iPhone5獲得狂想曲~世界中で生産が追いついていないのを実感する

2012年10月02日 07:53

私自身の16日に注文した「iPhone5」が、まだ手に入らない。注文が始まった14日と、翌日の15日は出張していたために、申し込みしようがなかったので、発売日には手に入らないだろうと諦めていた。ただ、まさか、1週間以上経過しても、まったく音沙汰なしで、下手をするとまだまだ待たされる状態になりそうだという事態になるとはまったく予想していなかった。どうも、まだ日本国内では14日に予約した人にも行き届いていない状態が残っているようだ。ネット上の情報を総合すると、16GBと、32GB、64GBの白黒のうち、32GBの入荷が圧倒的に遅れているようで、一番人気のようだ。私は運の悪いことに32GB黒を注文してしまったので、本当にまだまだ待たされそうだ。

売れるという意味では、すさまじい商品だなと感じる一方で、本当に全世界的に在庫不足の状態が続いているのだなと痛感する。そして、早くに手に入れようと右往左往する私を含めたユーザーの姿もおもしろくて仕方ない。
Photo1
9月30日午前7時過ぎのアップルストア銀座前の行列

■アップル側の生産の遅れは深刻なようだ


人間の常として、手に入らないと言われると、どうしてもほしくなる。レジに並んでいるときに残り2分ぐらい待ち時間が存在すると、その時間が前の人が買っている商品の量によって完全に予測できないために、イライラしてくるという現象があることが知られているが、それに似たような状況だ。

各販売店も、毎日何台の入荷が入ってくるのかがわからないので、ユーザーの側のイライラは募る一方なのだろう。何度も、予約した店舗に電話をして、いつ入荷するのかと怒りの電話をショップにしている人たちの姿も、Twitter上でよく見かける。だが、そもそも製品が存在しておらず、いつ入荷するのかが見えない以上、ショップも答えようがないというのが、本当のところだろう。これは日本だけの現象ではなく、世界中でも起きていることを確認している。英語圏でも「アップルストアに在庫がない」という悲鳴に似た書き込みをよく見かける。全世界で高まりつつある予約に対して、手に入らない不満は高まりつつあるように見える。

24日に、21日からの販売開始より、500万台の販売に成功したという派手な発表が毎度のように行われた。これはiPhone4Sの時よりもペースが上だが、24日のブルームバーグの報道では、アナリストから、この販売台数は予期していた600万~1000万台よりも、少なかったと指摘されている。どうも新しい液晶の部品の生産がボトルネックになっているようで、日産55~60万台の生産しかできていないようだ。14日の予約開始日に予約した人には、だいぶ行き届き始めているようだが、15日以降はばらつきが出ている。特に32GBの入荷は遅れているようで、最も人気機種になっているようだ。そのため、このペースでは割と早い時期に予約した人でも10月中頃まで待たされる可能性は高そうだ。

販売機会の損失と、最高の体験を提供するという企業のブランドにも悪影響を与えるため、アップル側も懸命きっと必死に増産ができる体制の構築に努力していることだろう。特に、ティム・クックCEOはジョブズのムチャクチャな要求に応えるためのロジスティックを構築してきて成功させてきた人物であるため、その重要性は痛いほど認識しているはずだ。

■当日店頭販売に期待を持って並んだアップルストア銀座の朝

それで、アップルの直営店であるアップルストアでは、先週の当日販売の数は少ないようだが、少しずつは入荷があるようだったので、アップルストア銀座に、9月26日(水)に朝から並んでみることにしてみた。生産台数の4割がアップルストアに向けられているという情報もあり、可能性があるだろうと睨んだのだ。Twitterのつぶやきでは前日にも70人が並び、ソフトバンク向けについてはわずかながら入荷が続いているという情報があったからだ。始発電車近い電車で5時半に到着すると、まだ誰もいなくて、1台でも入荷があれば、さすがに手に入る状態だった。もう容量の小さな16GB以外であれば、この際、何でも良いというのが本音だった。行列は平日にも関わらず、8時には、30人を超えていた。

「まわりの人にどの機種狙いですか?」と、雑談したところ、ソフトバンクから、auへの切り替えを希望している人が多かったのも印象的だった。auの入荷は少ないことはわかっていたのだが、「数台でも構わないので入荷するといいですね」、と雑談で盛り上がった。そして、アップルストアの店員が8時10分に登場し、無情にも、本日の入荷はソフトバンク版16GBがわずかしか入荷がないというアナウンスが出た。その瞬間に、ああ、とため息のようなつぶやきが、全体を覆った。

