雇用を流動化させれば企業も若者も元気になる --- 岡本 裕明

2012年04月16日 12:21

日本は雇用の解雇をしにくい国のひとつであります。もともと働くことを美徳とする歴史を持ち、終身雇用なる制度を作り上げた国だけに解雇という言葉に対する響きは一種独特のように思えます。

さて、日経の以下の記事をお読みください。

硬直的な雇用制度が若年層の就労に不利に働いているとの指摘は多い。… その慣行を既得権益とする中高年は雇用が守られるが、景気が悪化すれば非正規の契約雇用しかない若年層にしわ寄せが及ぶ。


この雇用問題の記事はスペインの状況を取り上げたものです。結果として同国では失業率が23.6%、25歳未満に限れば50.5%という信じられない水準の失業率となっています。イタリアも同様であり、一般的にヨーロッパ諸国は雇用が硬直化しており、高齢者天国であるともいえるでしょう。皆さんもヨーロッパ旅行をしたらレストランのサーバーさんが中高年のケースが多いことに気がつくでしょう。

日本で若い社会人の顔を見ると目に希望の光がありません。マニュアルと規則に縛られ、自分の本当にやりたい仕事なのかと疑問を呈しているような顔があちらこちらに見えます。駅そばで見かけたシーンは40代と思しき上司とまだスーツが体にフィットしない新人。その新人君はピアスに髪型はバサバサ、目線は全くやる気なしで上司にただついていくだけ。

中高年者は確かに家族を持ち、路頭に迷わすにはいかない世代。だからこそ、政府はそれらの人々の雇用を守ることに力点を置いてきました。一方、最近の女性の晩婚化や「一生お一人様」の傾向。なぜそうなったか、その理由のひとつには過去20年間の企業のリストラ等で男性不信になったしっかりした女性の当然の対策とも考えることができます。

20年前まではデートの費用は男が出すのが当たりまえ。結婚すれば女性は寿退社であとは三食昼寝つきとまで言われ、デパートの上層階にあるレストランは奥様方で長蛇の列でした。ところが時代の移り変わりはデートの割り勘からスタートし、結婚する男性は将来性と安定性、更には収入を値踏み。だけどそんな条件を満たす人はなかなかいない結果が晩婚、お一人様世代の増大とみることもできなくはありません。

若年層の将来展望の不可視状態は健全なる社会構成が生み出されなくなり、結果として少子高齢化を増長するとも言えるのです。

とすれば日本がスペインやイタリアと同じ道を歩んでいるとしても全くおかしくはありません。今はまだ、失業率は低いものの今後、産業の空洞化が進み、企業の人材採用の選択肢が非日系に強く及ぶようになれば遠い国の話だとは思えないのです。

特に日本で外国人労働者が社員として採用されてくることを考えれば一定以上の能力を要求する職種、例えば大手企業の総合職などは解雇がしやすくする法律を導入すべきです。これから外国人労働者が増え続けていく中で解雇のフレキシビリティを持たないといざという時の対応ができなくなるのです。また、日本の若い人たちに夢と希望とチャンスを与える必要もあります。更には漫然と仕事をしている総合職の人々にカツを入れる意味合いもあります。

いまやリストラなどで首切りは日常茶飯事的に行われています。とすれば一般的な解雇ができない制度は現状に見合っていないとも言えるのです。チームワークよくがんばっている企業もありますし、伝統的な終身雇用をいまだに堅持している企業もあります。それは素晴らしいことで是非とも継続してもらいたいと思いますが、業績が安定し続けるそれらの企業はそう多くはないと思います。マクロ的に見れば可及的速やかな対策が求められると思います。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年4月16日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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