竹島、尖閣問題の背景

2012年08月21日 14:25

韓国李明博大統領が竹島に、香港市民活動家等が尖閣諸島に相次いで上陸し、話が判り易い事もあり、一時はマスコミ報道もこの件で随分と過熱した。

報道に接して感じるのは解決に至る道筋が全く見えて来ない事である。冷静さを取り戻した今、頭を冷やして竹島、尖閣問題の背景を考察すべきと思う。


日本外交の不在が大きな原因ではないのか?

韓国大統領の任期は5年である。5年もあれば一貫性のある外交戦略を構築し、大統領のリーダーシップの下、実行する事は可能である。

一方、中国国家主席の任期も同様5年である。そして、現在の胡錦濤主席は二期十年、前任者の江沢民前主席も同様二期十年を務めている。

次期国家主席と目される習近平氏も、余程の政変とかが起きない限り10年間勤められる筈である。中国の場合は10年を一単位として外交に当っている訳である。

それに比べ、日本の場合は一年毎に目まぐるしく政権が入れ替わっている。これでは、「外交」とは何かがぼんやりとでも判って来た頃に交代になってしまう。

外交を担った責任者の資質にも問題山積である。

鳩山元首相は日本外交の生命線とも言うべき対米外交で躓いた。原因は沖縄普天間基地の移転問題である。アメリカに「Trust me!」と呼びかけ、日本国民には「私には腹案がある」とか大見得を切っておきながら、結局、何もなかったでは話にならない。

鳩山元首相の後継者、菅前首相は一昨年の尖閣問題で外交音痴から適切な対応が出来ず躓いた。菅前首相を本来ささえるべき仙谷元官房長官、前原元外相も見事な外交音痴振りであった。

丁度一年前に首班指名を受けた野田現首相は、竹島の対応を見る限り、兎に角、反応が鈍く、対応が遅過ぎる。野田首相が外相に任命した玄葉大臣に至っては、とてもリーダーシップを発揮しているとは見えない。外務省職員の説明を理解するので精一杯に見受けられる。

これでは、中韓が日本組み易しと舐めてかかるのも当然の成り行きではないのか?

別の言葉で言えば、日本政府の身から出た錆ではないのか?

そして、不可解なのは国会議員やマスコミから、かかる本質的な問題提起が全くと言って良い程成されない事である。これでは、解決への道筋など逆立ちしても見えて来ない。

外交に関しては例外扱いとして、政党間の足の引っ張り合いを止め、10年程度やって戴く事を前提に外部から学識経験者、民間人を招聘しては如何であろうか?

外務大臣が大学教授、副大臣が海外経験(特にアメリカ、中国)豊富な民間人でも良いと思う。皮肉をいう訳ではないが、システムをどの様に変えても現在より悪く成る事はないと思う。

ドイツ、ハンス・ディートリッヒ・ゲンシャー元外相の例を、今こそ日本は参考にすべきと思う。

ハンス=ディートリッヒ・ゲンシャー (Hans-Dietrich Genscher、1927年3月21日 – ) はドイツ連邦共和国の政治家。自由民主党(FDP)の党首として、ドイツ社会民主党のヘルムート・シュミット、次いでキリスト教民主同盟のヘルムート・コールと連立政権を組み、1974年から1992年まで、副首相兼外務大臣を務めた。18年間にわたる外相在任は、現在のところドイツ史上もっとも長期の在任記録である。

私は1981年にドイツに留学したが、ゲンシャー氏は既にその時は欧州を代表する大政治家であり、ドイツ国民の信頼を背負った外務大臣であった。

更に、1987年から中東に駐在し、ドイツ大使館のコマーシャルアタッシュと親交を深め1989年11月のベルリンの壁崩壊の時は一緒に祝杯を揚げた。その時感じたのは、ドイツ在外公館に勤務する外務省職員のゲンシャー外相に対する揺るがぬ信頼であった。

少なくとも、ゲンシャー外相の在任期間の18年間に就いては、ドイツの外交戦略はドイツ外務省職員は当然として、一般のドイツ国民迄広く理解され、支持されていたと思う。

強い外交を願うのであれば、一枚岩となった国民の揺るがぬ強い支持を先ず獲得せねばならない。これからの日本は中韓に対抗せねばならず、ドイツ、ゲンシャー外相の成功例が日本政府に示唆するものは、決して少なくはない筈である。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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