クルマの車種は付加価値に応じて内外分業へ --- 岡本 裕明

2012年10月09日 07:00

数日前の日経新聞ですがトヨタはカローラを今後、全量海外生産に切り替えることで検討をしているようです。ホンダもフィットをメキシコに生産拠点を動かす計画で自動車業界には大きな転換点となったと思います。

一方でトヨタの場合、国内生産300万台体制は維持する予定でいわゆる国内空洞化は避けるとしています。


このニュース、かなり興味深く読ませていただきました。

まずトヨタやホンダの動きは日産の世界戦略車「マーチ」をタイで生産し各国に仕様を変えて輸出するという新しいモデルを作り出したことに呼応するかと思います。当時、国内産業の空洞化が大きく叫ばれたのですが、トヨタの発想はレクサスなど高級車は日本で引き続き生産することで台数を確保するというものです。

考えてみれば、カローラは技術的に完成された自動車であり、コストの高い日本で生産するよりも第三国から新興国や「新新興国」への輸出仕様とすればよいはずです。アメリカで若い人に自動車販売会社がカローラを勧めたら「カローラは僕のおばあさんが乗っている車だからいやだ」といった逸話がありますが、先進国では車も当然、進歩しているわけで20年も30年も前のブランドを乗る嬉しさは劣化してしまいます。

一方で新興国ではようやく車が買えるかどうかというところ。そういう国ではカローラでも羨望の眼差しのはずです。ならば三国間の生産、販売は理に適ったものといえるのではないでしょうか?

以前、日産の方と話をしていた際、海外専用車種のSUV「パスファインダー」は初代が1986年で車として非常に安定していて故障が少ない、と述べていました。つまり、カローラにしろ、パスファインダーにしろ、歴史が長い車ほどモデルチェンジはするものの技術的に完成度が高まっているため、第三国での生産にも適しているといえるのではないでしょうか?

一方、日産は最も高度な技術を要する車種は主に栃木工場に集約しています。シーマ、フーガ、GTRなど日産が誇る車種は技術の粋を集め、国内生産としているわけです。

私はこれが日本の製造業の進むべき流れではないかと思っています。新製品や技術的に完成度が十分でないもの、発展途上のもの、ブラックボックス化するものは国内で生産し、高い付加価値をつけて輸出することで高水準の利益を確保します。一方で高品質であるものの既に一定の名声や完成度を高めたものは海外に生産拠点を移し、国内は研究開発と新製品の拠点とするわけです。

これは自動車に限らず、電機や精密機器、機械などどのような分野でも展開が可能かと思います。この場合日本で必要なのは新製品を開発するマーケティングであると思います。それは日本がガラパゴスではなく、先進の国であるというイメージを取り戻すことが重要ではないでしょうか? シャープがガラバゴスという携帯ディバイスを発売しておりましたが、私はその製品名を聞いた際、強い違和感を感じました。

日本は一歩間違えばガラパゴス化を自慢する風潮がないとはいえませんが、それは海外市場を十分に理解していないという点で大きな勘違いを引き起こすということを付け加えておきましょう。

今日はこのぐらいにしておきます。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年10月8日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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