首相公選制について:「維新の会」を研究する(1) --- 田原 健央

2012年03月14日 08:00

私は維新の会の関係者ではありませんし、掲げる政策には賛成点と反対点のどちらもあるのですが、この会には前から興味があっていろいろ調べています。

その中で、この会は橋下氏のキャラだけでなく、言ってる政策もなかなか面白いことに気づきました。


たとえば、先日の読売新聞によると、維新の会は次の7点をやることを決めたとのことです。

維新公約、首相公選制を決定

・首相公選制
・道州制
・参議院改革(廃止も視野)
・憲法の改正要件を3分の2から2分の1に緩和
・憲法9条についての国民投票
・沖縄の負担軽減のため、新たな米軍再編ロードマップ作成に着手
・年金、失業対策、生活保護を一本化し、「最低生活保障制度」の創設(ベーシックインカム制度の理念)

維新の会は今後日本の構造を大きく変えていく可能性があるので、賛成派にせよ反対派にしろ、この会の政策を理解しておくことは意味があると思います。

しかし、具体的な政策の中身について、詳しく知っている人は少ないでしょう。

せっかくなのでこれから数回にわたり、この会の政策をできる限り中立に、わかりやすく解説していきます。

まず、首相公選制について解説します。

今は国会議員が国会議員の中から首相を選んでいます。

これに対し、首相公選制だと、国会の選挙とは別に、首相を選ぶ選挙が行われます。つまり、首相を私たちが直接決めることができるのです。こうやって直接首相を選ぶことで、私たちの意思に基づいた政治をしようというのが首相公選制の目的です。

この首相公選制には、次のようなメリットがあります。

メリット(1):大胆な改革をやりやすくなる!

今の首相はあくまで国会議員が選んだ人であり、私たちが選んだわけではありません。この記事を読んでいる方の中で、「自分たちが首相を選んでいる」と実感している人は少ないはずです。「気づいたらいつの間にか、知らないところで勝手に決まってるんだよね」ってのが本音でしょう。

この点、首相公選制だと、私たちが選挙で民主的に選んだ人が首相になるので、自分たちでリーダーを選んでるって感じがしてきます。これによって、首相は大胆な改革をやりやすくなります。なぜなら、「選挙で選ばれた」という事実そのものが、首相=リーダーの政策を正当化するからです。

これに加えて、首相公選制だと、首相は国会議員の世界にある「貸し借りの関係」をあまり気にしなくてもよくなります。

今の制度だと、首相は国会議員の世界の貸し借りに縛られまくってしまいます。たとえば「あのとき私賛成してあげたから、次はこのポストちょうだいね」とか「この政策は俺の地元の利権を損なうから反対だ。その代わり、別の分野では協力する」みたいなことを言う議員がたくさんいるんです。こういうしがらみや貸し借りに縛られていると、首相はあまり大胆なことはできなくなります。

この点、首相公選制だとこういう貸し借りやしがらみに縛られにくくなるので、大胆な改革がやりやすくなります。

メリット(2):政治に関心を持つ人が増える!

首相公選制だと、国会議員ではなく私たちが首相を選びます。これは私たちが大きな責任を負うことを意味します。なぜなら、首相は国の未来を決め得る超重要人物であり、その役職に変な人を選ぶのもいい人を選ぶのが私たち次第になるからです。今までのように、国会議員にお任せということはできなくなります。そうなれば、否が応でも政治に対する関心は上がるはずです。

同時に、自分が応援する候補を首相にしようとして、アメリカの大統領選のようなお祭り騒ぎもおきるようになるでしょう。これも、政治への関心度アップを後押しします。

メリット(3):いい首相が増えてくる(かも)

意外なことに、私たちの大多数が首相になってほしいと思うような理想の議員、つまり「リーダーシップがあって、実行力があって、途中で仕事を投げ出さないで、能力や人望があって、かっこよくて、とにかくすごい……」議員は、たいていの場合首相にはなれません。なぜなら、国会議員はリーダーシップがあまりなさそうで、自分たちの意見を聞いてくれそうで、すぐにやめそうな議員を首相に選ぼうとしがちだからです。

国会議員になる人はたいてい何かやりたいことを持っています。それゆえ、首相に自分の意見を聞いて取り入れてもらいたいのです。リーダーシップとか実行力がある人より、調整型で自分の考えを聞いてもらえそうな人を支持します。

また、国会議員はみんな「自分も首相になりたい」と思っています。もし上記のようなすごい議員が首相になってしまうと自分がかすんでしまいます。有能な首相は長く政権を続けることができるので、自分にお鉢がまわってくるのも遅くなってしまいます。国会議員からするとこれは困ります。これに議員同士の嫉妬心も加わり、できれば自分よりダメそうで、仕事を早く投げ出しそうな人を選びます。

この結果何が起こるかというと、私たちの大多数が首相になってほしいと思う理想の議員とは反対の、ダメな人が首相になりやすくなります(実例はいくらでも挙げることができます)。

首相公選制にしたらこのような仕組みはなくなります。

(次回は、首相公選制の問題点について述べようと思います。)

田原 健央
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