三連休を愉快痛快に振り返る

アゴラ編集部

連休最終日に心躍るニュースが飛び込んできました。京大の山中伸弥教授がノーベル医学・生理学賞を受賞です。ネット上でも「iPS細胞」についての話題で持ちきり。ようするに、あたかも細胞分裂を発生までさかのぼるようにし、幹細胞的機能の細胞を人工的に作り出した、ってことなんだが、いずれはノーベル賞くらいは楽に取ると思われてた人です。この「大隅典子の仙台通信」も興奮気味に伝えている。しかしこんなに早く受賞するとは予想できませんでした。


ただ、山中教授自らが言ってるように、これからの発展が期待される技術であり、治験や検証はまだまだ足りません。ノーベル賞はロボトミーにも与えられたように、特に信頼度の高い賞でもない。もちろん、iPS細胞は大きな可能性のある研究で、この受賞を梃子にしてさらに技術を確固としたものにできれば、再生医療を待ち望んでいる膨大な数の患者さんにとっても朗報でしょう。何より日本オリジナルの研究が医学・生理学賞を受賞、というのは快挙であり、日本人に希望と勇気を与えてくれるニュースでもあります。

これ以外に連休中にはいろんな朗報が入ってきました。スポーツ界ではまずF1です。「Passion Fruit ─情熱の果実─」というブログでは、鈴鹿で小林可夢偉選手がお立ち台の三番目に登った、と書いている。鈴鹿の表彰台で思い出すのは鈴木亜久里選手。あれは1990年だった。バブル真っ直中で懐かしい。とにかく本国でのプレッシャーに負けない、というのはスゴいです。なんか、日本が元気いっぱいだったバブル時代へタイムスリップしたような気がします。
競馬ファンにはこちら。凱旋門賞でオルフェーヴルが二着、と健闘したわけです。ゴール直前までトップだったので惜敗なんだが「ガラスの競馬場」というブログでは悔しくて眠れない、と書いている。ようするに、前戦で力を出しちゃったから最終で伸びなかったらしい。凱旋門賞で勝ちたいなら、もうちょっと慎重に調整をしなきゃ、ということ。来年こそはと期待しましょう。
この「スポーツナビ+」では、錦織圭選手が優勝したテニスのジャパンオープンを丁寧に解説しています。この大会、過去の優勝者にはここ数年でもナダル選手やフェデラー選手、マレー選手らがいるわけで、グランドスラムから数えると三段階下のグレードながら決して「二流の大会」なんかじゃない。サーブが弱い、と言われている錦織選手なんだが、それを克服すればグランドスラムも夢じゃありません。これまた元気をもらえる快挙です。
で、こっちはプロボクシング界。「地獄のハイウェイ」というブログでは、ヘビー級の藤本京太郎選手がWBCでランキング入りか、と書いています。藤本選手はK-1出身なんだが、ボクシングのヘビー級は比較にならないほど層が厚い。今年の3月には、韓国ヘビー級王者のキム・ジェッチャン選手を2RでTKO。そして今度は、WBC15位のチャウンシー・ウェリバー選手に判定勝ちしたらしい。このブログでは、元WBAライト級チャンピオンの小堀佑介選手らを育てたトレーナーがいいのかも、と感想を述べています。

表題の記事では、F1の小林可夢偉選手の3位入賞とテニスのジャパンオープンで優勝した錦織圭選手について書いています。日本のスポーツファンにとって最高の連休だったのではないか、という次第。
いずれにせよ、山中教授が「今回のノーベル賞受賞は日本がもらったようなもの」的なことを言ってるように、まだまだ日本人も日本も捨てたもんじゃない。領土問題やら米国の陰謀論やら何やらヤヤコシイことがありますが、常に胸を張って堂々としていたいもんです。
THE DIPLOMAT
“A Special Weekend for Japanese Sports Fans”


