東京電力福島原子力発電所事故調査委員会会議録が面白い

2012年06月13日 11:20

東京電力福島原子力発電所事故調査委員会会議録が面白い。取分け、菅前首相の参考人質疑の部分は下手なテレビドラマなんかを見るよりも臨場感があって、思わず惹き込まれてしまう。

テキストベースの報告書のみならず、映像も英語の吹き替え付なので全世界が日本国民と当時にアクセス可能な訳である。こういう、日本の統治機構の「恥部」、「致命的な弱点」を、かくもあっけらかんと公開出来る日本は矢張り凄い国と思う。中国では、とてもこうは行かない。


圧巻は何と言っても野村弁護士の鋭く、感情を殺した正に突き刺さる様な質問である。

野村修也君 お気持ちはよく分かるんですけれども、一点だけですが、その前に、まさに会社のために、国のためにということで自分たちが命を張っておられる方々がまさか現場から逃げることはないということは伝わっているわけですよね。電話で確認されているわけです。枝野官房長官は、昨日の発言であれば、現場にも連絡をして撤退の意思はないということは確認をされているわけなんですが。そういうような方々が、総理が来られて、現場から自分たち撤退するつもりがないと思っておられる方に何で撤退するんだということを、そのどなっておられる姿というのは、やはり今まさにそのサイトと命を共に、これを何とか防いでいこうと思っておられる方々に対する態度として、先ほど人としてという御発言がありましたけれども、何か反省すべき点というのはないんでしょうか。

菅前首相は「東電の全面撤退」を根拠に自己弁護、自己の正当化を繰り返し主張して来た訳である。しかしながら、どうも今回の会議録を読む限り、「嘘」、「詭弁」である事が白日の下に曝け出されてしまった様である。

国会事故調の正式報告書は今月末公表と聞いているが、菅前首相は、秋風を通り越して一足飛びに厳冬の冷たい風を真正面から受ける事になるに違いない。

東京電力福島原子力発電所事故調査委員会の役目は一先ずここで終了するのかも知れないが、「再発防止」、「雨降って地固まる」の精神で、今後のあるべき日本の統治機構に就いての国民的議論は必要であろう。

その第一は、矢張り3.11の如き非常時のリーダーとして最も相応しくない菅氏を、総理総裁に選出した政治システムである。民主党議員に聞いてみても、まるで道を歩いていて間違って犬の糞を踏んでしまったかの如き感覚であり、これでは話にならない。

党首選で競合した小沢議員排除で辣腕を振るったとされる仙谷議員が、最近、仙谷氏「セクハラ」発言認める=週刊誌報道めぐり敗訴―東京地裁との事だが、品性下劣で同様話にならない。勿論、問題はこういう人物を党の幹部にしてしまう、民主党の体質である。

「政治と金」を口実に、徹底して「反小沢」に動いたマスコミも、本来あるべき、「公平」、「中立」から大きく逸脱しており、政治の歪みを正すどころか、歪みの助長に手を貸す結果となっている。

今少し根本的な問題として、「平時」ですら統治が覚束ない首相官邸に、3.11の如き「緊急時」の適切な対応が可能なのかという疑問が付いて回る。

今月末に発表予定の報告書内容に対し、国民は逃げずに真摯に向き合い、あるべき日本の統治機構に就いて熟慮し、大いに議論すべきと思う。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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