李明博と言う愚かな大統領のお陰で、竹島問題での国際世論が我が国に傾きかけた時期に、「日本の領土を守るため行動する議員連盟」のお馬鹿さん達が、尖閣諸島の上陸ごっこと言う火遊びを始めてしまった。
この火遊びを取り上げた木走正水氏の「騒ぐ島を間違えている日本の領土を守るため行動する議員連盟」や山口巌氏の「尖閣関連、日本は断固自重すべき閣関連、日本は断固自重すべき 」と題するブログ記事は、誠に時期に適った正論であった。
同じ挑発に乗るのであれば、李明博大統領の挑発に乗って、韓国が実効支配する竹島に上陸し、韓国の官憲から手荒い扱いを受けて欲しかった。
それであれば、世界の世論は日本に同情し、情報宣伝合戦としては一定の意義があったかもしれない。
「口先左翼」に対し、頭は弱くとも「度胸と腕」が自慢だと思っていた「日本右翼」も、池田先生では無いが、日本の平和敗北主義に影響されひ弱になり、自国の無人島に上陸して気勢を上げている様では「お馬鹿な子供」に等しい。
果たせるかな、米国、英国、アラビア(アルジェジラ英語版)やロシアのマスコミは、一斉に「日本の右翼国粋主義者が中国を挑発した」と報道した。
国民感情を刺激し易い領土問題は、質の悪い政治家に利用され易いことは歴史が物語っているが、「中国人の尖閣上陸」の様な悪質な挑発でも、その「挑発」に乗った方に関心が集まる事も世界の常識である。
議員連盟の上陸目的が、にわか仕立ての「戦没者慰霊」でなかったことは確かである。それでは何が目的か? 度胸なき右翼の愚かな「空元気の発揚」と「売名」の他には考えられない。
彼らの愚かな売名行為が、如何に日本の国際宣伝戦に打撃を与えたかを、海外の反応から紹介しておきたい。
反米的な報道で知られる中東の「アルジャジラTVの英語版」は「日本の挑発行為」の結果発生した中国各地の抗議行動を大きく取り上げるだけでなく、ご丁寧にも「フィリピンンでの慰安婦」問題特集を組み、日本の戦時中の非行として報道した。
日本と領土問題を抱える、ロシアの報道は割り引く必要があるが、ここも同じく「日本の右翼に挑発された中国人の抗議行動」と報道している。
NYタイムスも概ね同じ様な論調で「中国全土に広まる反日運動」と言う大見出しでこの問題を取り上げ「中国の公式報道機関は反日デモは限られた地域で200人程度の参加者が出たにすぎず、内陸部には広がっていない」と沈静化を図っているが、ネットに出る写真を見る限り事実とは大きく異なリ、すし屋の襲撃や日本製品ボイコット運動に発展していると伝えている。
英国の「フィナンシャルタイムス」も、道路にあふれる中国群衆の写真を大きく掲げた一面記事で「日本の挑発に中国人が激怒した」と報道した。
今回の事件で日本が宣伝戦に完敗した理由には「中国側が違法上陸した以上、我々は尖閣がわが領土である事を鮮明に示す必要がある」と言う向山好一民主党議員の稚拙な談話発表もある。
それに対し、同じNYタイムスは、日頃対日強硬論者の中国共産党の準機関紙である環球時報の編集長の Hu Xijin(胡锡进)氏には「日本の右翼『猿』共の挑発はまともに扱う価値も無い。中国人は自信を持ち、大袈裟に興奮する事無く、是が非でも冷静に対処し、日本を全世界的な観点から見るべきだ」と語らせている。
この談話を見る限り、向山議員はHu Xijin(胡锡进)編集長に完敗だ。
フィリピンやヴェトナムが中国の拡大政策に反感を持っているこの時期ほど、日本の同盟国対策が重要な時期はない。太平洋の新しい緊張状態を意識する米国としても、同盟国間の争いである竹島は難題だが、日米安保協定の対象である尖閣は、日本が沖縄問題で決定的な誤りを起こさない限り中国に実効支配される恐れは無い。
それを知りながら、自民党の山谷えり子参院議員は「上陸は正当化できるものではないが、気持ちは分かる」などと呑気な発言をしたり、「頑張れ日本! 全国行動委員会」幹事長の水島総氏の合図で、船から次々と人が海に飛び込む様では、国際政治と夏祭りを混同したに等しい。
この愚行が残した物は、日本の経済と国際評価への重大な打撃と参加者の自己満足だけである。
この事件を契機に、各国で何処まで「反日」の輪が広がるか心配したが、同時期に「ウイキリークス」のアサンジ氏が、亡命先の大使館のバルコニーから米国を強く批判した声明を発表し、耳目がそちらに移ったのは幸いであった。
我が国領土を不当支配している韓国とロシアは、世界でも名高い汚職と腐敗、人権弾圧国家でもある。日本の保守お馬鹿議員さん達も、尖閣上陸ごっこの代わりに、アサンジ氏の様に知力を使って相手権力の不正を暴く事が出来れば、相手国の信用を傷つけ、領土問題での日本の相対的立場も改善される可能性がある事を認識すべきである。