悔しいので、バカを承知で、もう一度挑戦してみることにした。9月30日(日)今度は完全に始発で5時20分には到着した。地べたに座り続けるのが結構辛かったので、キャンプ用の椅子を持参し、アナウンスが出る3時間待つのも体制もばっちりにした。ところが、すでに前には4人も並んでいた.速い人は、飲んだ勢いで、2時半から並んでいたという。また、昨日も並んで空振りだったという人もいた。

私自身は、同じことを2回目にやることは、前回よりも予想がしやすいので楽だった。今回は、前回以上に、まわりの人との会話でとても盛り上がった。特に、隣の20代の男性と話が盛り上がり、輸入家具の販売や、修理を手がける会社の方だった。iPhoneの写真機能を使って、お客さんに商品説明をしたり、サイズなどの確認を具体的に説明するという実用的なことによく使われていた。アンドロイド端末は、どうしてもアプリとの連携が悪くiPhoneのように簡単に作業をすることができないのだという。

それだけでなく、ストラテジーゲームやラノベが好きなので携帯小説を読んだりする機会が多いことも教えてもらって、とても私にとっては、汎用ハードとしてゲームから仕事まで、自分用にカスタマイズして独自の使い方をすることの浸透が進んでいる一端が見えておもしろかった。その人は、のめり込みそうなので、危険ということでソシャゲは一切やっていなかった。

日曜ということもあり7時半には34名の行列ができ、その中には4名近い女性も含まれているという状態だった。さて、8時になり、アップルの店員が登場。しかし、無情なことに本日の当日販売分は、”ゼロ”。並んでいる人たちには、前日もゼロだったことがわかっていたので、その最悪の事態はあり得ると思っていたのだが、さすがに、うわぁという感じだった。ただ、変な仲間意識が生まれていて別れるときにはお互いに「早く手に入るとよいですね。また、いつかどこかで」という会話が行われて、すがすがしいものだった。

■続く、iPhone5獲得狂想曲

その後も、毎日ネットの情報を見ているが、アップルストア銀座での当日販売のゼロは続いているようで、悲鳴の日々は続いているのだろう。ついには、店頭での事前予約を打ち切るという事態にまでなっている。日本、アメリカ、フランス、ドイツなど9カ国のエリアで発売していたのが、9月28日からは販売国22カ国に広げられたので、そうでなくとも逼迫していた需要に、さらに追いつけなくなっているのだろう。入荷も全体的に遅れており、今この瞬間では、64GBが一番安定して入荷が続いているようだ。17日に予約した人でも手に入れる事ができた、ラッキーな人が少なからずいるようだ。

何とか、手に入れられるチート行為がないものかと、誰もが必死に探しているようだが、「今回はない」ということは私自身もよくわかった。とにかく、生産が追いついておらず、その状態は続くことがはっきりしているので、どうしようもないのだ。年内は続くと予想されている。

まあ、以前書いたとおり、iPhone4は、iOS6にアップデートしたところ、テストで明らかになっているとおり、ブラウザなどの読み込み速度が向上しているので実用には十分耐えうる。また、すでに手にした友人にもアクセスが速くなったという点を除くと案外と根本的な変化が少ないマイナーバージョンアップの完成形的な側面が強いよとは聞いている。速度の速いパソコンの新型が出たという感触に近いのだろう。そのため、本当にそこまで必死になって求める必然性があるのか、と言われると考えてしまう。

だがまあ、こうした「iPhone5獲得狂想曲」に振り回されるのも、しばらくは楽しいのではと思っている。毎日のようにどれくらいのペースで手にする人が登場したのかをネットで目を皿のようにしてチェックする日々は、手に入らないと悲鳴を上げる人たちと一緒に、まだまだ当分続きそうだ。しかし、iPhone5を手に入れられない人たちの怒りの声が世界中に充満するなかで、今月発表と噂されている「iPad mini」は発売できるのだろうか。その辺の判断も見所になりそうだ。

新清士 ジャーナリスト(ゲーム・IT)、ライター  @kiyoshi_shin
めるまがアゴラにて「ゲーム産業の興亡」や、日本経済新聞電子版「ゲーム読解」ビジネスファミ通ブログ「人と機械の夢見る力」を連載中

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