Twitter vs Instagram - 画像が生むトラフィックの奪い合いが始まった。

ここでも触れたかもしれませんが、現在Facebookは1日あたり3億枚の画像がアップロードされており、ソーシャルメディア全体のトラフィック発生源(つまりクリックされているコンテンツ)の70%は画像です。このトラフィックの発生源を確保し、最強のトラフィックエンジンを手に入れようとする動きが急速に活発になっています。その象徴が、TwitterとInstagramが互いのAPIの利用を遮断し、緊張関係になっているという事実です。


インターネットビジネスに関わらず、一般的にビジネスは人気やクチコミ、評判、ひとだかり、集客など呼び方は変われど、トラフィックというものの大小によってビジネスボリュームがまず決まってきます。そのトラフィックを換金することをマネタイズと呼ぶのです。僕はこのコラムでも、トラフィックを生むためのコンセプトや仕組みをトラフィックエンジン、そしてトラフィックの換金化をどれだけ効率よく行う仕組みをマネタイズエンジンと呼び、その二つのエンジンをいかにうまく組み合わせるかがビジネスの要諦であると何度も説いていますが、冒頭の画像に関する情報は、インターネットビジネスにおいて画像が最強最大のコンテンツであり、画像をうまく使うサービスこそが次世代のトラフィックエンジンとして注目を浴びているのが現状です。

その結果、画像をアップするアプリの開発競争と、撮影→加工した画像をアップする場としてのWebサイトの両面において、激しいバトルがみられるようになりました。前者の現チャンピオンはInstagramであり、後者はTwitterです。InstagramにはPinterestや漫画カメラなどのさまざまなカメラアプリらがライバルとして名乗りを上げていますが、世界的にみるとまだまだ現役チャンピオンと言えます。同時にFlickrから画像の集積・共有場所としての王座を奪ったTwitterも、Facebookとの激しい戦いに巻き込まれた上に、IntragramがWebでの画像共有サービスに乗り出したことによって、逆にカメラアプリの充実に力を注ぎ始めました。

画像をアップロードするゲートウェイとしてのスマートフォンの写真加工アプリは、いかに簡単に写真を撮り、撮影した写真に面白い効果を与える加工サービス(=フィルターといいます)を備えるかの勝負になっています。ただし加工が面白くても、その画像をアップする場所を抑えない限り、カメラアプリのメーカーにはマネタイズする手段がありません。Instagramが自社のWebサイトで画像を預かる戦略にでるのも当然のことです。

画像を加工するフィルターサービスと、その画像をアップロードして友人とシェアするためのWebサイト。この両方を同時に抑えて、Web上の最大のトラフィックエンジンを自分のものにする。TwitterとInstagramの利害衝突は、今後多くのソーシャルネットワークサービスの企業群とスマホアプリ開発会社たちを巻き込む、大きな戦争になり、市場全体を再編させるきっかけになるかもしれません。注目です。

小川浩@ogawakazuhiro