価格ではなく「正攻法」で集客すべき日本の外食産業 --- 岡本 裕明

2012年08月10日 10:32

日本マクドナルドが上期で連結経常利益マイナス15%となったと報道されています。上期としては7年ぶりの経常減益で同社の原田泳幸会長兼社長の今後の戦略と舵取りに注目が集まります。

事実、外食としては吉野家が不振で遂に吉野家ホールディングでは名物社長安倍修仁氏から子会社で讃岐うどん、はなまるの河村泰貴氏に変わることが決定しています。もっとも安倍氏は事業会社の吉野家そのものの社長の椅子からは降りないようですが。吉野家は牛丼大手の中ではいわゆる「頑固一徹」で一番フレキシビリティを持たせなかったことが敗戦原因とも言われています。ですのでホールディングスの社長の交代ぐらいでは吉野家の景色は変わらないかもしれません。


牛丼三社も価格競争で疲弊しているし、一方で吉野家はその昔、急速な店舗拡大がたたって倒産経験があるため、品質へのこだわりは特筆すべきものがあります。となれば当然ながら価格に対する弾力性は少ないはずで価格競争に巻き込まれたくないという強い思いはあるかと思います。

一方で牛丼もシャープの「一本足打法」のようなものですき家や松屋がメニューのバリエーションを増やしたのに対し、吉野家はまさに牛丼一筋という感じがいたします。パナソニックの新社長、津賀一宏社長が一本足経営を批判していたことを考えればやはり、時代とともにビジネスのスタイルを変えていく努力は図らなくてはいけない気がします。

私がカフェを経営していて思うことはメニューのバリエーションはある程度ないと「複数客」が来ない、という経験的実績であります。例えば2、3人でどこかに食べに行く際にそれぞれが同じ食べ物を食べるなら構わないのですが、食事ぐらい個性を出すのが当たり前になってきています。よって、吉野家のカウンターで「並3つ」と注文したくないと考えればそれは別の意味で機会喪失だということになるのです(吉野家には多少のバリエーションがありますからある意味、極端な例ですが)。

さて、マクドナルドもコーヒーに関してはかなり積極的な安売り攻勢に出ていて、打倒スターバックスという意気込みは北米のマックでも見受けられます。ただ、フードに関してはマックは安売り攻勢に出ないほうがよいような気がします。一旦、その罠にはまるとあり地獄のようにずるずるとはまり込み、ブラックホールのように同業他社をもその地獄に吸い寄せてしまうのです。そして過去、マックは苦い思い出がありました。

事実、価格競争は外食産業が安さを競うサイクルを作り出し、業界全体で苦しむということにつながります。

外食の正攻法は「おいしい」と思わせ、「また来たい」というリピーターを如何に生み出すかにあるかと思います。ファミリーレストランでワンコイン程度で食べられるランチメニューを出しているところがありますが、私は二度と行きたいとは思いません。それはあまりにコストカットをした結果、寂しいランチそのものになってしまうからです。

寂しいランチをすれば午後の仕事も寂しい考えしか浮かびません。日本人が品質を大事にするのであれば骨身を削る価格戦争をし続けたことに対する反省をそろそろしていただかないといけないかと思います。

それがまた、逆にデフレ脱却に繋がるものだと思います。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年8月9日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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