ソーシャルゲーム企業はリアルマネートレードの全面禁止を明確に打ち出すべき

2012年03月07日 07:00

ソーシャルゲーム産業は一刻も早く、ゲーム内のバーチャルアイテムを換金できるリアルマネートレード(RMT)の全面的な禁止をもっとはっきりと押し出すべきである。

今は、業界の成長が行政の介入によって、この数年間で3000億円市場になった、新しい産業の成長が崩れるかもしれない、きわどい危険な状況に直面していることに、もっと敏感になるべきだ。


なぜ、この問題を放置すべきではないのかというのは「賭博法」にひっかかる可能性が高いからだ。ソーシャルゲーム内で獲得できたアイテムの換金は、ソーシャルゲーム企業の埒外にあり、ユーザーが勝手に行っているという状態であったとしても、事実上換金できるという状態が、継続している。それは、極めて違法性の高い状態に置かれているという解釈が可能だ。

グリーは2月24日に、「グリー、ゲーム内禁止行為の監視強化を図り、ユーザーの保護施策を新たに導入~ プレイ環境の健全性向上を目指し、業界各社・団体と連携 ~」というプレスリリースを発表している。サイトパトロールや検知機能の強化などで、「業界各社・団体と連携して詳細な調査を行い、禁止行為を『GREE』外から助長する事業者や個人へ厳格に対処します」としている。

ここでいう禁止行為は明瞭には書かれていないもの「探検ドリランド」のバグ問題によって、大きくクローズアップされるようになったRMT問題であることはいうまでもない。しかし、プレスリリース文には、RMTという明確な文字はない。現在でも、Yahoo!オークションでは仮想アイテムがユーザー間で、最高10万円以上で売り買いがなされている状態が続いている。ソーシャルゲーム内のアイテムやカードが、換金可能である点が、賭博法に抵触する。

実は、行政の本音は、今回のソーシャルゲームのRMT問題が、パチンコなどの問題にまで波及してくることを恐れている。

10年にパチンコ業界にとっての悲願でもあった「パチンコ業法」の不成立の背景には、当時の研究会の議論の結果として、違法性が極めて高いという結果になったことが大きく、法案提出をあきらめたという経緯がある。さらに、パチンコの3店方式では、表面上はそれぞれの店舗は独立した物として理解されているが、実体としては一体として運用されている。(3店方式については日経の拙稿を参照頂きたい)

そのためにわき上がってくる問題は、消費税の問題だ。店舗ごとに景品や現金が移動するために、数千万円単位で日常的に動いている資金に消費税がかかるようになると、パチンコ業界は収益面で成り立たなくなってしまう。今後、消費税の引き上げ時には深刻な問題としてクローズアップされる可能性がある。

そのため、警察庁を管轄する国家公安委員会は、社会問題に発展しないように厳しくパチンコ台の射幸心の範囲を厳しく制限している。各メーカーも以下の条件を厳しく守っている。

・大当たり確率の下限は1/400。また、異なる確率を採用する場合、2種類までの確率(低確率と高確率)を採用できる。
・1回の確率変動で獲得できる平均出玉は8000個以下。
・総出玉のうち、役物による出玉(役物比率)が60%以下。
・打ち込み6000個(1時間)の出玉率の上限は300%、打ち込み60000個(10時間)での出玉率の上限が200%、下限が50%。

ポイントは、最後の出玉率200%という上限だ。パチンコ・パチスロの新型機を発売する場合には各社は10時間1000台の自動でテストし、1台でも200%を超えるようであれば、全面的な調整作業をやり直すということを行う。

ところが、現在のソーシャルゲームはこの数値以上にはるかに高い射幸心の範囲を設定できてしまう。そのため、RMT行為を通じて、換金できる状態は、パチンコ以上の違法状態と認定されてしまう可能性があるのだ。

規制や行政指導といった動きを見せるために突いてくるのは、賭博性を防止するために、ソーシャルゲーム各社がどれだけ、この問題に本気で対応し、RMTを否定して賭博性を持たせないよう努力しているのかという点だ。場合によっては、RMT行為を助長しているといえる、オークションサイトなどへの法的措置も必要だろう。

しかし、やっかいな前例もある。08年に民事訴訟の結果が出ている大規模オンラインRPG「ラグナロクオンライン」の運営社員が、ゲーム内仮想通貨をその立場を利用して販売し5800万円以上の利益を得ていたケースがある。

それに対し、民事裁判で、信用損失などの被害を申し立て約7487万円の支払い請求を行ったケースがあった。しかし、最高裁で社会的な信用の損失の部分にのみを対象として550万円で決着が付いている。これはゲーム内での仮想アイテムや仮想通貨の価値の法的な位置づけがないため、民事裁判でRMT自体の責任を問いにくい前例となっている。

しかし、RMT行為のヤリ得という状態を許してはいけない。今回のRMT問題についてはオンラインゲーム以上に迅速に対応するべきで、そのために、今まで以上にはっきりと社会に対してメッセージを発する必要がある。

ジャーナリスト(ゲーム・IT) @kiyoshi_shin

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