新入社員が三連休をどう過ごそうと勝手だという話
脱社畜ブログ
そんな「爽やかで痛快な連休」に水を差すように、ツイッター上はおかしな話で盛り上がってたようです。デフレで雇用不安、就職難の時代、どうも企業と被雇用者の関係がネジ曲がってんじゃないか。会社に「残れる」人材なんて言う人間は「資材」と自ら認定してるんだろう。このブログは、今さら感もKY感もあって逡巡しつつ、書かずにはいれれなかったらしい。元のつぶやきを「お気に入り」にしてる連中もワンサカいます。言わずもがなのことを、周囲をうかがいつつ念押ししなきゃならないなんて嫌な世の中になったもんだ。

Apple、iPhone 5カメラの紫色フレア問題に対する公式説明を発表
Tech Crunch 日本版
なんかアップル関係の話題だと、みなさんワッと飛びつきます。この連休中に盛り上がったのがiPhone5のカメラについて。なんかフレアが出る、なんて話なんだが逆光に向ければ普通に出る現象ではあります。かなり高価で優秀なレンズでもフレアやゴーストは出ます。ただネット上では大騒ぎで、この「がんばれ!オレ!」というブログみたいな悲鳴も聞こえてくる。

講談社が漫画家を搾取? 「海猿」「ブラックジャックによろしく」の佐藤秀峰 on Web
青空と麦穂
いわゆる「一橋グループ」と「音羽グループ」が業界をほぼ制圧支配してる、というわけです。そんなマンガ出版業界もネット時代に突入し、マンガ家自身が情報を発信し始めた。佐藤氏らは作家と出版社の力関係を是正したい、正常化させたいと主張している、というわけです。

Blu-Ray extra ties Prometheus to Blade Runner
i09
映画『プロメテウス』について書いてる記事なんだが、リドリー・スコット監督は映画『ブレードランナー』(1982年)も撮っていて、現在その続編を撮ってます。で『プロメテウス』のDVD版が出て、それを観ると、どうも二つの作品がどこかでつなげられるんじゃないか、と読めたりする。この記事ではそんな無理なことをしてファンを失望させてくれるな、と書いています。

出版物の売り場毎の販売額推移をグラフ化してみる(2012年「出版物販売額の実態」版)
Garbagenews.com
これはとても興味深い記事です。町の本屋さんがどんどんなくなっている、というのはよく言われることなんだが、出版界の凋落状態はそれが原因じゃないのでは? と書いています。リーマンショック前後、というのがターニングポイントになっているのはわかるんだが、どうしてコンビニや駅のスタンド売りで本が売れなくなっているのか、それが問題だ、というわけ。これ、ちょっと心配な話ではあり、少し詳しい分析を待ちたいです。

3億年でもデータは消えません! 日立が石英ガラス使う保存技術を実用化
バフショップスタッフの日記
デジタルデータの何が問題かと言えば、データの管理です。紙や木簡、というのは意外に長持ちする。デジタルの保存技術は思ってるほど長持ちしません。このブログでは、日立が開発した技術を紹介しています。富士フイルムには劣化しない特殊なフィルムがあるんだが、あれは500年以上、という触れ込み。こっちは3億年だそうです。そんなのどうやって保障するのか、という声も聞こえてきそうです。

いざというときに近くのトイレを探せるサイト「漏れない.com」
ライフハッカー日本版
これは便利そうなアプリなんだが、差し迫った状態で本当に使えるのかどうか心配です。この記事で紹介されている場所は筆者もよく行くんだが、マークシティの四階あたりのトイレが出ていない。ホテルの25階まで上ってる間に漏れちゃうんじゃないか、と思います。

ロムニーのウソに嵌められたオバマ大統領は討論負けて当たり前
アメリカ経済ニュースBlog
どうも日本から眺めてると、違いがよくわからない二大政党なんだが、こないだの大統領と大統領候補者の公開討論会は、挑戦者のほうに分があったようです。討論の進め方なんかで作戦勝ち、という感じ。このブログでは、ロムニー候補の大減税案を攻めようと仕掛けたオバマ大統領が、そんなことはしない、と返されて調子が狂った、と書いている。見事に肩すかしを食わされた、というわけで、次回の討論会でどう巻き返すのか見物です。


アゴラ編集部:石田 雅彦