民主党は「子育て支援」の旗を降ろしたのか?

山口 巌

朝日新聞に依ると、子ども手当「月2万6千円は過大だった」 民主・岡田氏との事である。

岡田克也副総理は6日の衆院消費増税関連特別委員会で、マニフェストに明記し財源不足で実現しなかった子ども手当の月額「2万6千円」について「過大だった」と答弁した。


揚足を取るが如きは本意ではないが、最近の民主党議員の発言に、この種の個人的感想が多いのが気になる。党としての統一見解がないから、結果、こういう豆腐のぶったぎれ的なものになるのであろう。

今一つ気になるのは、3年に及ぶ政権運営が不調ですっかり自信を無くしてしまい、「マニフェスト」に対し余りに自虐的になってしまった事である。

確かに実態に即し、国民に説明し謝罪した上で軌道修正すべきテーマも多い筈である。しかしながら、歯を食い縛ってもやらねばならぬものがあるのも、我々が直面する現実ではないのか?

私が岡田副総理に確認を求めたいのは下記二点である。

先ず最初は、子育ては誰がやるのか?という話である。昨日も、子どもの目にバッテリー液入り目薬 被告の男、懲役6年と言う痛ましいニュースに接したばかりである。この手のニュースが増える事はあっても、減る事はない。子育てを親任せに出来た幸せな時代は終わったのではないか? 国が、或いは社会が積極的に介入せざるを得ないのではないか?

更に、一昨日のアゴラ記事、社会保障制度の根幹は少子化対策でも説明した様に、日本での子育てには金がかかる。子ども手当以外にも、「保育園」、「幼稚園」、「学童保育」の無償化や「扶養控除枠」の拡大等で国が積極的に子育て世代を支援せねば、子供の数は減る事はあっても、決して増える事はないと思う。

今一つは、現在の社会保障の仕組み、詰まりは、老いて働けなくなった高齢者の生活費や医療費を現役世代が負担するシステムを今後も踏襲するのか? 或いは、一から作り替えてしまって、国民の「自己責任」で現役世代の内に医療費も含めた老後資金を貯蓄する仕組みに変えるか? である。

仮に、現在の仕組みを踏襲する積りで、「子育て支援」を放棄と言う事なら、随分と矛盾した話であるし、第一、将来に対し無責任と思う。

本来、野党にはこの辺りを突っ込んで欲しいのであるが、名称は結局「児童手当」に 民主、自公にまた譲歩” の如く、問題の本質に眼を瞑り、議論は「看板の掛け替え」に終始の様である。

日本のリスクの第一は、この事に象徴される「政治の視野狭窄」かも知れない。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役