への追い風を受けて当選した多くの議員は、当然落選し、世間の冷たい風を真正面から受ける事になる。

その点を肝に銘じ、野田首相を支えるべきではないだろうか?

山口巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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