東京電力が家庭用電気料金を7月から平均10.28%値上する

2012年05月12日 07:11

朝日新聞が伝える所では、東京電力が家庭用電気料金を7月から平均10.28%値上するとの事である。

東京電力は11日午後、家庭などの電気料金を7月から平均10.28%値上げしたいと経済産業省に申請した。経産省は料金値上げを審査する仕組みを変え、専門家による委員会をつくって、値上げが適正かどうかを調べる。認可されれば、電気事業法に基づいた認可が必要な料金値上げは、東電では1980年以来32年ぶりになる。

例によって、専門家による委員会を設立し今回の値上げが適正か否か審査させると言っているが、こんなものは「言い訳」、「茶番」に過ぎない。

何時もの様に役所のシナリを通りに発言してくれる、所謂学識経験者とやらを何人か集め、会議を開催したと言う「アリバイ」を作る作業に過ぎない。

学識経験者とやらには「小遣い」、「御駄賃」が与えられる訳であるが、これも原資は「税」である。それにしても、役所と言うのは何故「税」の無駄使いに悪知恵がこうまで働くのであろうか?

私がそう考えるのは極めて単純な理由に依るものである。値上げが妥当か否かは、先に提出された家庭用電気料金の値上げを含む「総合特別事業計画」の取り扱い如何に依る。そして、産経新聞の記事を読む限り、枝野経済産業相は既に認定済みとの事である。

枝野幸男経済産業相は9日、東京電力の実質国有化を柱とする総合特別事業計画を認定した。対象期間は2021年度までの10年間とし、3兆3650億円超の経費を減らす一方、家庭向け電気料金の10%値上げと柏崎刈羽原発(新潟県)の13年度の再稼働を明示した。政府は7月にも公的資金1兆円を資本注入し、議決権割合の過半を握ることで東電を実質国有化。社外取締役を増やして経営への監視を強める。

憂慮すべきは、東京電力の実質国有化とは、早い話、経済産業省による東京電力支配と言う事実である。そして、従来通り東京電力の許認可権を握るのは監督官庁である経済産業省であり、これではチェック機能が働かず結果、天下りも含めやりたい放題となる。

「電力」も厚労省支配の「年金」と同じ様に近い将来破綻してしまうのではないか?

何故、かかる好ましからざる状況に陥ってしまったのであろうか?

昨年4月のアゴラ記事、東京電力をどうするか?で指摘した通り、菅政権は初動の段階で「ボタンの掛け違い」をやってしまい、それをずるずる今日迄引きずっている。その背景には、「焼け太り」を狙う経済産業省の黒い欲望があるものと推測する。

結論を繰り返せば、こういう鵺の如き奇怪なスキームは必ず失敗する。従って、先ず東京電力が可能な限り保障を行うべきである。当然の事ながら株主は100%の減資を覚悟せねばならない。債券保有者も同様である。融資銀行も東京電力への融資は不良債権扱いに変更し、処理を強いられる事になる。ここまでやれば、東京電力は実質企業価値ゼロであり、発電と送電部門に2分割した上での国有化しかないと思う。補償は勿論東京電力に代り政府が担当する。電力の安定供給はマストだが、これを人質に東京電力含め、全てを温存する様な愚行を行えば、間違いなく失われた20年の後に、死に至る10年を迎える事確実である。ここが日本の正念場ではないか?

電気料金の値上げが今回のみと考えている国民がいるとすれば、余りに楽観的である。「年金」見て判る通り、「役所」や「役人」は結局責任を負わない。頭の中は天下り先の確保で一杯なだけだ。

官僚支配はイコール「高コスト体質」であり、一方、製造業は高額な電力料金を忌避して海外移転を加速するであろうから、結局、尻拭いは一般国民がやる事になる。

この憂慮すべき事態に対し、真っ向から正論を述べているのは、私の知る限りでは、橋下大阪市長である。昨日の橋下氏Tweet内容を纏めたブロゴス記事には深く共鳴した。

さらに東電処理に関して、どの道国民負担となる。電気料金で負担するか、税金で負担するかの違い。破産させたら賠償主体がなくなるという理由で破産スキームを用いなかったようだが、結局電気料金で負担するなら、一旦破産させて国民全体の税で賠償するスキームを作れば良かっただけ。東電を一旦破産させた方が、何から何まですっきりする。事業自体は当然継続させれば良くて、責任をはっきりさせる。賠償は新スキームで税による全国民負担。原賠法における大蔵省のせこい行動が全てを無茶苦茶にした。元へ。法の支配を言うなら法を基礎づける事実の変更を重視すべき。

何と、一年前の私の主張と全く同じである。

私は、従来、橋下市長は「人気取り」を目的とした「公務員叩き」をやっている面もあるとか、「ポピュリスト」ではとかと言った疑念を持っていた。しかしながら、このTweet内容を読んで考えが変わった。しっかり、物事の本質を考えておられると。

矢張り、全ての政策は「国民ありき」で考えねばならないと思う。

民主党は二年半前の選挙で、「国民の生活が第一」をスローガンに選挙を戦い、勝利し、政権を獲得した。そして、今尚、民主党ホームページトップの右上に「国民の生活が第一」が掲げれれている。しかしながら、これは少しも実態を反映していない。「羊頭狗肉」を地で行っている。

次回のホームページ更新では、「民主党、官僚の天下りが第一」に訂正すべきである。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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